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2002年12月市議会一般質問 |
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次に、財政上の理由からも、私が中止すべき事業であると考えている簗川ダムについてうかがいます。 簗川ダム取水事業には利水権の獲得だけで60億円を超える資金が必要になるわけです。この大変厳しい財政の中、資金を捻出する余力はあるのかうかがいたいと思います。以前、水道管理者は「簗川ダムに係る施設整備は後年度に行なうので、ダムを建設しても水道料金にすぐに跳ね返るわけではない」とおっしゃいました。しかし最終的にダムの水を水道水として利用するのならば施設建設は、いつの日にか必ず行なわなければならないわけです。新庄浄水場について前にお聞きしたことがありますが、御所浄水場の整備費と運営費にいくら見込んでおられるのかお聞きします。またそこから推測した場合、簗川ダムからの取水設備の整備と運営費はいくらくらいになるのでしょうか。以前のお答えでは簗川ダムからの取水は御所ダムからの取水の50年から60年後になるとのことでした。ですから現在作ると仮定してのお答えで結構です。 その場合、市民一人あたりの負担はいくらになりますか。 去る10月19日、簗川のダムと自然を考える市民ネットワーク主催で「ダムは本当に必要か」シンポジウムがありました。その中で岩手大学の井上博夫先生が簗川ダムの利水について試算を発表しています。井上教授によれば、平成1年から10年までの人口増加を基に計算すると、簗川ダムからの取水が必要になる給水人口36万8千260人に盛岡市の人口が達するのは、少子化による人口減少がないものと想定しても、平成133年とのことです。市がこれまで言ってきたように水源が確保できない事態になった場合は、60年後に利水ダムを作った方が安上がりである事も試算されています。市長と水道管理者がおっしゃる「広域の長期的な安定した水源が必要だから」という説明では、やはり納得がいきません。この財政危機のさなかに、財政の健全化に矛盾する簗川ダム取水事業に市がこれほど固執するのかどうしても解りません。ご説明ください。 利水のみならず治水の考え方からも簗川ダム計画は問題があると思います。治水計画の考え方は、閉じこめる治水から、洪水への対応を流域全体で考えて総合的に取り組むことにより、水害による被害を最小限にとどめる治水、いわゆる「総合治水」へと大きく変わっています。象徴的なのが2000年の河川審議会答申で「流域での対応を含む効果的な治水のあり方」において、総合治水対策を全ての河川で検討する提案がなされました。同シンポジウムで京都大学防災研究所の上野鉄夫先生がお話になっておられましたが、ダムを代表とする「閉じこめる治水」には、河川環境の悪化、超過洪水による危険性の増大など解決できない問題が生じると共に「まずダムありき」の治水計画であったが故に、基本高水の設定が高すぎるという問題やダム以外の代替案を市民が知らないために、治水対策の比較検討が十分に行なわれてこない実状がありました。盛岡市が真剣に洪水から市民の生命と財産を守ろうという立場に立つのであれば、過去の洪水時の流況や水害の実態を重視し土地利用計画をも含めて、簗川・根田茂川の個性にあった治水計画を考えるべきではないのでしょうか。 過去のように、計画と決定はお役所任せ、安全だと思っていたら災害に遭い、行政に問えば「想定外のことだったので」と被害は個人負担、という時代はもう終わっています。これからの総合治水計画で必要なことは、利益と費用およびリスクについての情報を市民に伝え、いくつかの選択肢の中から最終的に市民が決定していくことではないでしょうか。少なくとも治水安全度などについてコンセンサスができることが必要条件だと思いますが市長のお考えをお聞かせください。 さらにうかがいます。 東安庭地区は水害の被害が充分考えられますが、盛り土するなど宅地の地上げをしてから建築許可を出すとか、危険区域は農業用地のみにするなど、治水と土地利用計画を連動させ、想定外の降雨に対して生命に危険を及ぼすおそれのある地区は、住宅地にしないなどの体制が必要かと思いますが、いかがですか。 また現在洪水などで被災された方々は、総合治水対策の不備によるものなのに、ほとんど保障整備は皆無に等しい状態です。国や県と協力して、損保などの活用で自治体が保険金を支払うなど、災害補償制度を早急に作るべきかと思いますが、いかがでしょうか。 そうした土地利用計画と災害補償制度を確立しながら、基本高水流量を再度決め直すことで、簗川ではダムに頼らずに、自然を残し、超過洪水にも対応し、かつ経費的にも安い治水が可能と考えますがいかがでしょうか。 簗川ダム計画は、自然が破壊され、災害補償制度もなく、超過洪水対策すらない、おまけに不経済な計画だと私は思います。簗川の治水は県事業に所属するものですが、総合治水は都市計画と深い関わりがありますので、市の主体的な計画としてお答えください。 |
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