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盛岡市議会建設常任委員会資料より(一部 図表省略)) |
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都市計画道路見直しの今後の進め方について | |||
平成16年11月8日 盛 岡 市 |
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目 次 1 はじめに 2 都市計画道路網見直しと整備の状況 (1)将来土地利用計画及び道路網計画 (2)都市計画道路網見直しの状況 (3)都市計画道路整備の状況 (4)中心市街地見直しの懇談会における意見の整理 3 計画策定時の前提条件の変化と今後の動向 (1)PT調査予測値と実績値との比較 (2)今後の自動車交通の動向−12 4 新たな問題の発生 (1)都市計画道路事業費の削減 (2)マンションの急増 5 都市計画道路見直しの課題と今後の進め方 (1)課題の整理と方向性 (2)都市計画道路網見直しの今後の進め方の基本方針 (3)スケジュール 1 はじめに 盛岡市の都市計画道路は,昭和13年の都市計画決定以来,時代の変遷にあわせ,そのつど見直しを行い,事業を実施してきたが,中心市街地を主体とした都市計画道路の見直しについては,県が定めた盛岡広域都市計画基本計画や交通関係調査を基に,昭和54年及び63年に盛岡市都市計画審議会において将来道路網計画及び見直しの基本的事項について審議・了承をいただき,これに基づき事業化の急がれる路線,高層建築物の建築の著しい路線などについて,路線毎に懇談会等を重ね地域住民の理解を得ながら都市計画変更を実施し,現在までに変更が必要な路線延長67kmのうち,約52%の35kmの都市計画変更が完了している。 また,都市計画変更が終了していない路線については,高層建築物等の建築の際は将来の都市計画道路に支障とならないよう,セットバックをお願いし,協力を得ながら進めてきている状況にある。 しかし,都市計画道路は,将来の都市の骨格の形成や交通の確保等を考慮すると,本来は道路網(ネットワーク)として計画されるべきであり,また,中心市街地については地域のまちづくりとも関連することから,これまでの路線ごとの都市計画変更から面的に変更をすることにし,平成13年度から15年度にかけて関係する町内会等と懇談会を実施して地域の方々から意見を伺ったところである。 一方,将来道路網計画については,策定から約20年経過しており,高度経済成長から低成長への移行や少子高齢化,また,全国的な行財政構造改革等この間の社会情勢も変化しており,これらを見通した道路網計画の検証も必要となってきている。 本資料は,このような状況を踏まえこれまでに実施した懇談会における地域の方々の意見や将来の交通需要の今後の見通し等を整理し,今後の都市計画道路の見直しの進め方についての検討したものである。 2 都市計画道路網見直しと整備の状況 (1)将来土地利用計画及び道路網計画 1) 将来土地利用計画 現在の道路網計画の基となっている盛岡都市圏総合都市交通体系調査(昭和61年3月岩手県)(以下「PT調査」という。)においては,盛岡広域都市計画基本計画(昭和56年3月岩手県)における土地利用計画を基本に道路網計画を立案している。 盛岡広域都市計画の目標 ア 北東北の中枢都市 工 教育文化の香り高い都市 イ 高速交通体系に対応した都市 オ コミュニティー意織の高い都市 ウ 恵まれた自然を生かす都市 市街地拡大の方向性 現市街地周辺を囲む山々の緑と市街地を貫流する河川は,盛岡の自然的,歴史的環境を形成する源となっており,市民の精神的文化的よりどころである。 市街地の形成にあたっては,自然的,歴史的環境を色濃く残す市街地は,これらと調和を図りつつ,現在持っている都市機能を確保しながら発展を図るものとし,これから持つであろう発展のエネルギーは,現市街地と有機的に連担した形で,雫石川以南に計画的に誘導する。 2) 道路網計画 PT調査においては,次の道路網構成の考え方により,2環状6放射の道路網が位置付けられた。 都心環状道路の設定 現都心に発生集中する交通の分散路及び通過交通に対し,都心環状道路を設定し,都心部の交通の円滑化を図り,都市機能を確保し,良好な都心地区の形成を図る。 また,新市街地である盛岡駅西口地区,盛岡南地区については,現都心から新都心へ至る幹線道路を設定し,都心環状道路としても利用して,新市街地の形成を図り,現都心と新都心を有機的に連結する。 市街地環状道路の設定 市街地に流入する交通及び市街地を通過する交通に対し,市街地環状道路を設定し,交通の分散を図る。 放射道路の設定 周辺市町村及び,郊外の住宅から市街地,都心部に流入する交通に対し,都心環状・市街地環状道路と連結する放射道路を設定し,円滑な交通を確保すると共に,主要な地域,インターチェンジ等を結ぶことにより,広域交通を確保する。 公共交通軸 現都心と新市街地を有機的に結び,都心機能の適正な分担を図り,発展させるため,現都心〜盛岡駅西口〜盛岡南地区を結ぶバスを中心とした公共交通機関を優先する道路網を設ける。 (2)都市計画道路網見直しの状況 1)見直しの経緯 2) 見直しの必要性 PT調査結果を踏まえ当市の都市計画道路網については,昭和63年の都市計画審議会において改めて次の必要性から将来道路網計画に基づく見直しを行う旨了承をいただき,順次取り進めてきた。 @ 現都心の交通混雑を緩和し,歴史的環境を保守しながら,都心機能を確保し,活性化を図るためには,時代に合った都市計画道路の整備を必要とすること。 A 盛南・盛岡駅西口地区と現都心地区とが,適正に機能分担され,かつ,これらが有機的に結ばれることにより都市の発展を図るためには,都市計画道路の整備が必要であること。 B 都市内の主たる公共交通機関であるバスの円滑な運行の確保に資する都市計画道路の整備は,交通需要に道路整備が追いっかない現状においても,都市交通を確保するための主要な事項であること。 C 都市内の利用交通手段として最も多い歩行者,二輪車の安全確保のための道路整備は,な事項であること。 3) 都市計画道路の変更状況 以上の経過により,都市計画道路の変更を行ってきたが,現在の計画変更の状況は次のとおりであり,主要な幹線道路である4車線道路は郊外部においてほぼ都市計画変更は完了しているが,中心部が残っている状況にある。 (3)都市計画道路整備の状況 将来道路網に対する都市計画道路の改良率は,次のとおりとなっている。 改良率は,他の東北の県庁所在都市に比較して中位に位置するものの,4車線のネットワークが形成されていない状況にある。 (4)中心市街地見直しの懇談会における意見の整理 1) 概 要 平成13年度からは,中心市街地で都市計画変更が完了していない北西部及び東部地区を主体に面的に変更すると共に,昭和13年に計画決定し将来道路網計画に位置付けられていない路線の廃止を行うため,平成13年度においては,市都市計画審議会や市議会,町内会連合会等への説明を行うとともに平成14,15年度には関係する地元町内会等と懇談会を実施した。 2) 平成14,15年度懇談会の概要 開催期間 平成14年5月16日〜平成16年2月24日 開催町内会 本町振興会・山岸地区連合会・八日町町内会ほか48町内会 対象路線数 23路線 開催回数 63回 出席者総数1,304人 意見件数 723件 3)意見の概要 @大項目分析状況 計画に関する事項60% 整備に関する事項16% 地域に関する事項12% その他12% 計画に関する事項 絶対反対:道路を造っても何も良くならない 今のままで何も困っていない 計画を見直すべき:地域は2車線で良い 他所を通せ 計画の前提が変化している 賛成:計画の前提を踏まえた都市には環状道路が必要 4車線にして車道と歩道を設置するのは理想的 幹線道路が途切れており分かりにくい 車が無ければ不便なことも事実 ビジョン:道路網の現状や財政状況を考慮した,長期を見通した道路行政をしっかり持つべき 整備時期:現実を直視し計画や整備時期を明確にすべき 道路整備以外の交通処理方法 バス利用の促進 公共交通促進を踏まえた交通計画を考えるべき それを踏まえた道路計画を考えるべき 今ある道路の有効利用 車の規制の抑制,公共交通の促進を考えるべき 部分改良により渋滞を緩和すべき 今ある道路空間を広く使う工夫をすべき 整備に関する事項 現在の道路に歩道が整備されるだけで良い 安全確保のために歩道整備は必要である。 融雪装置,車椅子利用を考慮した歩道が必要であ る。 広い歩道⇔狭い歩道 代替地.補償:将来の整備に対して代替地,補 償等に不安がある 整備手法:区画整理事業のような他の手法を考えるべき 地区内幹線道路の整備促進 地域に関する事項 生活者や商業者も考えた総合行政 中心市街地を空洞化させないビジョンが必要 今後は,都心部の魅力的な空間が望まれる 道路整備とまちづくりの両方を考えるべき 盛岡の景観を変えるべきでない 城下町としての盛岡を考えるべき 決定による建築規制 道路計画があるのに建築を認めるべきでない 建築制限を緩く,若しくは無くしてしまうべき 制限による経済的損失を被った 市の指導は矛盾がある。 その他 今後の進め方について 今後充分に街づくりも含め地元と話し合って欲しい 計画を全市民に周知すべきだ この話合いによって,両者が納得できるように進めてほしい 3 計画策定時の前提条件の変化と今後の動向 (1) PT調査予測値と実績値との比較 都市計画道路網見直しの基本であるPT調査においては,人口指標やそれを基とした自動車発生集中量等について昭和60年を基準年とし,10年後の平成7年,20年後の平成17年の予測を行い,計画を策定している。これらの指標について,計画時点での状況や予測値と現在の実績値との比較を行うと次のとおりとなる。 1) 人口の状況 PT予測値に対する夜間人口の実績値は年々減少する傾向で,平成15年におけるPT予測値に対する実績値の比率は,盛岡広域において79%,盛岡市においては77%となっている。 一方,従業人口は,平成7年まではPT予測値を下回るものの増加傾向にあったが,平成7年以降はほとんど伸びが見られず,平成12年におけるPT予測値に対する実績値の比率は,盛岡広域において86%,盛岡市においては83%となっている。 2) 自動車発生集中量の状況 自動車発生集中量の推移は,盛岡広域,盛岡市とも夜間人口や従業者人口に比較し予測値に近い値となっており,特に盛岡広域においては,平成11年のPT予測値に対する実績値の比率は103%となっている。 3) 運転免許保有者数の状況 運転免許保有者の推移は,データが入手できる平成2年と平成12年を比較すると,盛岡広域の総数で129%,盛岡市では123%の伸びとなっている。 男女別に見ると,盛岡広域の男性が120%に対し女性が143%,盛岡市では男性が115%に対し女性が136%と女性の伸びが高い。また70歳以上の高齢者については盛岡広域で370%,盛岡市で361%と,急激に伸びている。 4) 交通手段変化の状況 通勤・通学における交通手段別の割合は,昭和55年と平成12年を比較すると自動車の割合が,盛岡広域においては33.6%から53.8%に,盛岡市においては32.1%から50.2%にと大幅に増え,半数以上が自動車を利用している。 他の交通手段は何れも減少しており,特にバス利用者は,盛岡広域において15.6%から6.8%に,盛岡市においては15.7%から7.3%と減少が著しい。 5) 盛岡広域市町村間の流動 盛岡市と盛岡広域内各町村との通勤通学流動について昭和55年と平成12年を比較すると,この間にどの町村との流動も増加しており,全体でみると約2倍の伸びを示している。 6) 道路浪雑状況 昭和55年において主に混雑している区間は仙北町から南大通り,内丸から中ノ橘通り,国道46号,館坂橋以北,国道455号の一部である。 平成11年における混雑区間は,昭和55年の浪雑区間に加え国道4号が全体的に混雑してきており,国道455号等北部から中心部へ流入する路線も混雑が著しくなっている。 (2)今後の自動車交通の動向 今後の自動車交通の動向について概略検討を行うと次のとおりとなる。 1) 夜間人口及び免許保有者数の予測 現在検討が進められている「新しい盛岡市総合計画」(平成16年9月:新しい総合計画にかかる将来人口検討会資料)において夜間人口は,コーホート法を用いて平成27年度まで予測されている。この推計方法により,平成47年度までの盛岡市及び盛岡広域の人口予測を行うと次のとおりとなる。 また,夜間人口予測に基づき免許保有者数を,夜間人口と同様にコーホート法の考え方を用いて推計すると次のとおりとなる。 2) 自動車発生集中量の予測 自動車発生集中量について,各年の免許保有者数を説明変数とする回帰モデルにより予測すると次のとおりとなり,盛岡市においては,平成27年をピークに減少に転じるものの,平成47年においても平成12年を上回る発生集中量となっている。 一方,盛岡広域においては,平成47年においても増加傾向があると予測される。 3) 交通手段の動向 盛岡広域より都市規模が大きい他都市圏のPT調査における代表交通手段の推移を見るといずれの都市圏においても自動車利用だけが増加しており,他の交通手段の利用は減少となっている。 この傾向は,盛岡市及び盛岡広域における通勤・通学の交通手段の推移と同様であり,今後も,盛岡市及び盛岡広域において自動車利用率は増加する傾向と考えられる。 4 新たな問題の発生 (1)都市計画道路事業費の削減 平成15年度に策定された盛岡市行財政構造改革の方針及び実施計画により,公共事業費は40%削減され,街路事業費については平成16年度12.2億円で平成15年に比べ約47%減少している。 都市計画道路の残事業費(区画整理事業等面的整備予定区間は除く)は約2,000億円と試算され,その整備期間は,事業費が平成16年予算15.1億円(道路事業費を含む)で推移した場合は,130年,20億円とした場合は,100年となり,完了するまでには相当長期間を要すると予測される。 また,行財政構造改革の方針により,平成12年に策定した都市計画道路整備プログラムは,計画どおり実施することが困難となったことから,平成17年度に見直すこととしている。 (2)マンションの急増 中心市街地においては,幹線道路を中心とした地区にマンションが急増しており,将来道路網整備可能空間確保のために都市計画変更対象路線に該当するマンションには,高層階のセッ トバックをお願いし,概ね協力を得ている。 この結果,本町通り等の変更対象路線における景観は,幅員約9.2mにも係わらず,マンシ ョンからの圧迫感が軽減される結果となっている。 一方,清水町等の変更対象路線となっていない路線は,セットバックのお願いをしていないため幅員約9.6mと本町通りより広いにも係わらず圧迫感を感じさせている。 なお,盛岡市都市計画マスタープラン都市整備の方針においては,「歴史的景観と調和した街並みを誘導する。」という方針の施策として「周囲の景観と調和するようなルール作りを進める。」と位置付けられても、る。 (2) 都市計画道路網見直しの今後の進め方の基本方針 都市計画道路見直しの地元懇談会を踏まえた方向性や盛岡市の交通の現状と予測等からの課題及び今後のまちづくりの方向性を踏まえ,今後の都市計画道路見直しの進め方の基本方針を次のとおりとする。 1) 総合的な交通体系の基本方針及び計画の策定 新たに策定する総合計画基本構想におけるまちづくりの方向性や都市交通に関する施策体系及び県で定めている盛岡広域都市計画区域の整備・開発及び保全の方針等を踏まえ,今後の盛岡市における総合的な交通体系の基本方針を策定する。 また,交通体系の基本方針及び今後の交通需要動向や公共交通の有効活用,城下町としての特性等を踏まえ,既存の交通ストックの活用も含め,概ね20年後を目標とした実現可能で快適な交通環境に資する総合的な交通計画を策定する。 (担当:企画部:17,18年度策定予定) 2) 将来道路網計画の検証と段階的道路網計画の立案 将来道路網計画については,既に将来道路網計画に基づき整備が進められていることから,既存の計画を基本としながら今後見直しが必要な中心市街地を主体に交通関係の調査を実施し検証を行うと共に,道路の整備量等を考慮しながら,総合的な交通計画に基づき概ね20年程度で実現可能な段階的道路網計画を立案する。 (担当:建設部,企画部:18,19年度調査予定) 3) 中心市街地のまちづくり計画の立案 中心市街地については,城下町としての風情や歴史性,また,山並みをはじめとする景観等多くの資源が残っており,これら歴史を活かしたまちづくりについての方向性(ルールづくり)について,総合計画や都市計画マスタープラン,及び今後策定予定の景観法に基づく計画等を踏まえ策定すると共に,これらの方向性を踏まえた各地区のまちづくり計画を立案する。また,幹線道路沿道の高層建築物等の建築にあたっては,まちづくりや景観の視点でセットバック等による空間確保の方向性についても検討を行う。 (担当:都市整備部,建設部等) 4) 中心市街地の都市計画道路の見直しの進め方 中心市街地を主体とした都市計画道路見直しの進め方については,段階的道路網計画を主体にしながら,都市形成の方向性や各地区のまちづくり計画等を踏まえ,地元の方々と話し合い合意形成を図りながら都市計画変更を行う。 なお,既存の将来道路網計画に位置付けがなされており,道路網の連続性や地域の幹線となる道路等将来道路網計画の検証においても変更がないと考えられる路線、及び代替となる路線が必要のない廃止予定路線については,引き続き都市計画変更を進める。 (担当:建設部,都市整備部等) 5) 都市計画道路整備プログラムヘの位置付けと建築制限緩和の検討 段階的道路網計画に位置付けられ都市計画変更を行った路線については,道路整備プログラムの対象路線とし,総合交通体系の各種施策や都市形成等を考慮した都市全体の優先性の検討を踏まえ順次都市計画道路整備プログラム見直しの中で整備路線として位置付ける。 また,整備が長期的にならざるを得ない路線については,沿道に建築する建築物の規制緩和の方策について検討を行う。 (担当:建設部等) 6) 市民の意見の反映 これらの計画の策定や検討にあたっては,市民等関係する方々から意見を伺いながら進めることとする。 (各部共通) |
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