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200812月定例会 一般質問

2008.12.10 いせ志穂

 まず、市長の政治姿勢についてうかがいます
 9月のリーマン・ブラザーズの破綻を引き金にした、米国発の国際金融恐慌が全世界に吹き荒れています。今年に入ってからの石油相場の急騰を見ても、ここに来て投機市場が世界的規模で急速に縮小しているのは明白で、株式市場は乱高下を繰り返しながら、金融恐慌が深化、これに端を発した世界同時不況も急速に広がっています。

 日本でもここ数年、長かったデフレ不況からの回復基調が見えてきたと伝えられてきました。しかし、この世界的な流れの中で円高が進み、景気回復の主力であった自動車をはじめとする輸出産業は大きな痛手を受けています。内需の拡大も、その要因が全く見えない中、国内景気は坂道を転げ落ちるように悪化しています。月例経済報告は10月、11月と二ヶ月連続で下方修正されました。これで今年は六回も下方修正を行ったことになります。

 国際金融恐慌と世界同時不況は、富の偏在・所得格差の膨大な広がりによって生まれたものです。富裕層は投機市場にだぶついた資金を投入する事で、市場を急速に縮小させてバブル崩壊の時期を早め、貧困層は生活に必要なものすら買うことができず、内需がどんどん縮小してきた結果が今の状況です。

 今回の景気後退は、大変深刻なものになる可能性が大きいと私は思います。金融恐慌と不況は国内のみならず世界的なものですから、しばらくの間、外需は望めません。内需を喚起しようにも、国民に購買力がなさすぎます。80年代以降、積極的に行われた富裕層と投機への減税、派遣労働者法の改悪などにみられる不安定雇用の容認によって所得格差が広がり、その結果としてプレカリアートに代表されるような「長時間働いているのに生活できない」という労働者が大量に生みだされました。株式市場の破綻と不況による企業倒産で、低所得に陥る国民が次々と生み出され、内需がさらに縮小していくという未曾有の悪循環に陥ってしまえば、近年中に、絶対的貧困に陥る人たちが大量に生まれるのではないかと、私は真剣に危惧しています。

 麻生内閣は10月30日に総額1兆9600億円の定額給付金支給などの経済対策を打ち出し、今月5日には与党も2兆円の緊急雇用創出事業を行うよう提言しました。しかし、ヨーロッパ各国や合衆国のオバマ新政権の打ち出す施策に比べるとこれらの施策は充分なものではないと私は思います。

 今、緊急に行わなければならないのは、低所得層への所得保障と中所得者をも対象にした減税です。中小零細企業の倒産を回避し、国民の仕事を確保するために、公共事業も必要だと思います。ただこの場合注意しなければならないのは、市場にお金が回るような形の投資でなければならないということです。90年代、景気浮揚のための公共投資はことごとく失敗しましたが、それは事業を受けた民間企業、その多くが大手の企業でしたが、そこに入った利益が、設備投資や賃上げに回らず、不良債権処理に使われ市場に流通しなかったことが原因です。再び同じ轍を踏まないためには、最大限、使われた税金が内需に転化するような形の事業を行う工夫が必要です。

 私はそのためになら一時的に緊縮財政を緩め、債券発行の規模を膨らませるのもやぶさかではないと考えています。このような施策を行わず、景気悪化のスパイラルにはまり込んでしまう方が、国民の犠牲は大きなものになってしまうからです。

 さて、谷藤市長にうかがいます。市長が現在の麻生総理の立場であった場合、どのような施策を採られますか。お考えをお聞かせください。 

〔市長答弁〕
 伊勢志穂議員のご質問にお答え申し上げます。
 はじめに、景気後退の経済状況の中で,私が麻生総理の立場であった場合の採るべき施策についてでありますが、現在の経済情勢下における最重要の国政課題として、私が考えておりますことという意味でお答え申し上げます。
 極めて深刻な世界同時不況の影響を受け,製造業を中心に非正規社員の大規模な削減が相次いでいる中で、喫緊の課題として、困窮している中小・零細企業に対する支援や非正規労働者を始めとする雇用調整への対策が急がれていると認識しております。また,冷え込んでいる
 需要を効果的に喚起するため,誰もが安心し,希望を持って暮らせる我が国の将来像を示していくことが必要であると存じております。

 この金融危機と世界同時不況は、来年度の盛岡市の財政と民間経済に深刻な打撃を与えるであろうと考えられます。数年前まで続いてきたデフレ不況の際には、県内でもたくさんの企業が倒産、大規模な解雇・賃下げを行いました。同じような、いや、それ以上の状況に陥る可能性が非常に大きくなっている今、市民生活の防御のために盛岡市で行い得る施策は何であるとお考えでしょうか。来年度予算でその様な施策を考慮なさっているのであれば、その財源も含めてお教えください。
 
〔市長答弁〕
 次に,市民生活の.防御のために行い得る施策についてでありますが、まず雇用の場の維持・確保が最も重要と考えておりますことから,市内の誘致企業を含めた主だった企業に雇用の維持を申し入れるとともに、雇用や労働に相談業務に力を入れること上しております。
 また、企業体力の維持が雇用の維持に必要であるとの観点から、運転資金や年末資金の確保、経営の安定化を支援するため,商工課内の相談窓口において、セ−フティ ネット保証を始めとした金融や経営相談に迅速に応じるほか、従来から,セーフティネット保証利用者が「盛岡市融資制度」等により資金借り入れ行う場合に、信用保証料を市で全額補給しているころでありますが、この保証量の全額補給を今後も継続して行ってまいる所存でございます。
 さらに、雇用促進の面から,若者の就職支援や就職相談の充実のため、「スタートワーキングサポート事業」や年者就職支援事業を行うほか、店舗の魅力アップや空き店舗活用による雇用の増加を支援する事業を行うこととしております、IT関連企業や研究開発型企業の誘致に留まらず、雇用吸収力が比較的高い企業の誘致にも積極的に努めてまいりたいと存じます。
 なお、これらの事業の財源につきましては、当面、市の単独費で対応すること年、県・国等の支援がある場合には、情報を収集しながら活用してまいりたいと存じます。

 また、第二次盛岡市行財政構造改革の方針及び実施計画では、市債の発行を、臨時財政対策債を除き8%以内に抑制して来ましたが、緊急の場合、この変更があり得るのかどうかも合わせてお聞きします。

〔市長答弁〕
 市債の新規発行枠の8%について、緊急の場合、変更があり得るかについてでありますが、市は多額の市債残高が財政の硬直化を招いている要因の一つであることから、臨時財政対策債を除き歳入に占める市債の割合を8%以内に抑制する目標を設定し、財政運営を行ってきております。
 これまでの取組みにより,市債に大きく依存した財政運営の改革と市債残高の縮減を図っているところでありますが,普通会計の市債残高は平成19年度末で1,397億円と依然として高水準にあること、公債費負担比率が21.4%と危険ラインといわれている20%を超えていることなどを踏まえれば、市債の新現発行を8%以内とする目標は特段の事情のない限り今後とも堅持してまいりたいと存じております。

 仕事の確保という点で、谷藤市長の二期目の公約である「盛岡の特性を生かした産業振興と働く場の確保の充実」は評価できるものであると考えます。それについてお聞きします。
 市長は選挙の際に、具体的に次の四つの施策を公約として掲げました。
@「盛岡市ものづくり支援センター」(貸し工場等)を盛岡南新都市地内に整備
A玉山区内への新工場団地整備検討
B市産材や農産物の「ブランド化」と地産地消の促進
C「盛岡地域若者サポートステーション」「ジョブカフェいわて」の運営の継続
この四点において、現在までの取り組みの進み具合をお聞かせください。また、その実行によってどれだけの雇用を創出したのかも合わせましてお教えください。四番目の若者雇用について、特に、盛岡地域若者サポートステーションについては、その性格上、短期雇用や不安定雇用が多いかと思いますので、同一の人がどれだけ継続して働いているのかが解る様なお答えを期待いたします。それが無理であれば離職率をお知らせください。

〔商工観光部長答弁〕
 始めに,公約である「盛岡の特性を生かした産業振興と働く場の確保の充実」の4つの具体的な施策の進捗についてでありますが,貸工場につきましては,盛岡市新事業創出支援センタ_として今年5月にオープンし,貸工場7社の内3社が入居し,インキュべーション・マネージャーや試験研究機開,産業支援機関等の支援を受けながら新事業.新製品の開発に取り組んでおります。雇用につきましては,入居3社のうち、1社については入居後,パートタイムではありますが,5人の新規雇用を行っております。現在,入居を検討している企業もありますことから,更なる入居率の向上に向け取り組んでまいります。 次に,玉山区内への新工業団地整備については、平成19年度までに、団地候補地の基礎調査及び工場適地調査を実施し、今年度は関係当局との開発協議に必要な基礎資料を作成したところでございます。
 また,具体的な団地整備は今後に予定されて いるものであることから,今のところ雇用の創出には至っていない状況でございますが, 当面開発を予定している10へクタール程度の団地が整備され,全ての区画に企業が立地した場合には、県内の過去の工場立地の状況から, 350人ほどの雇用創出ができるものと想定しているところでございます。 次に「盛岡地域若者サポートステーション」につきましては、就業体験や就職活動の実践講座などを実施し,19年度の利用者数は4,991人であり,進学なども含めた進路決定者は35人、うち決定者は32人となっております。 20年度は10月末時点での利用者は2,890人で,進路決定者は33人,うち就職決定者は23人でございます。なお,18年度からの就職決定者は68人で,就職後同一事業所で引き続き勤務している者は30人でございます。離職者につきましては38人で、離職率は55,9%となっております。  また、「ジョブカフェいわて」につきましては、スキル.アップセミナーや就職面接会などを実施し、19年度の利用者は21,328人うち就職決定者は1,622人となっております。20年度は9月末時点で利用者は10,627人うち就職決定者は844人となっております。

〔農林部長〕
 市産材、農産物のブランド化と地産地消の促進についてお答え申し上げます。
 初めに、農産物.のブランド化においてでありますが、農産物においては、盛岡特産品ブランドとして,りんご,津志田芋の子、外山・薮川そば等が認定を受けておりますし,今年度は砂子沢地区で栽培を進めてきたアロニアのジャムサプリメントなどの加工品が,新たに加わったところでございます。
 また、日本短角牛のブランド化を目指し,今年度から、肉牛の生産の実験実証事業の取組み
を進めているところでございます。
 なお、市産材につきましては、繋小学校、渋民小学校など市産材による建築を行ったほか、市産材住宅の見学会の実施や動物公園のベンチに利用するなど市産材のPRを行っている ところでございます。
 次に、地産地消の促進につきましては、学校給食への地元食材の利用の拡大とイベントを通じた地元農産物のPRに加え、市内18ヶ所にある産直の活性化を図っており、特にも、今年度は、全国朝市サミットを通して、朝市や産直を多くの消費者の方々にPRできたものと存じております。

次にしょうがい者の就労支援についてお聞きします。

 6月議会の答弁によれば、盛岡市のしょうがい者法定雇用人数42人に対して7人の不足、本年の障害者雇用計画では18人の採用予定に対して11人の採用とのことですが、まず、その後の変化についてお伝えください。

 また答弁の中で、法定雇用を大きく下回る結果となった原因について、身体しょうがい者を対象とした特別枠の採用試験の受験者数が少ないことを理由に挙げられております。私も昨年の9月に質問をした際、同じご答弁をいただきましたが、その後しょうがい者に関わる方々にお話をお聞きすると、就労を求めているしょうがい者の方はとても多く、以下の疑問が払拭できません。お教えいただきたいと思います。

 まず、この特別枠の存在について、どの様な告知を行っていますか。就労を求めているしょうがい者全てがその存在を認識していると考えてよろしいのでしょうか。

 受験者が少ない理由を、市ではどうとらえていますか。

 また参考までに、次の二つについてもお答えください。

 一つは、本年4月4日気付の毎日新聞岩手版で「内定者の中には民間企業に行く場合もあるという盛岡市職員課の談話が掲載されておりますが、そのケースの場合、何故市職ではなく民間企業を選んだのかということ。

 もう一つは、昨年9月、それぞれに合った形での就労形態の変更を求めた私の質問に対して「障害者個々の事情が異なるため、非常勤職員登録制度に登録する際に、それぞれの希望する就労条件等をお聞きするなどして、可能な範囲で対応をしている」とお答えいただきましたが、この様な対応を行う中で、どんな要望が寄せられましたか。つまり、問題になっているのは、勤労日数なのか、時間なのか、仕事の内容なのか、またはそれ以外の何かなのかを知りたいということです。

 次にお聞きしたいのは、市がしょうがい者を正規職員として採用する考え方の問題です。昨年9月以降、この問題を少なくとも4議員が取り上げておりますが、そのご答弁には本質的に変化がありません。これを聞く限りにおいては、市は身体しょうがい者特別枠の募集について今以上の改善や配慮を行うつもりはなく、受験者が少ないのはあくまでもしょうがい者の側に問題があると認識しているように感じます。受験者を増やすためにこの間行った改善策がありましたらお答えください。

 また、しょうがい者の就労支援と言った場合、福祉的就労と一般就労の二つに分かれますが、盛岡市障害者福祉計画において「雇用・就労の充実」を謳っている以上、市のしょうがい者雇用は労働者の生産性のみを配慮したものではないはずだと私は考えます。その点を考慮した上で、現在のしょうがい者に対する募集についての改善点をお考えでしたらお聞かせください。

 最後に、知的・精神しょうがい者の正規職員雇用についてどうお考えかお聞かせください。
さて、盛岡市雇用推進計画では「障害者雇用促進の支援」として「障害者の就業促進を行う盛岡地区障害者就業支援センターの運営について助成するほか,NPO等との連携により障害者の雇用促進を図る」としております。これに関連してお聞きします。

 まず、しょうがい者雇用促進の全体像を把握するためにお聞きしますが、現在、盛岡市において一般的就労をしているしょうがい者はどのくらいらっしゃいますか。また、一般就労で、しょうがい者の求職・求人はどの程度ありますか。概数で結構ですのでお知らせください。

 次に、盛岡地区障害者就業支援センターの実績と課題について、盛岡市の見解をお聞かせください。また、NPOとの連携について、盛岡市が行っていることを具体的にお知らせください。支援センターに関する質問同様、実績と課題についてもお聞かせいただければと思います。また、就業支援センターやNPOとの連携の際に、職業安定所や民間企業団体とはどのような形で連携を行っていますか。

 昨年9月の一般質問でお話ししたように、しょうがい者の雇用促進のためには、雇用する側がしょうがいを持っている人に「慣れる」、可能であれば「理解する」ことが重要だと考えています。日本でもノーマライゼーションが言われて久しいですが、実際、日常的にしょうがいを持っている方々と接する大人はまだまだ少ないのが現状だからです。ですから、これはしょうがい者の雇用促進に取り組む者が、意識的に民間企業に取り組ませるよう仕向けなければ出来ないことだと思います。これについて、盛岡市の考えと現在行っていること、もしくは今後の方向性などをお聞かせください。

 近年、民間の派遣会社でしょうがい者雇用に取り組むところが出てきたと聞いています。民間企業が取り組んでいるということは、しょうがい者の働く権利を保証するという観点が広範に広がっているということに加え、それ自体の採算が取れ得るということを示しています。報奨金や調整金の制度を民間企業に広く知らせていくことも大変重要だと思いますが、特に中小・零細と呼ばれる規模の企業にこれらの制度はどの程度周知されているのか、そのためにどのような施策が行われているかをお知らせください。

〔部長答弁〕
障がい者の就労支援の御質問にお答えいたします。
 まず、本年6月1日の基準日以後の障がい者の雇用につきましては年度途中でもあり新規の採用はございませんが現在のところ法定雇用人数42人に対して,不足数は6人となって いるところでございます。
 次に,身体障がい者を対象とした特別枠の採用試験の周知についてでございますが,市の広報やホ一ムページによる周知のほか,地元の養護学校への募集要項の送付や,障がい者の方々を対象とした就職相談会への参加等により周知に努めているところでございます。
 次に,受験者数が少ない状況が続いている理由につきましては,正規職員の採用の場合は,年齢制限を設けておりますことや職務内容勤務時間、通勤等の様々な事情をによるものと推察しているところでございます。また、採用内定者が他へ就職したことについてでございますが,当該内定者が地元への就職を優先したものと伺っているところでございます。
 次に,「障がい者の非常勤職員登録制度」を実施している中で寄せられている要望についでございますが通勤距離や通勤手段への配慮や車椅子で勤務が可能な職場環境,立ち仕事の制限や市民との対面による業務が困難であることなど、それぞれの方が抱えている障がいの内容や程度に応じた勤務環境に関するものが主な内容であり、本年度の採用を実施する際も複数の勤務場所、職種をお示しするなど,出来る限り勤務意向に沿うよう配慮したところであります。
 次に,採用試験の受験者を増やすを増やすための改善策についてでございますが、毎年,他団体と試験日が重ならないよう調整しておりますほか,本年度は,新たに障がい者の方々を対象とした就職相談会に参加して周知を図ったところでございます。
 こうした周知方法等の工夫を始め,募集年齢の見直しや養護学校への訪問を実施するなどして,受験者数の増加に努めてまいりたいと存じております。
 次に,福祉的就労の観点からの改善点についてでございますが,本年度におきましては,障がい者雇用を促進するため,非常勤職員を増員するなど,雇用拡大に努めたところでありますが,今後におきましても,担当していただく業務内容等を工夫することにより働きやすい環境を確保するよう努めてまいりたいと存じます。
 次に,知的,精神障がい者の正規職員雇用についてでございますが,現在,非常勤職員としての採用はありますが,正規職員としての採用 は行っていない状況にあります。非常勤職員は,勤務場所や職務内容等の勤務条件が多様であり、障がい者の方々もより自分のの希望に沿った職の選択が可能となりますことから,知的,精神障がい者の雇用につきましては,当面,こうした非常勤職員等として積極的な雇用に努ねてまいりたいと存じております。

〔商工観光部長〕
 障害者雇用についてでありますが、現在就労している障害者数は盛岡公共職業安定所の資料によりますと管内で平成20年9月末現在は1,716人が就労しております。また求職者は595人となっております。求人数については公表されてないとのことです。
 次に盛岡広域障害者就業・生活支援センターの実績と課題についてでありますが、実績につきましては、就業支援センターから伺ったところ、平成19年度では登録者数318人,相談支援件数3572人,就職件数.36人となっております。
 課題につきましては、障害者の特性に応じた対応,企業への啓発活動,あるいは障がい者への動機づけなどが挙げられます。市といたしましては,引き続き就業支援センタ一から積極的に情報収集を行い、福祉部門・雇用部門が連携して障がい者雇用の促進を図ってまいります。
 また,NPOとの連携については,これまで障がい者パソコン教室や講演会などを共催してまいりましたが、今後においても情報を共有するなどして推進してまいりたいと存じます。
 就業支援セン夕−やNPOとの連携にあたっての職業安定所や民間企業団体の連携については,今年度も開催されました岩手労働局等が主催し,岩手県や盛画市等が後援して開催された「障がい者雇用関係情報交換会」において、情報交換を行っているところであります。
 また,障がい者の雇用促進にかかる民間企業への啓発についてでありますが,盛岡公共職業安定所によりますと障がい者の法定雇用率については平成19年度の実績で盛岡地区では1.67%と全国平均の1.55%を上回っておりますが、あと1人を採用すれば目標雇用率を達成できる企業が多くあるとのことでありますので、今後関係機関と連携して、障がい者の法定雇用率の向上を目指すよう働きかけてまいり たいと存じます。    
 障がい者雇用にかかる各種助成金の周知につきましては,労働局等のホームページやパンフレットなどで周知されてきたところでありますが,今後は市のホームページや市で発行しております「ろうせい盛岡」でも周知してまいりたいと存じます。

次に自転車交通施策についてお聞きします。

 CO2削減、渋滞解消、道路整備にかかるコスト削減、そして、交通安全の推進のため、自転車の利用促進は全世界的な潮流となっています。自転車先進国と言われるオランダ、ドイツだけではなく、フランスやアメリカも自転車の積極的利用に乗り出し、自転車走行空間の延長を行おうとしています。アジアでは先頃、ソウル市が自転車で都心に通勤できるよう道路の1車線を減らし、2012年までに207kmの自転車専用道路を造成することを骨子とした自転車利用活性化総合計画を打ち出しました。その様な動きから見ると、日本はまだまだ後れをとっているかもしれません。その中で、盛岡市が行っている自転車利用促進施策は全国的な評価も高く、誇るべきものだと思います。その施策を更に進め、今後の日本の自転車施策に影響を与えるほどになっていただきたいという願いを込めて質問いたします。

 まず、本年、お城の周りに自転車レーンが作られましたが、今後の延長計画をお知らせください。

 以前にもお話ししたことがあるのですが、現在、自転車では行きづらい場所があります。例えば、盛岡駅東口から西口方面へ自転車に乗っていく場合など、私は大変不便を感じますが、自転車利用促進のためには、自転車で街のどこにでも行けるという道路にしていく必要があります。つまり、自転車走行空間ネットワークを作っていくということです。今後の自転車レーンの延長も含めて、ネットワーク化についてどうお考えなのか教えてください。

 自転車走行空間ネットワークを構築しようとした際、それを自転車専用レーンだけで繋いでいこうとするのには無理があります。狭隘道路で自転車専用レーンを建設しようとした場合、道路構造令に適合せず、様々な困難が発生するからです。これは、別に盛岡市、延いては日本におけることだけではありません。例えば、自転車先進国であるオランダでも、自転車専用道は道路全体に対して16%、ドイツではたった5%の割合しかありません。これらの国では自転車と自動車が同じ道路を走る「共用」という考え方で自転車走行空間ネットワークを作っています。このようなやり方について、ご見解をお聞かせください。

 自転車は日本においても、本来は軽車両として車道を走るものであり、本年6月1日から施行されている改正道路交通法でも、ある特定の条件を除いて原則的に車道通行を行うことが確認されています。「自転車に車道を走るように指導を強化せよ」と言った場合、自転車利用者だけでなくドライバーからも「危険だ」という声があがります。しかし、これは大きな間違いです。今まで言われてきた通説を妄信的に信じるのではなく、自転車事故を科学的に分析することによって、交通安全対策をも兼ねた自転車走行空間の設置を行うべきです。

 財団法人交通事故総合分析センターによる自転車事故の分析をご紹介したいと思います。
前述の道路共用を進めている各国を日本も含めて比較した場合、自転車利用を推進すればするほど交通事故が減っています。オランダでは1980年に比べて2005年は自転車走行距離が145%増加し、自転車事故での死亡者は42%まで減少しました。

 また、道路を走行中の自転車が自動車に引っかけられて起きる事故は、自転車事故175,223件中5,404件、3.1%にすぎません。この二つから考えると、自転車が車道を走ることは決して危険な行為ではないと考えられます。

 自転車が被害者になる事故の大半、71.1%が交差点内で起きており、その中でも信号のない交差点で起きている事故が、全体の51%を占めています。思いの外に歩道上での事故も多く7.2%です。これは、施設出入り口などでの出入りの際の事故が多いことを示しています。進行方向に向かって右側の自転車通行可の歩道を走行していた場合、事故が多いと聞きました。財団法人交通事故総合分析センターの吉田伸一氏が行った事故の分析をご紹介いたします。

 信号のない交差点、あるいは施設出入り口から右左折しようとする自動車と、左右の交差道路上の歩道を走行し、交差点あるいは施設出入り口に直進進入しようとする自転車の事故22件に限定し、衝突形式で分類すると、ドライバーの左手の歩道寄り、つまり車道から遠い側の歩道を、進行方向に向かって右側走行してきた自転車が事故にあったケースが18件、同じく車道に近い方を走行してきた自転車が事故にあったケースが3件で、22件の事故のうちのほとんどが、右側通行を行っていた自転車が轢かれたものであることが解ります。つまり、たとえ歩道上であったとしても自転車の右側通行は大変危険だということです。

 こうなってしまう自動車側の理由として、吉田氏は、左折しようとする自動車のドライバーは、これから入ろうとする車線上の自動車の有無にばかり気を取られていて、結果として左側から来る自転車に注意を払わないのではないか、ということをあげています。また、自転車側の理由として、歩道走行という他の交通から隔離されている安心感、油断があるのではないか、と考察しています。

 ここから考えると、改正道路交通法に則り自転車の歩道走行を制限することは自転車の対歩行者に対する事故の防止のみならず、対自動車の事故防止につながることとなります。盛岡市では、全国に先駆けて歩道上でも自転車は左側通行を行うよう啓蒙することを「盛岡ルール」として推奨しておりますが、それは全く正しい方針に他なりません。

 さて、自転車事故の傾向について今までお話しして来たことからいくつかの質問を致します。自転車事故は主に交差点で起こっている事を考えれば、交差点で自転車がどこを走るかが重要です。新設の自転車レーンは交差点で歩道に誘導する形になっていますが、横断歩道手前の人が混雑する場所で自転車が歩道に上がるのは危険です。これを車道のまま、走れるように改良する予定はございませんか。また、道交法上可能な限りになりますが、道路共用を行っている海外の都市のように、自転車を優先させた交差点改良を研究するつもりはありませんか。

 先ほどお話ししたように、歩道上でも左側走行を推奨する「盛岡ルール」は大変優れたものです。ただ残念ながら、盛岡においても、たくさんの自転車がまだまだ歩道を走っています。これを改善するために、もっと大規模な啓蒙活動を行うべきだと考えます。小中学校の安全教室に留まらず、大人に対する教育が必要ではないでしょうか。特に、中心市街地に向けて自転車通勤を行っている方々の多い、県庁、市役所を初めとする行政機関や電力会社、NTT、各銀行などに対して、仕事場での教育・啓蒙を行っていただくよう協力を要請すべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。

 教育という点では、自転車利用者だけでなくドライバー教育も必要です。車道を走っている自転車に対して、無理な追い越しやクラクションを鳴らしてのあおり行為などが頻繁に行われるようでは、自転車が車道を走ることは出来ません。まず、バスやタクシー会社へ協力をお願いし、公共交通を運転されている方々にご理解を頂くべきだと考えますが、いかがでしようか。道路交通法改正以降、私は数回、パトカーが自転車の違反者に何の注意もせず通り過ぎるのを目撃しています。自転車事故を減らしていくため、県警や県の交通施策の担当課と協力し、自転車の重大事故の最も大きな原因になっている、右側通行、信号無視、一時停止違反の指導を強化すべきだと思います。特に、自転車事故減少の具体的な数値目標をたてて取り組むべき事項だと思いますが、そのご予定はございませんか。

部長答弁
 自転車交通こついてのご質問でありますが、初に今後の自転車レーンの延長とネットワークク化につきましては,自転車走行空間は,今後もネットワーク化が図られ るよう計画を立案し、順次延長することとしており、次年度は、盛南・西口地区におて、国・県と連携を図りながら延長する予定としおります。
 次に、自動車との共用走行による自転車ネットワーク確保につきましては、自転車と自動車の混在した走行は, 走行速度の違いや渋滞区間での自転車のジグザグ走行による危険性などが考えられ安全確保に課題があると存じております。このため当市におきましては路肩を活用した走行空間確保に取り組んでいるところであり、今後、整備がなされる路線においては、自転車走行を配慮した側溝の構造等についても検討して参りたいと存じております。
 次に、交差点部における自転車の歩道への誘導につきましては、本年度設置いたしましたブルーゾーンのうち、サンビル前交差点におきましては自転車が安全に走行できる路肩幅員の確保が困難なこと、東北銀行前においては自転車用信号が設置されていないことから、公安委員会との協議により、やむを得ず交差点手前で自転車を歩道に誘導しております。このうち、サンビル前交差点におきましては、亀が池に張り出す形式の歩道の構造から改良は難しい状況にありますが、東北銀行前における信号機設置につきましては公安委員会と相談して参りたいと存じます。
 次に,自転車を優先させた交差点改良の研究につきましては、事例の収集等を図ると共に、本年度モデル的に市営体育館前の交差点において、市、国土交通省岩手河川国道事務所及び岩手県立大学が連携して自転車の走行に対する調査を実施しており,この結果も踏まえながら研究して参りたいと存じます。

市民部長答弁
 次に、改正道路交通法こ則る自転車走行について大人に対する教育が必要でないかとのお尋ねですが,本年6月1日施行の改正道路交通法では自転車の走行に関して大幅に見直されましたことから、市といたしまもても改正内容を広く市民の皆様に周知し、ご理解をいただくことが非常に重要であると存じております。
 そのため,7月1日号の広報「もりおか」及び市のホー ムページに今回の道路交通法の改正内容を掲載し周知を 図ったところでございます。
 また、今回の改正は自転車走行に関して大幅な見直しとなったことから,社会人への教育が重要と考え,警察と連携し改正前の5月には県庁職員を対象に自転車実技教室を開催したほか,7月には市職員を対象に交通安全講習会を開催し、自転車走行における改正点等を講義していただき交通ルーールの徹底を図ったところであります。
 今後におきましても,交通安全運動等の機会 を捉えながら,自転卓走行する場合でも左側の歩道走行を推奨する,いわゆる「盛岡マナー」を、行政機関や企業に対し職場での周知を図っていただくよう協力を要請してまいりたいと存じます。
 次に、公共交通に従事するドライバーへの教育をバスやタクシー会社等に協力を要請すべきとのことですが,一定台数以上の自動車を保有する事業者は,安全運転管理者を選任し,安全運転の指導を行うこと,公安委員会が開催する講習会へ参加させることなどが道路交通法により義務づけられておりますことから,事業者責任において安全運転の確保に対する取り組みを行っているものと認識しております。
 次に,自転車事故減少の具体的な数値目標を立てて取り風むべきではないかとのことです が,市では平成18年度から22年度までの5年間を期間とする「第8次盛岡市交通安全計画」を策定いたしております。
 その中で自転車の関係する交通事故については、数値目標として平成17年の自転事事故件数265件を計画の最終年度である平成22年度には220件以下と15%以上減少さ せることをめざし,取り組みを進めることとしているところでございます。

次に景観条例、景観計画に関連してお聞きします。

 現在、盛岡市景観条例と景観計画に関するパブリックコメントが行われており、それぞれ案と素案が公開されています。読ませていただきましたが、条例は基本的な部分を抑えておりますし、計画は具体的な形で個人的には好感を持ちました。9月議会でもお話しさせていただきましたが、私は景観行政に期待をしています。それは、地方自治体が開発の誘導・制限という守勢だけの都市計画から、自分たちが住みたい街・目指すべき街づくりを行う攻勢の都市計画へ、一歩踏み出すためのものだと考えるからです。その期待が大きいが故に、私は二つばかり心配に思っていることがあります。

 一つは、景観形成のコストについてです。冒頭にお話ししたように、今後、景気は短期間で急速に冷え込むと考えています。ですから、高さ・形態・色彩などの誘導基準への協力依頼はそれほど困難だとは考えていません。景気の縮小によりハコモノ自体の建設が抑制される方向に動くでしょうし、そうなればあまり奇抜な形や色を使うということも減っていくように思います。しかし、景観重要建造物・景観重要樹木・景観重要公共施設などの整備や保全にはコストがかかるでしょうし、景観計画を進めていけば、積もり積もって大きな額になっていくことも考えられます。現在の時点で、これらの費用は誰がどのように負担することを考えていらっしゃいますか。お聞かせください。

 もう一つは、組織的なことです。歴史的建造物が景観重要建造物と位置づけられる場合は多いと思いますが、歴史的建造物は現在、教育委員会の歴史文化課と環境部環境企画課が担当しています。都市整備部景観政策推進事務局はこのふたつの課とどういう形で連携していくのでしょうか。

 3月議会でもお話しいたしましたが、ここ数年、古い建物が急速に解体されています。地域の人たちが愛着を持つ建物や樹木は出来うる限り保存し、活用すべきだと思いますが、市が身の丈以上に固定資産を持つことも、財政的観点から好ましくないとも考えます。だからこそ、盛岡市全域において何をどういう形で保存していくかを、総ざらい検討しなければならない時期に来ているのではないかと思うのです。その作業を行う際、現在のように、担当の課がいくつもに分かれているのは好ましくありません。今回、景観計画の策定と共に、まちづくりの観点、つまり建物の活用を主体とする部分と歴史を後世に伝える観点、つまり調査・研究をする観点で取り組んできた部署を合同した形で、歴史的建造物を扱う担当を一本化するべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。

都市整備部長
 景観計画の推進iこ係る景観形成のコストの負担についてでありますが、景観計画、景観からのまちづくりにおける一定のルールを定めるものであり、良好な景観形成の実現めために,市民,行政、事業者の責務を定めるとともに、それぞれが一体となって取り組むことが重要であると位置付けております。
景観重要建造物、景観重要樹木,景観重要公共施設の維持管理につきましては、基本的には,所有者及び管理者が主体的に行うものと考えておりますが、具体的な指定につきましては、今後検討することとしておりますことから、それらの整備や維持管理に係る役等分担や費用負担につきましては,今後,他の事例や所有者及び管理者の意向を確認しながら、適正な整備・保全が図られるようなルールづくりについて検討してまいりたいと存じます。
 また景観計画策定に伴い、歴史的建造物担当部署を一本化することについてでありますが、総合的な景観行政を積極的に進めていくためには,関連部署及び関連事業との協議・調整が必要でありますことから,今後,お話の点も含め、組織のあり方について検討してまいりたいと存じます。

最後に、歴史的建造物関連で教育委員会にお聞きします。
 盛岡市歴史文化施設、旧県立図書館の改修に着手しようとしているわけですが、私はこの時期に行うことに一抹の不安を感じます。急速な景気後退という局面で、19億円という莫大な改修費を費やすこともさることながら、今年に入ってから建設資材が急騰しており、マンションや商業施設の建設を見合わせている民間企業もあると聞きます。歴史文化施設は一刻の猶予もなく緊急を要している、という性格のものではありません。中央公民館の郷土資料展示室の活用で対応できる部分もかなりあるのではないでしょうか。

 今議会に契約案件が提出されている、この土壇場に来ての質問で大変恐縮ですが、建設着工を一時留保し、今後の景気動向を見きわめてから着手の時期を決定するべきだと思います。お考えをお聞かせください。

 
 〔教育長答弁〕
ご質問にお答えいたします。
 歴史文化施設について、整備工事の着工を一時留保し、今後の景気動向を見極めてから着手の時期を決定すべき、についてでありますが、 ご案内のとおり、歴史文化施設は、盛岡の歴史や文化を展示、紹介するとともに、周辺に残る歴史的資源や施設などを紹介するガイダンス機能を備え、まちなか観光の拠点施設として整備するものであり中心市街地を楽しみながら回遊することや、交流人ロの増加など多くの期待が寄せられております。このことから、本定例会に整備工事の契約議案を提案させていただきました。23年度の開館を目指したいと存じますので、ご理解いただきたいと存じます。
 以上、ご質問にお答えいたしました。

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