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「生きてるだけで金メダル」
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2007.11.3 | |||
2007年10月21日(日)盛岡劇場において、樋口強さんの落語講演会が岩手にホスピス設置を願う会の主催で開かれました。盛岡では3度目の公演。200人を越える人たちが樋口さんの講演と落語で大笑いをし、そして、涙しました。(おかしいんですけどね、何故か泣けて来ちゃうんですよ) |
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全日本社会人落語協会副会長兼事務局長をつとめる樋口強さんは、11年前、生存率がきわめて低い肺小細胞がんに出会いました。手術と抗ガン剤治療で乗り越えましたが、薬の副作用による全身のしびれが残っています。 「笑いは最高の抗ガン剤」と言う樋口さんは、毎年『命に感謝の独演会』を開き、がん仲間とその家族を励まし続けています。 (くわしくは樋口さんのHPをご覧ください) 私も参加する『岩手にホスピス設置を願う会』では、3年前から樋口さんを盛岡にお呼びして落語講演会を開催しています。樋口さんの『がんを生きる』という姿勢が、同じ立場の方々やそのご家族に力になると思うからです。 |
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私は主に会場など舞台裏を担当。珍しくロビーでお客さんに対応している写真があったのでアップしちゃいました。なんだかボーっとしてますねぇ。 |
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樋口さんの講演を一口で言うのはとても難しいのですが、印象に残るのは「普通に暮らしていくことの幸せ」です。だから「笑おう」と。講演の中では、笑いが健康に及ぼす影響についてなどもお話しされますが、そういうことより「今、生きていていること自体が幸せなのだから、笑おう」と言っているように私には感じられます。 新作落語『病院日記V』は、笑いの医学的効用が周知された近未来において医師免許の更新試験の課題に『小咄』があるという仮定の社会のお話でした。 …これが面白かった!会場も大爆笑。 落語の中には、実は患者さんが一番望んでいることは「家に帰りたい」ということ、言って欲しくない言葉は「頑張れ」であること、など、患者サイドから医療関係者に知ってもらいたいことが含まれています。 こんな事を大上段に話したら剣呑とした空気が漂ってしまうのではないかと思いますが、笑いのオブラートに包んでいるせいか、いらしていた医療関係のみなさんも含み笑い。 |
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私はがんになったことはありません。頸椎と椎間板ヘルニアではありますが、まずまず健康です。命のありがたみなんて、日常生活で感じることはほとんどありません。 でも樋口さんのお話を聞くたびに、今生きている一瞬一瞬のすばらしさについて自覚します。そして「明日も笑いたい、ドキドキワクワクしたい、このポワンとした暖かい気持ちを感じたい」と思います。 そしてそれは「あのさぁ、今こういう風に感じているのってあたしだけじゃないでしょう?あなたもたぶんそうでしょう?」と、隣に立っている人に話しかけたくなるような気持ちになるのです。(この気持ちは不思議なことに切なさを伴います。時間には限りがあるからなのかもしれません) 締めくくりはスタッフ全員が壇上で手締め。末広がりの幸せを祈って、最後は両手を高々と上げるのがお決まりです。また、お帰りのお客様へ握手でのお見送りも恒例のこと。(本当はもっと良い写真があるのですけれど、お客さんと一緒に写っているのです。いらした方々の笑い顔も良い写真があるんですけどねぇ。お断りなく掲載できないので…残念) 今回、都合がつかずに参加できなかった方、機会があればぜひ、樋口さんのお話をお聞きになる事をお勧めいたします。また下記の著書があります。会場の雰囲気を忠実に伝えていると思いますので、ご興味のある方はお手に取っていただければと思います。 生きてるだけで金メダル(CD付き) 春陽堂書店 1575円 (最新刊) つかむ勇気 手放す勇気 春陽堂書店 1575円 (願う会のことも出てきます) いのちの落語(CD付き) 文芸春秋社 1550円 |
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追記〈岩手のがん対策へのご意見を募集しています〉 今、岩手県では『がん対策推進協議会』をつくり、がん対策の地域計画を策定していますが、岩手にホスピス設置を願う会の川守田代表が「患者の立場から発言をしていきたい」とこの協議会の委員になっています。 がん対策について、ご意見や感じることなどありましたら私や願う会までお気軽にお寄せください。 |
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