いせ志穂 トップページへトピックス一覧

盛岡市オムニバスタウンの問題点と改善策


 盛岡市の計画

盛岡のオムニバスタウン計画概要
盛岡のオムニバスタウン計画は、ゾーンバスシステムを中心に、より多くの人が使いやすいバスの運行や施設の整備を図ることを目的としています。

バスのサービス水準の向上と運行の効率化を目指し、バスの運行形態を大幅に見直しバス路線の再編を行います。
 
郊外の住宅地ではキメ細かい支線バスの運行で充分な運行便数などのサービスの向上を図ります。
住宅地〜市中心部間は基幹バスによって定時性向上や所要時間の短縮を図ります。
支線バスと基幹バスはミニバスターミナルでスムーズ・スピーディーに乗り継ができます。

ゾーンバスシステムの効果を有効に引き出すために、バスの利用環境を整備する施策を同時に進めます。
▼ 盛岡市オムニバスタウン計画の施策体系 ▼
ゾ ー ン バ ス シ ス テ ム

基幹バス 支線バス
途中始発バス 都心循環バス
  等による新たなバス運行形態
バス専用レーン
PTPS(公共車両優先走行システム)
ミニバスターミナル
乗り継ぎ料金の設定

ハイグレードバス停 バスロケーションシステム パーク&バスライド
サイクル&バスライド 低床バスの導入 小型バスの導入
(以上は盛岡市のホームページより)

 問題点

  1. 目標が曖昧。交通渋滞を緩和するためには何%の自家用車を減らさなければならないか。年次目標を立てるべき。
  2. バスの利用が少ない原因分析の不足
  3. 市民との対話がない
    「乗り換えが不便。バスターミナルが寒い、暗くてこわい、狭い。」など予想された不満が圧倒的

参考資料
主な停留所での停車本数の変化
松園地区バス運行本数(ゾーンバス導入前
松園地区バス運行本数(ゾーンバス導入・9月改正後)

 基本姿勢の転換

行政が企画し、住民に説明し、実施する方法は改める。
これからの企画は、地区総会を開催するなど市民が決めるようにする。
行政は、そのための調査と利用できる制度、そして住民からの案を整理するなど、住民が決めやすいように事務方に徹する

 盛岡市オムニバスタウン構想の今後の進め方に対する提言

  1. 松園ゾーンバスシステムの問題点

    ○実施に当たって住民への事前説明と討論、要望のまとめが圧倒的に足りない
    ○ターミナル内の設計上の問題(狭い部分がある)
    ○保安上の問題(暗い、こわい、危険)
    ○利用客に対する環境(寒い)
    ○乗継対応車の増備(発行機の整備)

    大船渡・釜石〜盛岡急行便の回送を兼ねた盛岡駅〜館坂〜松園営業所の系統が12月の改正以降ターミナル通過となった。

    PTPS(公共交通優先信号システム)が整備されていない

  2. 今後、都南・青山地区への導入において必要とされること

    ○地域住民への事前説明+住民討論と要望のまとめ

    ○系統・ダイヤ編成

    a)ほぼ終端域といえる松園と異なり、両地区ともターミナルの設置予定箇所からの運転距離が長い系統もあるため、市内中心部直通便を増やすなどの施策も必要と思われる
    b)公共施設の利用に不便を来さないようなダイヤ編成

  3. 他地区での事例及び盛岡での導入のシミュレーション

    ○高速バス出入庫便の営業運転(甲府など)

    事例:甲府市郊外の営業所所属の高速車が快速便として甲府駅まで運転後、甲府駅から新宿行きとして運転される
    盛岡で導入の場合:県交通都南営業所・県北バス盛岡南営業所とも高速バスの運行を担当しており、盛岡駅又はバスセンターまで回送している。都南ターミナル(仮称)からの急行便として運転することは可能
    。(青山の場合は該当する営業所が近くにない。)

    ○乗継ターミナルを挟んだ支線バス同士の直通運転(仙台など)

    事例:仙台市南西部の恵和町(けいわまち)を出発するバスの一部は乗継ターミナルの地下鉄長町南駅からそのまま南東部の飯田団地まで運転されている。
    盛岡で導入の場合:松園の場合ではターミナルを挟んで@系統からA系統といった具合に直通
    。青山の場合なら岩手牧場発ターミナル経由滝沢営業所行きといった例も想定できる。

    ○公共施設の利便を考慮した系統の設定

    (「病院回り」はヒット作ですが…)

    事例:上記事例の飯田団地からは、従来仙台市内の直通のみであったが、同地区が政令指定都市施工後は太白区に属したため区役所のある長町南駅への系統も新設した。
    盛岡で導入した場合:都南地区の場合、乙部・手代森から都南支所という系統が想定できる

    ○行先表示の途中変換(仙台)

    事例:A→B→C→Dと経由して再びAに戻る循環系統では「B経由C循環」という表示で出発し、Cの近くで「D経由A」の表示に変換して運転
    盛岡で導入の場合:松園循環からバスセンターに直通する系統では「松園循環」で出発して再びターミナルに到着
    する前に「バスセンター」行に変換といった方法が取れる。ゾーンバス以外でも循環系統が2種類(バスセンター発着太田・本宮循環/盛岡駅発着本宮・市立病院循環「盛南ループ200」)があるので応用は可能。

  4. コストがかかるが必要と思われる施策

    ○運行車両への無線機の搭載とそれを利用した運行管理

     道路状況の連絡等に応用できます。例えば、休日の緑が丘(アネックスカワトク付近)が渋滞している時に基幹バスからターミナルへ無線連絡し、接続の支線バスの発車を遅らせるといった使い方が可能です。

    ○バスロケーションシステム

     オムニバスタウン計画の一環として導入が予定されていますが、市内中心部だけでなく、各バスターミナル・公共施設や商業施設の最寄など比較的乗降の多い停留所(緑が丘四丁目・月が丘二丁目・日赤前など)への導入も必要と思われます。(前項の無線導入とセットで実施が効果的)

    ○バス停のハイグレード化

     現在設置が進められている「ハイグレードバス停」は極端に言うと屋根が付いて停留所が電照式になったという程度ですが、最低でも風防(車道側と横2面のコの字型)を付けたタイプがよい。

    ○バスターミナルへのバス事業者窓口・案内所の設置

    バスカード・フリー乗車券だけでなく定期券の発売・継続も取扱う窓口の設置が必要と思われます。特に松園の場合、「常時人がいる」というだけでも安心感が増加するものです。

  5. 運行事業者や商店の努力・協力にもよる部分が多いものの利用者増においては必要と思われる施策

    ○休日用フリー乗車券発売箇所の拡大

     県交通では休日用フリー乗車券を発売していますが、現時点では各営業所及び案内所の窓口のみの発売です。理想は車内販売ですが、(八戸市営バスでは車内の回数券販売機で発売)市内全てのバスカード取扱所への拡大とまでは行かなくても、例えば大規模商業施設のサービスカウンターでも取扱うようにすれば使いやすくなると思われます。

    ○支線バスの専用車両導入

     松園の場合中型車(定員50〜60人)もそれほど多くなく、大型車(定員70〜80人)が運転されているので実乗人数などから不経済なところもあり、ランニングコストを考慮すると定員が30人位の小型バスを支線専用の車両として導入が必要と思われます。

    ○商店を待合スペースとして利用

     バス停前にある店舗などで店の入口近くに待合スペースを設ける。バスを待つついでに買物という人も見込めます。新潟県小千谷市・十日町市ではトイレも気軽に利用できるよう看板も設置している例もあります。


いせ志穂 トップページへトピックス一覧