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2001年9月市議会 一般質問への回答
市長答弁

 始めに、簗川ダム建設事業についてお答えいたします。

 まず、「洪水ハザードマップ」についてでございますが、浸水区域をもとに、広く市民に避難場所の明示と周知を図り、洪水による被害を最小限にすることを目的に、作成したものでございます。
 このマップでは、国の直轄3河川につきましては、想定流量のピーク時において、堤防や護岸が、約5km毎に溢水や決壊すると想定しシミューレートしたものでございます。
 また、簗川につきましては、県からダム計画時の2日間の、総雨量216mmの際の、洪水氾濫区域に関する資料を参考にして、地形図と照合し作成したものでざいます。
 簗川ダムを優先する理由についてのお尋ねございますが、マップの浸水区域と、簗川の洪水氾檻危険区域とは、その目的や使用した想定数値等が違いますので、単に比較できないものでございます。
 簗川ダム建設事業は県が総合的に優先度が高いと、判断しているものと理解しております。

 次に、浸水区域の相違でございますが、ハザードマップと県土整備部の資料は、同じものを使用しておりますが、県が今回使用した地形図は、詳細な地形測量を行って作成したものであり、多少誤差が生じましたのでご理解をいただきたいと存じます。また、葛西橋付近の想定流量につきましては、どちらも毎秒780立方メートとなっております。

 次に、昭和50年以降に発生した簗川流域での浸水被害状況でございますが、昭和54年8月に停滞前線による局地的な豪雨となり、国道106号沿いの川目地区では、築川の増水により、深いところで40cm冠水しておりまして、道路が通行止めとなったほか、市内の家屋44戸に床下浸水などの被害が出ております。
 また、平成2年9月には、台風19号により、簗川が増水し、国道106号の路肩が決壊し、通行止めとなったほか、川目地区の家屋36戸が床上床下浸水の被害を受けております。
 浸水被害の主なものはこの2件ですが、何れの場合も築川流域の被害額は、不明となっております。

 次に、簗川ダムの利水についてでございますが、御所浄水場の稼動につきましては、平成11年度に見直した水需給計画によりまして平成23年度と見込んでおり、その時点での計画給水人口は30万2000人、計画一日最大給水量は12万7,600立方メートルと予測しております。
 また、浄水場ごとの計画給水人口につきましては、各浄水場の配水能力と配水量のバランスにより対応区域を定めておりまして、浄水場ごとの給水人口という捉え方を致しておりませんので御了承願います。

 次に、給水人口38万5640人が可能な社会経済情勢の認識についてでございますが、バブル崩壊後の厳しい社会経済情勢がなかなか好転していない状況にあると認識しております。
 しかし、本市においてはご案内の通り「盛岡広域都市計画基本計画」に基づいた土地利用計画や「第3次盛岡市総合計画」により、盛岡南地区開発や盛岡駅西口開発等大規模な市街地整備を進めており、それを支える道路、上下水道などの都市施設についても、計画的に・整備を図っているところでありますし、今後におきましても総合計画の諸施策を着実に推進しながら、人口の集積を図って参りたいと考えております。

 次に、現在の給水能力では水需要に追いつかないのかとのお尋ねでございますが、簗川ダムは北上川水系では残された開発可能な最後のダムであると認識を致しております。

 今後地方分権の論議が進む中で、水源確保や環境保全、都市計画等の広域行政がいっそう緊密の度を加えていくものと存じております。
 簗川ダムには、本市のほか矢巾町も利水参加しておりますし、また旧都南村から引き継いだ水道水源を水質、水量の安定性の問題により統廃合した経験を踏まえ、簗川ダム水源を確保し、今後広域連携などいかなる状況にも対応して参りたいと考えております。

 また、本市におけるここ15年以内での渇水についてでございますが、本市の水道事業は幸いにもここ15年間、渇水による給水制限は行っておりません。しかし平成7年2月には、簗川から取水している沢田浄水場におきまして、河川流量の減少と凍結により、一時的ではありますが、必要な水量を取水できなかったことがございます。
 簗川ダムの建設によりましてダムの持つ貯留機能により、現在の沢田浄水場の取水についてても安全度が大幅に向上するものと期待しております。

 また、雨水利用については、これまで検討したことはございませんが、ご案内のとおりダムへの貯水も雨水を有効に利用しているものと考えております。
 また、雨水対策としての流出量の抑制につきましては、ご提案の遊水地築造なども含めまして、有効な手段として認識されており、全国的な課題となっております。
 雨水を地下に浸透させる施設の設置や、雨水の貯留施設の設置など、東北地方では、仙台市や塩釜市など、積極的に取り組みを行っているところもあります。
 当市といたしましても、これまでの「雨水の速やかな排除」に加え、地下浸透や貯留による雨水の流出抑制を考慮しながら、「雨に強い街づくり」を目指した、調査・研究を進めて参りたいと存じます。

 次に、簗川・根田茂川流域の自然環境保護についてでございますが、まず、ダム建設予定地に行ってみたかどうか、また、この地区をどのように評価しているかについてでございますが、私は、昭和30年に市にお世話になりましてから約10年間農地林務課におりまして、根田茂、簗川地区は毎年調査あるいは測量などで、山の沢の近辺にテントを張り、寝泊まりをしながら作業を経験いたしておりますので.この地区は十分に承知いたしておりますし.四季折々の自然が美しい地区であると存じておるところです。

 次に、生態系の保全についての私の見解でございますが、県が行いました同地区の自然環境調査によりますと、希少な鳥類や渓流性の小動物、魚類などが生息し、また、貴重な植物相が残る地区とされております。
 このような生態系の均衡が保たれた地域の環境を守っていくことは重要であり、やむを得ず自然環境に影響を与えることとなる場合には、必要最小限にとどめるべきと考えております。

 次に、自然の復元についてでございますが、県では、流域における生態系保全対策として、専門家の指導を得て、水没箇所に生息する個体を移植したりり、ビオトープを創出するなどして、生息環境をできるだけ復元する計画であると伺っており、こうした試みに大いに期待しておるところでございます。また、自然環境の復元に成功した国内での事例でございますが,よく承知はいたしておりません。自然の復元に努めるとする県の姿勢は評価できるものと考えておりまして、市としてもできる限り、これに協力してまいりたいと存じております

 次に、里山の自然を次世代に継承すべきとのご質問についてでございますが、よりよい自然環境を次世代に引き継ぐことは、大きな責務と存じており、自然環境に配慮しながら、治水、利水などの計画と調和のとれた環境の創出に努力してまいりたいと存じます。

 次に、築川ダム建設促進についてでございますが、あらゆる災害から市民の生命や財産を守り安心して暮らせる環境を整備しますことは、市政の重要な課題でもございますので、市民共通のまちづくりの目標となっております第三次盛岡市総合計画におきましても、自然災害の防止や水資源の確保を図るうえから、各機関との連携を図りながら取り組むことといたしているものでございますし、これまでも市議会の皆様とともに県や国に要望をしてまいりました。
 しかしながら、ダムの建設に伴いまして、地域の環境が大きく変わりますので、県におきましては、簗川ダム周辺環境基本計画検討委員会を設置いたしまして、自然環境に与える影響をできる限り軽減し、自然との共生を図りながらダム周辺の整備を行うこととしておりますし、自然環境調査や専門家の方々によります周辺環境調査検討委員会などで、鳥類など生態系に及ぼす影響について検討し、猛禽類などの生態系の保全に配慮しながら計画を進めてきているところでございます。

 また、築川ダムの建設事業費につきましては、国から事業採択を受ける際に、洪水対策手法として、治水ダムと河川改修を併せた現計画案、河幅を広げる引提の案、河道掘削と堤防嵩上を併せた案、堤防嵩上の案の 4 つについて、その長所・短所や事業費を検討比較いたしました結果、現計画案が家屋移転や耕地等に与える影響が少なく、事業費的にも少ない経費で済むとのことで採用されたものでございます。今回、県の事業費見直しによりまして、総事業費が当初の340億円から670億円となり、この内、治水分に当る事業費につきましても約252億円から約500億円に見直されることとなりますが、その場合におきましても、事業費は現計画による手法の方が他の手法よりも最も少ないことに変わりがないと県から伺っているところでございます。
 公共事業評価委員会におきましては、今後の事業内容に大幅な変更がある場合の再評価の実施や事業費縮減への取組み、環境に配慮した事業の計画・実施等の意見が付されましたものの、簗川ダムの事業継続が妥当と認めることで、知事に意見具申されたところでございます。
 このように、事業主体である県の見解が出されておりますし、流域住民の生命・財産の安全が求められておりますので、市といたしましては事業の継続は妥当なことと判断しているところでございまして、市民の意向調査を実施する考えはございませんのでご了承願います。


 次に、松園ゾーンバスについてお答えをいたします。

 松園ゾーンバスは、地区間の格差解消や所要時間の短縮など、松園地区が抱える課題につきまして、従来の運行形態では解決できないことから、バス路線の再編を行いましてゾーンバスシステムといった新しいバス運行の形で実験するため、7月 23 日からスタートいたしたものでございます。したがいまして、松園団地内をきめ細かく運行する支線バスと団地と都心部をできるだけ短時間で直結する基幹バスとに分けまして、この二つを松園バスターミナルで乗り継ぐこととしておりますほか、急行便の増便や最終便の充実、割引料金の設定、団地内循環線の新設などの内容となっているものでございます。開始から1カ月半経過いたしまして、運行ルートやバスターミナルでの乗り継ぎ、停留所の位置、環境問題などたくさんのご意見、ご要望が寄せられてございます。

 最初に、騒音や排気ガスに対する対策についてでございますが、従来運行していなかった道路への乗り入れや地区間格差の解消のための増便などによりまして、コースによりましては、従来とは異なった環境が生じているところでございます。現在、9月下旬を目標にダイヤの改正を進めているところでございまして、支線バスのルートの見直しや運行本数の調整などにより、できるだけ騒音や排気ガスが生じないように対応してまいりたいと考えております。

 また、低公害車両の導入につきましては、バス事業者に車両更新時に順次切り替えていただくよう、お願いしているところでございます。
 次に、支線バスへの小型車両の利用についてでございますが、現在、バス事業者が適切な車両を保有していないことから、今後は小型バスの導入も検討していただくよう要請してまいりたいと存じます。

 また、ゾーンバスの利用者につきましては、13年8月の上田線及び駅上田線の基幹バス利用者は約 227,000 人、支線バス利用者は約74.000 人となっております。松園地区におきましては、基幹バス利用者と支線バス利用者の多くが重複しておりますことから、支線バス利用者を含めないで基幹バス利用者の数値のみ
と12年8月の上田線及び駅上田線の利用者数と比較いたしましても 4,000 人程増加しておりまして、ゾーンバス全体の利用者は増えている状況にございます。

 次に、ダイヤ改正の内容についてでございますが、7月 23 日に実証運行を開始いたしましてから、利用者の方々から電話や手紙、電子メールなどで、更には直接訪問をいただくなど、多くのご意見、ご要望をいただいております。これらを元に運行本数の調整や日中の直通便の設定などを内容とするダイヤ改正を行うこととしております。

 次に、自家用車が増えているとのご指摘でございますが、ゾーンバスは自家用車使用からバス使用に転換していただくことも大きなねらいとした計画でございまして、そのために夜の便を増設したり、自宅に近いバス停から乗車いただけるようきめ細かい運行ルートを設定しているものでございます。まだ実験途中の段階でもありますことから、ダイヤ改正後に実験前に調査している自家用車台数と比較するなど、検討してまいりたいと存じます。

 次に、これまで市やバス事業者に寄せられた主な感想、意見は、バスの便が増えたことや回送バスが走行することによります騒音や排気ガスの増大のほか、バスターミナルでの乗り換えの負担を軽減してほしい、基幹バス、支線バスが時刻どおりに来ない、全てのバス停に停車してほしいなどとなっておりまして、9月下旬からのダイヤ改正時に併せて反映させるようバス事業者と協議を進めているところでございます。

 次に、意向調査についてでございますが、バスの利用者につきましては、8月末から支線バスや基幹バス、バスターミナルなどを利用しての満足度やご意見を調査いたしておりますし、また、自家用車等の利用者につきましては、盛岡市快適通勤連絡会議などの事業所からモニターを募集し、実際にバスを利用していただい
たうえでの評価を調査することとしております。今後とも、利用者の方々から広くご意見を伺いながら改善すべきところは改善しながら進めてまいりたいと存じますので、ご理解を賜りたいと存じます。


 次に障害福祉課の窓口に関してでございますが, 事務室の位置としては,高齢者や障害のある方,あるいは,お子さん連れの方等の利便を考えますと,本庁舎1階がベストではありますが,この1階では福祉部門5課の収まるスペースを確保することが困難であります。 福祉の各種相談窓口としては,相談内容のプライバシーの保護に考慮しながら,5課連携のもとに同一フロアーにあることが望ましく,次善の選択として現在の5階に置いているものでございます。
 5階にあることでの及ばない面につきましては,今後とも1階総合案内と連携し,職員が1階の総合案内に出向くなど窓口機能,受付体制の充実に努め対応して参りたいと存じます。


 次に、街区公園を中心とした公園の安全についての御質問でございますが、街区公園などを計画的に配置するに当たりましては、公園利用者の利便性を踏まえ、周辺の土地利用の状況を勘案しながら、出来るだけ複数の道路に接することや見通しが悪くなるような不整形な形状にならないことなど、安全面での立地条件にも配慮しながら公園の位置を決めておる所でございますし、土地区画整理事業におきましても同様に進めておる所でございます。

 また、樹木などの植栽につきましても、道路などからの視界を妨げないよう、また、高い生垣などは作らないよう配慮して計画しておりますが、樹木の生長などにより見通しが悪くなった公園につきましては、地元の方々とも相談し、樹木の伐採や移植、剪定などその都度、実施しておる所でございます。
 特に街区公園につきましては、今後とも児童の安全という観点からも、開放的で安心して遊べる公園となるよう適正な公園管理に努めて参りたいと存じます。



教育長答弁

私に対する御質問にお答えいたします。
 はじめに、学校施設の構造上の欠点を補う対策についてでありますが、職員室や校長室から学校全体を見渡せるような施設を造ることは、現実的には難しいと考えられますが、教育委員会といたしましては、次のような対応を行ってまいりました。
 市内各小中学校等に対しまして、施設設備の点検を行うこと、学校内外の巡視を強化すること、来校者に対して挨拶や声がけを行い来校の目的を確認すること、学校周辺の地区民に協力を要請すること、異常事態が発生した場合の対応策などを指導してまいりました。また、県教育委員会に対し、防犯体制等について国に要望するよう要請するとともに、市内各警察署長に、幼稚園、学校周辺の警戒の強化をお願いしたところであります。

 なお,施設面につきまして,特に,市立小学校の児童用昇降口と職員室等の配置状況にっいて.調査を実施したところでございます。
 その結果、職員室及び事務室とも 2階にある小学校2校について,来校者の受付対応が適切にできるよう ,さらに,安全管理の点からも,事務室を1階に移設することとし,現在,工事を進めておりまして、10月末に完成の見込みでございます。
 また,緊急非常時における各小学校及び幼稚園の危機管理の一環として,非常用携帯ブザーを購入し,10月までには、小学校及び幼稚園の全部の教職員に配布することとしております。
 次に,立木の剪定についてでありますが,教育委員会の調査によりますと、立木の繁茂により道路から校庭内がまったく見えない状態にある学校は見当たりませんでしたが、学校の樹木は,地域や学校,児童生徒が大切に育てている貴重な財産であり,樹木の成長とともに,子供たちの心身の成長も大切に育んでいかなければならないものと考えております。
 教育委員会では,良好な教育環境を保持するため,地域住民の多大な御協力や奉仕をいただきながら、各学校と協議して進めておりますが、今後とも、それぞれの学校の実状に即し、適切な対応に努めてまいりたいと存じます。

 次に、『開かれた学校』のイメージとそれを創り出す方法についてであります。

 『開かれた学校』 は、地域住民に見守られながら児童生徒が喜んで登下校する学校、日常的に授業や遊びなどのボランティア等で保護者や地域の人々が集まる学校、安全確保・環境維持などにおいても地域住民・関係団体の人々が気軽に参加できるような学校であると認識しております。
 このような『開かれた学校』を創り出していくためには、安全に関しましては、学校にかかわる人々の学校に寄せる思いを大切にしながら、教職員間の連携を図るとともに、保護者や地域、学校間、警察などの関係機関等の理解と協力を一層深め、相互の情報交換等を積極的に進めていくことが、安全で開かれた学校づくりに繋がるものと考えています。

 以上,私に対する御質問にお答えいたしました。




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