表5.2.1 事業による影響見通しと保全対策案 動物
保全対象 | 生息状況 | 生態的特徴 | 主な影響要因 | 影響の見通し | 保全対策案】 | |
樹林に依存して生息する中〜大型の哺乳類 | ツキノワグマ |
ダム下流域、原石山近傍で確認 | 山地の良好な樹林環境。 | 樹林伐採、 工事騒音・振勤 工事作業者の流出入 湖面の出現 付替道路 |
・生息環境の一部の消失。 行動圏の縮小。 ・湖面、付替道路による移動阻害。 ・工事騒音・振動による一時的逃避。 ・付普通路での自動車との衝突事故。 ・夜間照明による動ー・物生息環境の悪化 |
○生息環境の保全 ・樹林伐採の最小化 ○生息域での移動経路の確保(付替道路) ・トンネル構造の採用 ・ボックスカルバートの設置 ○衝突事故の回避 ・動物侵入防止柵の設置 ○夜間照明による影響の軽減 ・照明時間の限定 |
タヌキ |
原石山を除いた調査区域の全域で確認。 | 山地から人里まで。 | ||||
キツネ |
原石山を除いた調査区域の全域で確認。 | 山地から人里まで。 | ||||
カモシカ |
原石山を除いた調査区域の全域で確認。 | 山地の良好な樹林環境。 | ||||
アナグマ |
内沢土捨場予定地で確認。 | 山地から人里まで。 | ||||
猛禽類(営巣確認) | クマタカ |
梶田茂川片貝地区で営巣、繁殖を確認。根田茂川右岸に営巣中心域を持つと考えられる。内沢土捨場予定地には別ベアの生息を確認。 | 留鳥として低山から亜高山の樹林。中型の哺乳親等を捕食。上昇気流の発生しやすい斜面に営巣。 | 樹林の伐採、調査時および工事中の騒音・振動工事中の人の流出入 | ・餌場、餌動物の減少による生息環境の低下。 ・施工事、供用後の騒音・振動、人の立ち入り などのストレスによる営巣放棄。 |
○営巣地周辺樹林の保護 ・道路計画での対応 ○エ事時期の限定 ・騒音・振動対策・立ち入りの制限・道路への遮光植栽 ・営巣環境の保全 (別つがい) 一営巣地が確認された時点で保護対策の実施 |
猛禽類(営巣未確認) | オオタカ. |
細野地区を中心に飛翔を確認。 営巣の可能性が大きい。 |
留鳥として平地から亜高山の樹林。中型以上の鳥類などを捕食。アカマツの大木などに営巣。 | 樹林の伐採、工事騒音・振動 工事中の人の流出入 |
・営巣対象木の減少 ・エ事騒音・振動、エ車中の人の流出入による繁殖行動の阻害 ・餌場の減少や餌動物の減少による生息環境の低下。 |
○樹林伐採最小化、大径木の保護 ○営巣環境の保全→営巣地が確認された時点で保護対策の実施 |
水辺に生息する鳥類 | オシドリ |
簗川本流、根茂川沿いで確されており、殖している可性は高い | 留鳥として山間の渓流や湖沼に生息。水辺の林の樹桐で繁殖。 | 貯水、樹林の伐採 | ・生息環境である渓流域の一部は消失するが、湖岸樹林が維持されれば生息も可能。 | ○湖岸樹林の保全 ・常時満水位〜サーチャージ水位区間の選択的樹林伐採 |
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簗川、根田茂沿いにおいて殖しているとえられる。 | 山地の渓流や湖沼に生息。留鳥。川・湖の岸辺などに巣穴を造る。魚を捕食。 | ||||
良好な樹林環境が生息に必要な注目すべき動物 | ハヤブサ |
冬季にダムサイト近(落合)で確認 | 海岸や海岸に近い山地の断崖、広い河原、原野。断崖の岩棚で営巣。 | 樹林の伐採 | ・繁殖の可能性は低いが、生息環境の一部の消失による冬季の生息環境の価値の低下。 ・樹林の伐採による営巣対象木の減少 |
○樹林伐採の最小化 |
ハリオアマツバル | 早春季、春季湛水域(根田川沿い)で確認。 | 樹洞に営巣。.空中を漂っている昆虫を捕食。本州中部以北に渡来する夏鳥。 | ||||
渓流に依存して生息する小動物 | ハコネサンショウウオ |
湛水域、内沢土捨場予定地の沢で幼生を経認。 | 森林の林床に生息。渓流の岩の間隙などで産卵 | 貯水、樹林伐採土砂流出、工事排水流況・水質の変化 | ・生息環境となっている小枝渓流域の消失。 ・土砂流出による産卵阻害、産卵環境の悪化。 |
○生息環境・産卵場の保全 ・支渓周辺の残存樹林の保全 ○水質の保全 ・土砂流出、濁水対策 ○消滅する個体の 移植 ○生息環境の改元 ・ビオトープの創造 |
カジカガエル |
ダム下流域、湛水域、土捨場の渓流沿いで死体、鳴声を確認。 | 山地の森林の渓流に生息。渓流中の石の下で産卵。 | ||||
ムカシトンボ | 底生動物調査時に2地点(W5,6)で幼生を確認。 | 山地、丘陵地の急流に生息フキ、ワサビなどに産卵 | ||||
渓流・止水域に依存して生息する小動物 | トウホクサンショウウオ |
ダム下流域、湛水域の道路脇の水溜まり等で卵褒、幼生で確認。 | 山麓から丘陵の森林の林床に生息。山間の水沼まりなどで産卵 | 貯水、土捨土砂流出水質の変化 | ・産卵場である水田や湧水地等の水辺環境の消失。・水質環境の悪化による産卵の阻害、幼虫の生息環境の悪化。 | ○消滅する個体の移植 ○水質の保全 ・土砂流出、濁水対策 ○生息環境の改元 ・ビオトープの創造 |
モリアオガエル | 内沢土捨場予定他の水田で幼生を確認。 | 山地の森林に生息。池沼、用水などで木の枝に産卵。 | ||||
ゲンジボタル |
内沢土捨場予定地、根田茂上流(細野付近)で確認。 | 幼虫は清流に生息、カワニナ顆を捕食。 | ||||
ヘイケボタル |
湛水区域、内沢土捨場予定地の水田等で確認。 | 幼虫は水田や池などの止水域に生息。モノアラがイ類を捕食。 | ||||
樹林に依存して生息する昆虫 | ガロアムシ |
内沢土捨場予定地で確認。 | 山地の良好な樹林の岩石下や朽木中に生息。潜土性で夜間に地表を徘徊。 | 樹林伐採 貯水、土捨 |
・樹林伐採、地形改変による区域での個体数の減少。・樹林伐採、貯水、土捨てによる生息環境の一部の消失。 | ○樹林伐採の最小化 ○生息環境の後元 ・ビオトープの創 |
アカスジキンカメムシ |
内沢土捨場予定地で確認 | 山地の樹林に生息。フジ、ミズキ、コブシ、ハゼノキなど広葉樹の葉や実を吸汁。 | ||||
イシハラカメムシ | 内沢土捨場予定地で確認。 | ミツバウツギなどが食樹。 | ||||
アオチビケシキスイ | 湛水域(根田茂川)、内沢土捨場予定地で確認 | 樹林に生息し、花、樹液、落果などに集まる。 | ||||
クロアゲハ | 湛水域(根田茂川)、内沢土捨場予定地の水田等で確認 | 低山地の渓流沿いや樹林内に生息。サンシヨウ、コクサギなどみかん科の植物が食樹。 | ||||
オオムラサキ |
湛水域(根田茂川)で確認。 | 低地から低山地に生息。エソやエノキが食樹。 | ||||
ギンボシヒョウモン | 内沢土捨場予定地で確認 | 山鹿の開けた草原に生息。スミレ類、タデ類が食草。 | ||||
カワネズミ |
ダムサイト下流の簗川本川で確認 | 山間の渓流に生息。サワガニ、サンシヨウウオ類などの水生生物を捕食。 | 貯水、工事排水、流況・水質の変化 | ・主要な生息環境(渓流域)の消失による生息阻害。・エ串排水、流況・水質の悪化による餌となる水生生物の減少による生息状況の悪化。 ・ダムサイトによる移動阻害。 ・ダム下流域の水量の減少による移動阻害および繁殖阻害。 ・降海型・の降海・遡上阻害。 ・水質・流況の悪化による生育阻害(イワナ、ヤマメ)。 ・貯水に伴う産卵場所である沢の消失 ・低温水の放出による生育阻害。 ・湛水域での個体数の増加(ウクやアブラハヤ)。 |
○支渓周辺の残存樹林の保全 ○維持流量の確保 ○水質の保全 ・土砂流出、濁水 対策 ・エ事排水対策 ・生活廃水対策 |
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簗川・根田茂川に生息する魚類 | スナヤツメ |
簗川本流、戸中(Wl)で秋に確認 | 河川中流の淵などの泥中で生息 | 湛水化、ダムサイトの構築、流況 ・水質の変化、土砂供給量の減少、工事排水・生活排水の流出、低温水の放出 |
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サケ | 簗川下流域(調査範囲外)で遡上中の個体を確認 | 産卵のため秋に遡上。 | ||||
イワナ |
簗川、根田茂川の調査範囲の全域で確認。 | 河川の最上流部に生息。晩秋に枝沢で産卵。降海型は夏に遡上 | ||||
ヤマメ(サクラマス) |
簗川、根田茂川の調査範囲の全域で確認。 | 河川の上流域に生息。晩秋に枝沢で産卵。降海型は秋に遡上。 | ||||
ウグイ |
簗川、根田茂川の調査範囲のほば全域で確認。 | 河川の上〜下流域に生息。砂礫底のくばみで産卵 | ||||
アブラハヤ | 根田茂川流域の池(細野地区)で確認。 | 河川の中流域に生息。砂礫底の産卵床で産卵。 | ||||
カジカ |
簗川、根田茂川の調査範囲のほぼ全域で確認 | 瀬の轢問に主に生息。瀬の石の下に産卵 |