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議会をもっと身近なものに

 市議になってこの4年間、とても素朴に「市会議員って一体何をやっているの?」と聞かれることが間々あります。「国会の方が市議会より身近に感じられる」という声もたくさん聞きました。そういわれる度に、自分の力不足を恥じる半面「でも、そうだよなぁ」と思ってしまう部分があります。(なにせ私自身もそう思っていましたので…)
ですから、皆さんのお話を聞くのと同時に、議会で話し合われている内容やそのシステムについて、出来る限りたくさんの方々に伝えようと思ってきました。決して充分に出来ているとは思いませんが、事務所を開設しているのも議会毎にニュースを発行しているのもそのためです。
今回は9月定例会で継続審議になった二つの請願のケースを紹介して、問題提起をしてみたいと思います。

 議会に市民が直接請求する手段が「請願」

 盛岡市議会のホームページの説明が解りやすいので、以下抜粋します。「市政に要望があるときには、市議会に請願書や陳情書を提出することができます。請願書は、常任委員会で審査され、本会議で 採択、不採択が決められます。なお、請願書には紹介議員の署名(または、記名押印)が必要です」紹介議員とはその請願を議会に「紹介する」議員なので、請願の趣旨や請願事項について原則的に賛同する議員がなります。会派全員が賛同した場合は幹事長が紹介議員になる事が多いので、紹介議員の人数や顔ぶれで請願が採決される可能性がある程度解ります。

<ケース1>
「教育現場における紫外線対策の実施とフロン回収の強化に関する請願」
(請願者 地球と共に歩む会)

この請願は以下を求めています。
1教育現場を通した紫外線に関する情報の提供
2運動会時、子ども席へのテント使用
3プールでの日よけ対策
4耳や首すじも覆える帽子着用の推奨
5スキー時、ゴーグル使用の周知徹底
6フロンによるオゾン層破壊と紫外線の関連の周知徹底。フロン回収の強化

今年の7月、WHO(世界保健機関)が、皮膚ガンや白内障の原因になるばかりではなく免疫力の低下にもつながると「日光浴自粛」を呼びかけた、というニュースを覚えておいでの方もいらっしゃると思います。フロンガスによるオゾン層の破壊で、これまでになかった有害な紫外線(UV−B)が地上に降り注ぐようになりました。今後もオゾン層の破壊は2020年前後まで続くと見られており、子どもの戸外活動の際には紫外線を防ぐ何らかの対策を講じるべきというのはもっともなことと思い、私は紹介議員になりました。

教育長が反対意見を発言
 この請願は新盛同志会(16人)社会・市民連合(6人)日本共産党(4人)の各幹事長と無所属、民主党、市民会議(私です)の各一名が紹介議員になっていました。ずらりと並んだ紹介議員の名前を見て、請願者に「(紹介議員が多くて)良かったですね」と言った記憶があります。正直言って「この請願は採択されるだろう」と思っていました。
雲行きが変わってきたのは教育福祉常任委員会での話し合いの席ででした。請願に関する意見を求められた教育長が「紫外線の害について指導は行なっているが、児童の戸外での活動に制限を与えることになるので、テントやプールの日よけには賛同できない」「仮に20人に一張り必要と考えると盛岡市全体で1294のテントが必要となり、約1億2940万円の予算措置が必要だ」という趣旨の発言をしたのです。
教育長への質問がいくつか出た後、委員会は暫時休憩となり、その後再開した委員会で「この請願についてはもう少し勉強した方が良いので継続審議にして欲しい」という意見が出た後、賛成多数で継続審議が決定しました。

請願者に意見を聞いて欲しかった
 終わってから、傍聴していた請願者にご意見を伺ったところ「テントは学校や町内会などで貸し借りをすれば良いし、プールサイドにはタープを張るなど、お金をかけない方法は工夫次第でたくさん考えられると思う」とのこと。しかし委員会の中で請願者は発言できず、教育長の反対意見に反論することはできませんでした。
継続審議になるまでの過程も「暫時休憩」という非公開の席での会派の話し合い。つまり、どういう考えを持っているのかを表明しないままの議員が大多数なのです。(請願の内容に関することについて意見を述べた議員は賛成意見を言った一名だけです)
私は委員外議員(質問は出来ますが意見は言えません。教育長に質問はしました)なので傍聴していたのですが、納得がいかない話し合いでした。

<ケース2>
「スケートパークの整備とスケートボード場の設置に関する請願」
(請願者SKATE PARKを求める会 署名1619人添付)

この請願は以下を求めています。
盛岡駅周辺で交通の便の良い場所にスケートボード場を設置して欲しい。
また、バスケットコートなど若い人たちが交流できるよう環境整備をして欲しい。

「公道などでスケボーをするな」と言っても、市内にスケートボード場がない現状では説得力がないのは当たり前だと思います。競技人口も増えているようですし、例えば建設の場所など100%請願者の望み通りは無理かもしれないとは思いましたが、作る方向で検討すべきだと考えましたので紹介議員になりました。

「請願団体を知らないから賛成出来ない!」(○△議員) のか?
 この請願は私の所属している建設常任委員会の議題となりました。この中である議員が以下のような趣旨の発言をしました。「請願団体が分からない。体育協会にも加入していないし、この種の請願はしかるべき手続きをふんだ後に出すものだ」
私はこの発言はとても変だと思いました。請願を出す権利は、誰にでも平等に与えられているものです。そこで「どこが出したかが問題じゃない。請願の中身が、必要か必要でないかを話し合うのが議会なのではないか。請願提出のハードルをさらに高くすれば、議会はさらに市民から遠いものになってしまう。」という趣旨の発言をしました。その後「スケートボード場についてもっと知らなければならない。勉強してから結論を出そう」という意見が出て、請願は継続審議となりました。



もっと住民の声を聞くことができる議会に
 この二つの委員会審議を通して、議会のあり方について考えさせられました。
現在、行政の大きな課題の一つに「住民参画をいかに進めるか」があります。これは私の活動の大きなテーマでもあります。市民もそれを求めているが故に、この間、県民との対話を重視する堂本暁子千葉県知事や田中康夫長野県知事が生まれてきたのではないでしょうか。
議会も「いかに住民の声を聞くか」に心を砕かねばならないはずです。
私はこの4年間、地域を歩いて皆さんからご意見をうかがう事を日常活動にしていますが、市政についてご意見・ご提言をお持ちの方がとても多い事に気づきました。この市民の力をもっと議会に反映させるべきだと思うのです。まだまだ敷居が高い現行の市議会を「話しやすい・話せば聞いてくれる」ものに変えていかなければなりません。請願を出しやすくしたり、委員会の中で請願者から意見を聞いたり、質問に答えてもらったりするシステムを作るべきです。また、休憩中に審議の調整をする従来の方法は、市民にとって大変解りづらいものです。各議員の意見の違い・対立点を明確にすること、そしてそれを公表することを進めていくべきだと強く感じました。

議会ももっと積極的に情報公開を
 「権力は腐敗するものだ」と、知人が言っていました。議会は決して「権力」になってはいけないと思います。しかし、盛岡市政の最終的な決定権を持っているのは市議会です。市民が議会に無関心になりチェックを怠れば、やはり堕落していくのではないでしょうか。(幸いにも私には、サボると激しく叱ってくれる方々がいるので、大事に至らずにおります)
平日の日中に開催されるのでご都合がつかない方も多いと思いますが、時間が許す方は傍聴に来ていただけませんか。(特に委員会を)また、市政に関するご質問(例えば「まちづくり全般に関して」とか「議員の仕事・議会の仕組みに関して」など具体的な事でなくとも結構です)には、出来うる限りお答えしていきたいと考えておりますので、ご一報下さい。


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