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簗川ダム取水事業について

平成16年5月31日
水   道   部
簗川ダム取水事業について


1 これまでの経緯
    取水量については,県に対し,これまでの市の投資額を有効に活かせるよう,ダム建設全体事業費の一層の縮減により,可能な限り多くの水量を確保できるよう検討を依頼してきた。
 また,市としても先の水需給計画の検討結果を基に必要水量について検討し、国土交通省,厚生労働省及び共同利水者である矢巾町と協議を行い,取水量を4,300m3/日としたところである。


2 水需給計画について(盛岡市単独において)
   ・ 平常時はもとより,地震・渇水及び水源汚染事故等の非常時においても,安定した給水を行うことが望ましい水道事業のあり方である。
・ 水需給推計の結果,平常時においては,簗川ダム水源を開発しなくても対応可能である。
・ 非常時の場合,最も被害が大きいと想定される御所ダム上流域での水源汚染時には,28,888m3/日不足すると推計される。(表中−@)
・ 非常時としては,一日最大給水量に対応できることが水道事業として望ましいが,水源開発に係る経費が大きな負担となることから,市民の節水等の協力により,一日平均給水量を確保できる量を,必要供給量とすると5,213m3/日不足すると推計される。(表中−A)
 なお,専用水道等を加算しない場合は,3,949m3/日不足すると推計される。(表中−B)

(表) 非常時の平成37年における水需給推計
水源種別供給量(m3/日) 計画一日給水量 (m3/日) 不足量 (m3/日) 計画一人一日 給水量g克/人・日) 備考
表流水 ダム 地下水等 合計
@ 65,850 30,000 0 95,850 最大給水量
124,738
▲28,888 最大給水量 451
A 平均給水量
101,063
▲5,213 平均給水量 365
B     
99,799
▲3,949 〃    360 専用水道 含まず
※ 行政区域内人口 280,140人,給水人口 276,870人
※ 簗川ダム水源を含まない。
※ 水源種別供給量は,最も被害が大きいと想定される御所ダム上流で水源汚染が発生した場合の施設能力。
 (御所浄水場,中屋敷浄水場が使用不能の場合)

 非常時において計画一日平均給水量を満足するためには,表中−ABのとおり簗川ダム水源に3,949m3/日〜5,213m3/日の施設能力を確保する必要があると推計された。このことから,浄水処理におけるロスを考慮すると,水源量(取水量)は,4,225m3/日〜5,578m3/日と試算され,したがって,最低限確保しなければならない水源量は4,300m3/日と考える。



3 取水計画見直しによる有効性について
  簗川ダム水源に,4,300m3/日を確保した場合の有効性については次のとおりである。
(1)長期的有効性
 非常時の中で,最も被害が大きいとされる御所ダム上流域での水源汚染時に対して,計画一日平均給水量(平成37年度)を確保できる。


(2)中期的有効性
ア 沢田浄水場の増量によるコスト的有効性
  取水量31,000m3/日の場合は,新規に浄水場を建設する必要があったのに対し,4,300m3/日の場合は,既存の沢田浄水場の軽微な設備の増設で対応が可能であり,大幅な費用の軽減を図ることができる。
  また・沢田浄水場の浄水コスト(電力料や薬品費など浄水処理に係る経費)は,盛岡市の四浄水場中,最も安価であり効率的である。

イ 盛南開発地区等への対応
 現在,盛南開発地区へは沢田浄水場から配水しているが,近年夏場には稼働率が90%を越えており,その対応として隣接する新庄浄水場の配水区域に切り替えるなど,水運用の中でこれまで対応してきた。しかし,今後さらに盛南開発地区の水需要が増加した場合,現計画では御所浄水場の稼動により対応することとしているが,浄水場の建設や盛南開発地区に向かう配水幹線等の建設などに多額の費用を要し,御所浄水場の整備が後年度になると想定されることから,それまでの間,沢田浄水場の増強で対応することが有効である。


4 矢巾町への配水対応
  矢巾町は,盛岡市と共に簗川ダム建設事業に利水参加しているが,今回矢巾町も取水量を700m3/日に見直すこととしている。
  これまで,盛岡市と矢巾町は取水施設から浄水場,配水施設等を共同で新設することとしていたが,利水量の減量に伴い,矢巾町への配水対応として,沢田浄水場を共同で増設整備し,既設の配水管路を有効に利用して配水することも可能であり,今後矢巾町と協議することとなる。




  以上により,取水量を4,300m3/日とし,本年7月に行われる岩手県内市町村公共事業評価委員会の意見を聞き,最終的に利水量を決定し,16年度に計上している本事業の予算を9月市議会定例会において補正処理させていただきたい。

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