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障がい者自立支援法について

2006年9月盛岡市議会定例会 総括質疑
 障がい者自立支援法の実施について質問をしました。以下が質問と答弁の内容を編集したものです。

Q:自立支援法について、利用者・事業者への説明がどのように行われているか。
  10月1日からサービス体系が変更されるが、それについての説明はどのようにされているか。
  今、サービスを利用している人たちに、どの程度、説明が行き渡っているか。

A:17年度から18年度にかけて、授産施設、盲学校、障がい者団体、小規模作業所など39箇所において、利用者や保護者、施設関係者に説明した。出席者の数は1700人程度。
 また、制度移行に該当する障がい者の方全員に説明書を送付した。
 そして、市の広報での周知、パンフレットの作成、市役所の窓口での説明の他に、窓口に来られない方々には訪問して説明をして来た。
 10月から実施する事項もあるので、現在も各施設などに出向いて説明をしている。10月以降も説明を続けていかなければならないと思っている。

Q:10月から始まるサービス体系の変更に関して、サービスを利用している方々から「まだ説明を受けていない」という声を聞いているが、これは事実か。

A:国の方から情報が県を通して来る場合がほとんどであるが、その都度、段階的に説明はして来ている。今回、生活支援事業の一部について8月末に情報が来たり、小規模作業所の件に関しては財源についての情報が、つい一週間位前にようやく届いたという事もあり、それ故、全体をまとめて説明するという機会は正直なところなかった。繰り返し説明をしていかなければならないと考えている。

Q:意見聴取についてはどうか。
  昨年3月には「障がい者団体から話を聞く。パブリックコメントを行う」と発言しているし、今年6月には自立支援法に伴った盛岡市障害者福祉計画の見直しに関して「障がい者や市民、関係団体から意見を聞く」という答弁があった。意見は聞かれたのか。また、どんな意見が出たのか。


A:パブリックコメントは特に実施していない。
  先ほど話した方々に直に説明をし、ご理解をお願いしてきた。 

Q:意見を聞く事とご理解をいただく事は違う。
 障害者福祉計画の見直しについての意見聴取はまだ行われていないのだと思うが、いつ、意見を聞く機会を持つのか。


A:説明会のやり方は、こちら側から資料を準備して説明し、ご出席いただいた方に不明な点を出していただき、その中で色々と意見も出していただきました。その中では「早く全体が解るような説明を、解りやすくして欲しい」というのが、説明会でのご意見だったと認識している。

Q:6月議会で部長は以下の二点を国に要望すると発言したが、その結果どうなったか知りたい。
  また、その結果をどう評価するか。
  1.自立支援法の施行により、サービス低下につながらない様、全国市長会で働きかける。
  2.地域生活支援事業の財政措置は国の義務的経費とする様、要望する。


A:要望の成果として、小規模作業所の件に関して「その要件に関しては市町村の判断にゆだねる」という回答もいただいている。これは、市長会という団体のみならず、全国からの様々な団体の声が国の方に届いた結果だと考えている。
  2については、交付税措置される事になったが、市町村が市町村の事業として障がい者のサービス提供にあたるという形に、財源的にもなっていくのだと考えている。その方向は「良し」と考えている。  

Q:3月の市長挨拶の中で「県や民間事業者と連携しながら必要なサービスの確保に努める」と発言している。県とはどういう連携をしていくのか。また、生活支援事業に関して、県が行う役割とは何だと思うか。それに関して、県と交渉したか。

A:生活支援事業の相談事業に関して、広域の市町村が集まって相談をして来た経緯がある。国の統合補助金化という事があって、その縛りの中で、市町村がどういう負担をしなければならないのか考慮しながら、3つの障がいの相談事業所について、ほぼ同意を得られたという方向で進んでいる。
  県の役割は、市町村に住んでいる方々、市町村にある施設のサービスの提供という事より大きな段階での事についてやっていただかなければならない。これは法律に明記されている。
  また、前述の、交付税措置に変わったことについては(県の負担金がなくなったことを指す)、県の責任放棄だとは思っていない。

Q:他市町村の動向を調査していると思うが、盛岡が参考にすべきものはあったか。

A:これまでの事業を基本的には継続する、ということで、市町村の自己負担の事業を行う所もある。盛岡市としても、東北あるいは県内と同じ様な内容でやりたいと考えている。

Q:現在、障がいを持つ中高生の放課後は『タイムケア事業』で対応しているが、10月1日以降この事業は廃止され、生活支援事業の『日中一時支援事業』で対応することになる。この場合、盛岡でタイムケア事業を行っている事業所のほとんどが、事業が成り立たなくなってしまう可能性がある。というのは、単価が現在の4,000円から半分以下に下がってしまうからだ。
 日中一時支援事業より単価が高い『障害児デイサービス』で対応するという方法もあるが、この事業も09年から見直されることになっているので、やれる保証があるのは実質2年半だけ。
 2年半以降、子ども達の放課後をどう保証するのか。


A:10月1日以降、中高生の療育は『児童デイサービス』で対応することになる。ただし、09年3月までの経過措置となっている。児童デイサービスの報酬単価は、小規模作業所で行うと4,070円ということで、タイムケア事業とほとんど同額なので、ご理解いただけると思っている。
 09年度以降の対応については、障がい児のタイムケアに関してだけではないが、全体を見直すという障害者自立支援法の付帯決議がある。よりよい形で見直されるように思っている。

Q:先ほど部長は「生活支援事業は市町村独自のものとして出来るようになった」とおっしゃったが、今の答弁のように「3年後に見直し」と言うだけでは「結局は国任せ」に見える。
 例えば一関市では、タイムケア事業の単価をスライドさせる形で日中一時支援事業の単価を、3時間以上6時間未満が4,000円、6時間以上8時間以下が5,000円と決定した。これは国から通達が来る前に一関独自の事業として決定をしていたものだ。こういうのが『独自の事業』と言うのではないか。
 また、一関市民の一人当たり民生費は8.3万円、盛岡市では9万円。なぜ、一関では出来て、盛岡では出来ないのか。


A:これまで個別に補助があった事業が統合補助金化されて、全体の中で割り振りされて事業を行うようにという形になった。また、金額もトータルで減額になっている。独自に一般財源から事業を組むことは困難であった。

Q:障害者自立支援法の本来の趣旨は、障がい者が地域の中で自立することだ。そこから考えれば、障がいを持つ中高生が放課後一緒に過ごすのは、教育的効果が高いと考える。2年半後には児童デイサービスがなくなってしまうが、その後、盛岡市でどうしていくのかを考えて欲しいのだがどうか。

A:児童デイサービスの期限が解っている状況の中で、統合補助金の割り振りの中で、どういう形にすれば障がい者の方の自立の手助けになるのかということについて、早めに検討していかなければならないと思っている。

Q:ここから、市長にお聞きします。
  国が10月1日に始まるサービスについて、8月の後半に知らせるなどとは言語道断である。しかし、今回、保護者の方々が一番不安だったのは「結果として、生活支援事業がどういう方向に行くのか」ということ。これから盛岡が障がい者に対して、どういうことをどこまで負担して何をやっていくか、という今後の構想を教えて欲しい。


A:国の一定の方向は出されているが、盛岡は盛岡としての考え方があってしかるべきだ。ただ、全体の財政の中でどこまで対応していけば良いのか、これから障がい者の方も含めて、色々なご意見を幅広くお聞きしながら『この地域で生きていける』という環境を整えていくことが大切だと思っている。

Q:今回のことは障がい者だけの問題ではない。国は、市民に保障されているセーフティネットを次々と外してきている。市長の政治的スタンスがどのようなものであったとしても、市民に危害を与えるような政府の方針と、市長は闘わなければならないと思うが、どうか。

A:常々、この制度には実行していく中で様々な課題が出てくるだろう。全国市長会でもうすでにあがってきているものもあるし、県内市長会においても、想定も含めて、課題がたくさん出ている。制度見直しの時期の前でも、そのような地域課題、現場の声というものを、全国市長会を通じて国に訴えていきたい。

Q:二つ提案したい。
  市長会で訴えるだけではなく、市民と共に抗議行動を行っていただきたい。大阪府ではそのように行われたそうだ。これを実現するためには、市民に自立支援法の中身を知ってもらうことが必要だと思う。
  二つ目は、財団などの補助金を調査し障害者団体に紹介をして欲しい。また、昨年度の『赤い羽根共同募金』の金額は4億3,000万円にも達している。そのような寄付を募るつもりはないか。


A:(答弁は保健福祉部長)関係する方々と一緒に、制度の疑問・課題については、国・県に話していかなければならないと思っている。
 赤い羽根の件については、実施主体が盛岡市社会福祉協議会なので、今の話は伝えておく。

  ※私は「赤い羽根募金で4億円以上も集まるのだから、盛岡市がこの現状を広く市民に知らせたら、それなりの寄付が集まるのではないか。市長が寄付を呼びかけるのはどうだ?」という意の質問だったのですが、誤解されてしまったようです。もう質問時間がなくなってしまっていたので、この部分について訂正できませんでした。

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