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2000年6月一般質問および関連質問

 一つ目は情報公開に関連してお聞きします。

 盛岡市では来年4月からの試行を目標に公文書公開条例の見直しを行うと4月21日の新聞紙上にありました。記事によれば「情報公開法や県の条例と整合を図る必要がある」「地方分権時代においては、できるだけ多くの情報を住民に開示、提供する必要性を認識」と考えていらっしゃるとのこと。徹底した情報公開は地方自治の活性化の第一歩であると私も考えます。
 情報公開について先日、東京地裁で画期的な判決がありました。「東京都武蔵野市土地開発公社が行った土地売買契約書などを市が非公開にしたのは違法」と同市の住民が非公開処分の取り消しを求めた訴訟で4月27日、東京地裁は「公社が管理している11件の土地売買契約書を開示する」よう言い渡しました。青柳裁判長は「契約書は公社と市が共同で保管している文書で、市の情報公開条例が定める公開文書にあたる」と述べたと言います。原告側の弁護士によると「公社の文書が市との共同保管と認定されたのは全国で初めて」とのこと。時代は情報公開へと動いているのだなと感じました。
 私は昨年、6月定例会の一般質問において「第三セクターも情報公開すべきではないか」という所見を述べました。全国各地で第三セクターの経営が悪化し、地方自治体の財政を圧迫している事実がありましたし、また、長期化する不況の中で「第三セクターが天下りの温床になっているのではないか」という市民からの懸念の声があったからです。市長からは「市行政との一体性や財政支援の面からも情報公開が進められる必要があると認識している」との前向きな答弁を頂きました。

 前述の新聞報道によれば、今回実施機関の見直しも検討にあがるとのこと。庁内で検討されている現時点での見直し案と、基本的な考え方についての市長の御所見をお聞かせいただければと思います。
 また、いま行政に必要なことは、政策は市民の要望を基礎とし、大衆民主主義の方法で煮詰めていくことです。つまり行政はいかに市民の要望に答えていくか、を追求していく事に他なりません。徹底した情報公開と共に、市民の声を聞く機会を最大限増やしていくことが求められていると思います。あらゆる施策決定前に様々な市民の中での検討が充分に行われれば、行政サービスは格段に向上するのみか、コストの削減も図られるはずです。今回の公文書公開条例の見直しを機会にもっと参加型の施策づくりを進めるべきではないでしょうか。全ての審議会、各種委員会に市民公募の枠を設けるべきと思いますが、市長はいかがお考えでしょうか。


 二つ目は介護保険制度についてです

 本来は「誰でも、何処でも、必要なときに必要なだけ介護サービスが受けられる」社会を作ることを目標に始まった介護保険制度ですが「4月1日以降、介護サービスが使いづらくなった」という声をあちこちで耳にします。私も含めて多くのみなさんが懸念していたことが、現実になってしまいました。制度の導入により高齢者福祉は後退を強いられたのではないでしょうか。介護保険制度は国が決定したものです。ですから高齢者福祉の後退をもたらしてしまった一番の責任者は政府であり、厚生省だと私は考えます。しかしこの制度の弊害によって盛岡市民が困ってしまう、難儀してしまうことがあれば、行政はそれに対処しなければなりません。まずこの点について市長がどう考えていらっしゃるのかお聞かせ下さい。

 市民の皆さんが困っていることの一つに要介護認定のことがあります。コンピューターで行われる第一次判定のソフトに重大な欠陥があることは、介護保険制度導入の前から指摘されておりました。痴呆の方々の介護度が実際より低く出てしまうという欠陥です。こんな事になってしまったのも、介護施設で集めたデータを基にして各要介護度の「介護に要する基準時間」を導き出したからに他なりません。介護施設は元々徘徊等を行っても安全なように作られています。それを自宅介護のケースに当てはめるのはそもそも無理があるのではないでしょうか。介護を必要とする高齢者にとって、施設ではできた事でも、自宅に帰ればできない事はたくさんあります。また、車椅子等、何らかの補助器具を使用している方にも、同様のことが言えるのではないかと思います。県や市の窓口に相談に来るなど、実際に表面化しているより多くの方がこのことで困っていると思われますが、今後どのように対処されるおつもりでしょうか。お答えいただきたいと思います。また、ソフトの変更までにはかなりの時間を要する中、二次判定にもっと時間をかけ、病歴や介護の状態のみならず、家族構成や、生活状況、家の間取り等々まで検討する必要を感じます。市長はどうお考えでしょうか。

 要介護認定について不満が出るのは、それが保険の給付を決定するからです。昨年度までは行政が必要と認めれば受けられる介護サービスに上限はありませんでした。しかし要介護状態区分によって上限が定められた今、それを超えれば全額自己負担になるわけですから、介護サービスを受けることにおのずから自己規制をしていく傾向が出るのは自明のことではないでしょうか。それが端的に現れているのはショートステイの利用だと思います。「利用枠が少ない」という不満の声をよく耳にしておりましたが、実際に山岸和敬荘でうかがったところ、4月1日からショートステイの利用は激減したとのことです。ショートステイの保険給付枠が少なく設定されたため「いざという時のために」使わずに取っておいている方が多いからだと思われます。また、ホームヘルプサービスもお金がかかる身体介護より、折衷型を選択する方が多いと聞きます。要介護状態の区分を6段階も設け複雑にしている事は不合理きわまりなく、結局細かくランクを決定する事でサービスの給付を制限するためでは無いのでしょうか。少なくとも結果としてはそうなっていると言わざるを得ません。

 このような事態を見聞きすると「介護保険制度とはサービスの給付を制限するためのものなのか」と憤りを感じます。誰しもが社会の一端を担って生きているはずです。私は日本が、長い人生の行程の行き着く先に、それぞれの尊厳を守って生活ができる社会であって欲しいと思います。それは私のみではなく誰しもが願っていることなのではないでしょうか。「お金が無いが故に満足な介護が受けられない」という人たちが生まれてしまう事は絶対に避けなければいけません。国の政策でそういった事態が発生する可能性があるのであれば、地方自治体として極力手を尽くしていく責任が私たちにはあるのだと思います。もちろん財政危機の折り、全てを満足させることが出来るとは私も思いません。しかし、100パーセント充分ではなくとも、市が独自の政策を検討し、高齢者の尊厳を守ろうとする姿勢を示すことは出来るはずです。

 新聞報道によれば3月末の時点で保険料を独自に減免する自治体は141、利用料を減免するのは247自治体に上っています。例えば北海道の北村では利用料を所得に応じた段階的軽減策を採っています。また、前述のショートステイを例にとれば、大阪府吹田市では決められた利用日数に市独自の90日分を上乗せする施策をとり、宮城県仙台市では他のサービスをショートステイに振り替えた場合、利用者が料金を全額立て替え払いしなくてもすむように、市が前倒しで払う施策をとっています。どの自治体も財政危機の中、少しでも介護保険を使いやすいようにと工夫を凝らしています。盛岡市でも創意と努力が必要だと思いますが、現状ではそのような取り組みが見られません。なぜなのかお答え下さい。


 次に子供達を取り巻く状況とそれに関わる行政の支援策についてうかがいます。

 一つ目は認可外保育所についてお聞きします。

 少子化が急速に進んでいます。本県でも昨年11月1日現在で14歳以下の人口は21万7千7百8人で人口に占める割合はたった15.4%。その根本の原因は経済的な貧困が広範にかつ急速に進んでいることだと思いますが、それに伴って働く女性の増加と、その労働形態に合った子供の保育場所が少ないことが上げられると思います。今後の景気動向から考えても残念ながら企業の倒産・リストラ等はまだ続くと思われますし、労働賃金の伸びも期待できません。そればかりではなく、女性の意識が社会参加の方向に向かっている事からも、職を求める女性はさらに増え続けると予測されます。また、労働形態が多様に変化していることから、女性の職場もいわゆる「9時から5時まで。土日は休み」というものではなく、夜間勤務、交代勤務、休日勤務が大幅に増えているのが現状です。

 私は昨年から「認可外保育所にも行政からの財政支援が必要」という立場で常任委員会の場などで質問させていただいておりました。その際「盛岡市の場合は長期に渡る待機児童はいない」「社会福祉法人の規制緩和が行われる予定なので、認可外保育所が行政からの補助を必要とするなら社会福祉法人化を目指して欲しい」とのお答えでした。私自身もそれぞれの認可外保育所の現状についてよく解っているとは言えなかったものですから、今回、アンケート調査を行いました。ただし「夜間保育所」は入っておりません。

 以下、報告をさせていただきたいと思います。
 認可外保育所に通っている子供たちは生後4ヶ月から7歳までと幅が広いですが、そのうち70.7%が2歳以下です。認可保育所を選ばなかった理由として「時間が合わない」が28.3%「近所の保育所が満員だった、または近所の保育所で0歳児保育をやっていない」が11.5%「近所の保育所で休日保育をやっていない」が9.1%「遠い」が5.3%。つまり「認可保育所が客観的条件面で合わなかった」と答えている方々が54.2%にものぼるのです。今通っている保育所を選んだ理由を聞いた項でも上記の点をあげた方々は57.9%にのぼります。しかしこの項では「知人からの評判を聞いて良いと思った」9.3%「家庭的暖かみがある」7.1%「無添加食材使用等、食事がきちんとしている」3.8%「病気でも対応してくれる」4.9%等様々な理由が挙がっており、認可外保育所の努力を感じる事ができます。この項に「利用している保育所に満足している。良くしてもらって感謝している」といった感想を書き込んでくださっている方が多数見られ、保育所と保護者間の意志の疎通が非常に良くできているようです。

 設問の最後に「行政に要求があれば何でも結構ですのでお書き下さい」という項を設けました。ここにはいろいろな角度からの様々な意見がたくさん寄せられました。象徴的なものをいくつかご紹介します。まず一番多かったのが「無認可保育所に何らかの行政の援助をして欲しい」というものでした。しかし「補助と引き替えに規制を押しつけられるのは困る」という意見もありました。その他には「保育に関するニーズは多様化している。そこを考えた保育政策を考えて欲しい」「祖父と同居しているがため、認可保育所に入れなかった。しかし小さい子供の世話を祖父に頼むのは難しい」「認可保育所の申し込みの書類を揃えるだけで数カ所を回らねばならない。そのために職場を休まねばならないがそれは無理」等です。また育児休業や有給休暇が取りづらい職場の現状や、妊娠したり乳幼児を抱える女性への企業の差別について切々と訴える書き込みもありました。

 認可外保育所の経営は非常に厳しい状況です。私が回った内でももうすでに保育所を閉めてしまったところが2カ所もありました。しかしお話を聞くと「経営は厳しいが、この保育所を頼りにして働きに出ているお母さん達の事を考えれば、止めることは出来ない」と皆がおっしゃるのです。またアンケートの中にも「要求があるので、出来るのであれば夜間保育をしたい」「子供達の健康管理や食事の質をもっと上げたい」などの積極的な意見もありました。障害を持っている子供を一緒に保育している保育所もあります。

 児童福祉課にうかがったところ、認可保育所では一時保育をしているところが2園。休日保育は4園。そして延長保育は多くの園で行っておりますが、時間は19時までです。延長保育の時間をさらに延ばすことは検討されているそうですが、夜間保育までは考えていないとのこと。また、認可保育所は0歳児・1歳児が大変混んでいること、子供の数のばらつきにより待機児童が出てしまう可能性の高い地域もあることなど教えていただきました。

 私はこれらの結果から「認可外保育所は盛岡に必要なものだ」と強く思います。もし全ての認可外保育所が無くなってしまったなら数百人の子供達の行き場が無くなり、数多くの保護者が職場を辞めなければいけなくなるでしょう。しかし、昨年の少子化対策臨時特例交付金での補助がおりるまでは、認可外保育所は行政の補助からは全くはずれた存在でした。全ての保育に関わる方々、そして子供の保護者は、子供達の健全な育成を望んでおります。認可保育所に通う子供も認可外保育所に通う子供もみんな同じ盛岡の子供達です。行政の援助に支えられて見守られて育っていって欲しいと私は思うのです。

 市長は認可外保育所の社会的役割をどうお考えでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

 認可外保育所を経営なさっている皆さんから「もし、行政からの補助があるとしたら、どういう形での補助を希望するか」とうかがったところ「夜間勤務の保母に対しての補助」「健康診断を受けさせるための費用の補助」「毎日の牛乳代位の補助」「障害児の受け入れに対する補助」等いろいろなご意見がありました。障害者の就労の際に行われているように乳幼児一人一人について補助を出していくという方法も不可能では無いと思われます。認可外保育所への補助は、保護者が安心して働き続ける事につながり、経済活動にもプラスになるはずです。ぜひとも認可外保育所への援助をご検討頂けないでしょうか。
 通告では「子供の居場所づくり」と「人間関係の教育」となっておりますが、この2つは密接に関係しており、分けてお話することが出来ませんでした。市長に関わる質問と教育長に関わる質問がありますが、一緒にお話させていただくことをお許し下さい。


 近年、子供が犯罪に巻き込まれる事件が多発しています。

 同じ位の子供をもつお母さん方と話になる機会が多いのですが、みな不安を抱いています。昨年「不審な車があるので警戒して欲しい」という趣旨で西警察署の署員が回ってきたそうです。どうも子供を車にむりやり乗せて連れ去ろうとしたとか。そこで城北小学校、月が丘小学校、青山小学校の学区で、外で遊んでいる子供達に「こんな話を聞いたんだけど」と話を聞いてみると「それだけじゃないよ」と「こんな変な人もいる、こんな人に声をかけられた」といろいろと教えてくれました。このことで「子供が犯罪に巻き込まれる事件」は遠くの大都会で起こっている事では無いと感じた次第です。

 今春「子供はどこで犯罪にあっているか」という題名の衝撃的な本が出版されました。この本によりますと、中村攻、千葉大学園芸学部緑地・環境学科教授が千葉県市川市と東京都江東区、葛飾区でそれぞれ5千人、3千人の子供達を対象に犯罪に巻き込まれる実体を調査したところ、地域の性格に関わりなくどの小学校でも高学年になるまでに4割前後の子供達が犯罪の危険に遭遇しているというショッキングな事実が判明いたしました。そして「犯罪が発生する場所には空間的特徴がある」事に気づいたと中村教授は言います。区画整理によって生まれる公園、再開発地区、駅周辺、集合住宅団地等で樹木や建物の陰に隠れてしまう死角、ここで子供達は犯罪の危機に遭遇しています。盛岡全域を調査したわけではありませんが、確かに現存の児童公園周辺は立木や住宅で仕切られ、ひっそりとしている所が少なくありません。今、盛岡でも区画整理事業があちこちで行われ、盛岡駅西口、西南地域は開発の真っ最中です。子供達の遊び場となる公園の設計が「犯罪の回避」という観点から考えられているのかどうかご質問したいと思います。


 以上はハードの面ですが次にソフトの面から提案を一つさせていただきたいと思います。

 犯罪の危機に合った場合、多くの子供達は無力です。大人相手の場合、体力的にもそうですし、また「大人の言うことは聞くものだ」と教えられています。以前は地域社会の結束が犯罪の進入を防ぎ、子供達を守っていましたが、現在そればかりに頼るのは、なかなか難しい状況です。子供達に自分の身を守る方法を教えなければならないのではないでしょうか。「子供への暴力防止プログラム」通称CAPというものがあります。アメリカで生まれた「自分の身を守る方法」を教えるプログラムで、全国各地でこの授業を行うところが急増しています。自分の命、そして他人の命の大切さを学ばせ、犯罪の危機に合った場合どう対処するかを、実際に大声を出させたりなどして学ばせるこのプログラムは、犯罪の被害を避けるだけではなく、いじめや差別の問題を考える際にも大変有効だと聞いています。学校や幼稚園の授業に導入する事ができれば大きな効果をもたらすと思いますが、いかがでしょうか。


 次に子供達の遊びと人間関係を結ぶ時間と空間を確保するために考えていただきたいことがあります。

 近年「子供は変わった」と言われます。人と深い関係が持てない、我慢が出来ない、創造性が無い等ずいぶん言われています。しかし、もし、子供達にそのような傾向が現れているとすれば、それは明らかにこの間の社会の変化の影響であり、自分とは違う他者と広く、深く関わる中でそういったことを学ぶ機会が無いことこそが本来の問題なのではないかと私は思います。高度経済成長の中で子供達は年齢の違う同志で遊ぶ「はらっぱ」と呼ばれた空き地を失いました。また、核家族化は地域社会のつながりを弱め、以前からあった社会的規範が急速に崩れ、それに変わって当時の学校の尺度、つまり「大人の言うことをよく聞くいい子」だとか「勉強の出来る子」だとか、そういったことが社会の中でも人をはかる物差しになってしまったとの指摘もあります。その後訪れたバブル景気の崩壊と大量失業時代は子供達から「将来の夢」も奪ってしまおうとしています。

 こういう時代、私たち大人は子供達に「人や自然とのつきあい方」を教えなければいけないのではないでしょうか。それを学ぶ場を作ってやらなければいけないのではないでしょうか。杉並児童館「ゆう」や世田谷の「冒険遊び場」等はそういう取り組みなのだと思いますし、「子供達の自己責任」という考え方を中心に据えているため、成果も上がっていると思います。自分たちで遊びを作っていくことこそが、子供達にとっては生きた学習です。幸い盛岡市周辺には豊かな自然が存在し、杉並や世田谷とはまた違った形で優れた「子供の居場所」が作られる可能性があります。「お金をかけて、整地をして」といったことではありません。自由な遊びが生まれることを保障する組織、グループの存在が重要なのだと思います。学校、幼稚園、保育所、児童館、学童保育、ボーイスカウトなど子供に関わる方々とそして何より子供達自身によって、友人ととことん遊んだり、一緒にまったりしたりする子供達の居場所を作っていく必要を感じますがいかがお考えでしょうか。

 また、学校の中でも「人との関係を創り出すための教育」の必要性を感じます。画期的なことに見前中学校ではエンカウンターの授業を始めました。しかしこれらの教育はまだあまりポピュラーなものではありません。私も前述したCAPの他は平井雷太氏が提唱しているインタビューゲーム、ユニセフが紹介しているいくつかのゲーム以外は知りません。これらについては私などよりも教育委員会で研究なさっていると思います。もちろん採用する、しないは学校長の判断になりますが、判断材料が大変不足しているのも事実です。見前中学校の校長先生にもお話をお聞きしましたが、エンカウンターの導入と実施は大変なご苦労があったと、そして現在もあるとの事でした。また、私の場合は私立幼稚園ですが、地区のPTA活動の際にも、保護者の間で児童心理やカウンセリングについて知りたいという声が増えているのを実感しております。教育委員会でこれらの新しい教育について学校やPTA等にご紹介いただくシステムを作るのは難しいでしょうか。教育長のお考えをお聞かせ下さい。


市長答弁

 まず最初に、現在運用しております公文書公開条例の見直し案と基本的な考え方でございますが、原則として市の保有するすべての情報が公開の対象となるものであることを明らかにしていく必要がありますことから、見直しの主な検討項目といたしまして、公開対象者の範囲、市が出資している法人情報の公開の考え方、公開対象の公文書の範囲など、大分類で十項目程度の見直しを検討しているところでございます。現在、盛岡市公文書公開審査会からの意見をいただきながら、見直しの作業を進めているところでございます。

 見直しの基本的な考え方といたしましては、市民の市政に対する理解と信頼を深め市政への参加を促進していくため、情報公開のより一層の推進と行政情報の利用を進めていくうえでの環境を整備していく必要があるものと考えておるところでございます。

 次に、全ての審議会各種委員会の委員等に市民公募の枠を設けることについてでございますが、公募は市民の要望や意見を幅広くうかがうとともに、市の施策に対する市民の理解とご協力を得るためにも大変有意義であると考えており、これまでの緑の基本計画策定懇話会の委員などをはじめ,七つの審議会等での公募を実施いたしまして全庁的に取り組んでいるところでございます。今後も、審議会等の性格や委員の任期等を考慮しながら、公募の拡大を図ってまいりたいと存じます。

 次には、介護保険制度についてでございますが、

 まず、介護サービスが使いづらくなるなど制度の弊害ということでございますが、この制度は、人によって異なる介護の必要度というものを客観的的な基準によって判断し、それに基づきサービスを提供し、その費用を相互に負担しようというものでございます。したがいまして、利用手続きや利用料など、従来とはいろいろな面で様変わりし、発足当初においては戸惑いも多かったことと思われますが、このことを制度の弊害とは認識しておらないものでございます。利用者の相談に応じるケアマネージャーも当初は不慣れな部分がありましたが、今後、経験を積むことにより利用者への円滑な指導ができるものと考えておりますし、保険者といたしましても引き続き制度の周知について努力をしてまいる所存でございます。

 次に痴呆のある方の第一次判定の問題でございますが、確かに要介護度が軽く出る傾向はあるようでございます。介護認定審査会では、訪問調査に不備がないか、一時判定の結果が適正であるかどうかを検討し、さらに訪問調査員の特記事項や主治医意見書、状態像の例を参考にしながら最終的な2次判定を行っております。したがいまして、痴呆や障害のある方についても調査漏れがないよう適切な調査に努め、介護認定審査会での適正な審査判定の徹底をしているところでございます。

 また、認定ソフトにつきましては、早急に見直しを行うよう国に求めておりまして、国でも施設、在宅での介護の実態の調査を実施すると伺っております。
なお、家族構成や生活状況等は要介護度そのものに影響を与えるものではなく、環境に応じたより適切なケアプランを作成する際に加味されるものでございます。

 次に市独自の対策の取り組みについてございますが、低所得者の方々に対する負担軽減につきましては、これまでも国庫負担による軽減策を国に対して強く求めてきたところでございまし、先般の全国市長会の総会におきましても、国費による恒久的な対策を速やかに確立することの要望の決議をいたしまして、直ちにその運動を展開いたしたところでございます。私は介護保険制度は全国で統一された基準によりまして実施されるべきものであって、市町村が独自に行うべきものではないと基本的に考えておりますので、今後も所得の低い方々に対する軽減策につきましては、引き続き国に求めてまいりたいと存じております。
また、ショートステイの振り替え利用につきましては、当市においても償還払いではなく受領委任払いにより、他のサービスと同様に1割の負担でサービスが受けられるよう取り扱っているところでございます。

 次に、認可外保育所の社会的役割とこれに対する援助についてございます。

 昨年の4月時点での保育所入所待機児童数は、全国で約3万2千人と言われており、特に待機児童の集中しております都市においては、独自に一定の基準を設け、これに合致した認可外保育所を認可保育所に準じたものとして指定し、認可保育所にはいることができない待機児童が、こうした施設に入所した場合い助成措置を講じていると伺っております。

 こうしたことから、認可外保育所も認可保育所を補完するものとして、大きな役割を果たしているものと存じております。
当市の場合い、市の認可保育所41施設の定員は、3,690名であり、本年度5月時点での入所児童数は3,504名、入所率は95パーセントとなっております。
 今年の4月1達時点では、特定の認可保育所に入所を希望する7名の待機児童が発生しておりますが、5月の時点で、これらの児童は、すべて希望保育所に入所したところでございます。

 諸般の事情で認可外保育所にお子さんを預けている方もおられる訳ですが、近年、特に3才未満児の入所希望が増加しており、市としてもこれに対処するために、乳幼児定員枠の拡大を図って来ているところでございます。   

 今後さらに、認可保育所における乳幼児定員枠の拡大や延長保育、一時保育等の拡大を図りながら、多様な保育事業に応えるための努力を続けたいと存じます。

 こうした状況から、当市におきましては、認可外保育所への助成につきましては、今のところ考えておりませんので、ご了承いただきたいと存じます。


 次に、子供たちの遊び場となる公園の設計が犯罪の回避という観点から考えられているのかというご質問でございましたが、

 公園設計に当たりましては、その地域の状況を踏まえ、公園の位置、規模、形状、遊具や広場などの施設配置、そしてどのような樹木を植えるかなどの植栽計画を作成して進めるわけでございますが、御指摘のようにその公園の位置が適正かどうかの検討もちろんでございますが、道路や林地から死角にならないよう配置して計画を進めているところでございます。東屋などの設置場所につきましては特に注意を払っておりまし・照明灯の位置につきましても同様に配慮しております。

 また、植栽する場合も比較的大きくなる樹木や横に広がる樹木はできるだけ間隔をあけるように努めておりすまし、隠しとなるような垣根などはつくらないよう心がけているところでございます。既設の公園につきましても、地元の方々とも相談しながら、樹木の管理や施設の改善なども進めておりますので、御理解をいただきたいと存じます。


教育長答弁

 子供への暴力防止プログラムについてでありますが、このプログラムは日本に入ってきてからまだ日が浅くて、これを実施しての成果とかあるいは課題等についての実践資料を十分に得ることができない状況になっております。今後、これについての資料の収集にまず努めていかなきゃならないと考えているところであります。

 それから、犯罪から自分の身を守る方法につきましては、常日頃からそれぞれの学校で指導しておるところでありますけれども、変質者とかあるいは不審な声かけだとか、非行、暴力の事故などが起こるたびに、さらに具体的な対処方法などを指導するように、学校には常日頃から働きかけているところでございます。

 それから、子供たちの居場所づくりについてではありますけれども、市内の180カ所の町内会で組織する自治公民館や地域の公園や地区活動センターなど、プ多くの施設を積極的に利用できるのだと、そう思っております。また、教育委員会では、300人を超える少年指導員を要請しておりますし、それからシルバー指導員とともに各地域で子供たちと遊んだり一緒に協力したりというふうなことで協力してもらえると、そういう体制にありますので、これらを大いに活用していただきたいと思っていますし、家に引きこもらないで既存のスポーツ少年団とかボーイスカウトあるいはガールスカウト、地域の子供会等のグループで活動することも大事ことだと考えております。

 また、区堺少年自然の家では専門職員を配置して、文字どおり自然との触れ合い活動を促進しておりますので、大いにご利用いただきたいとも考えているところであります。さらには、子供たちが集まって楽しく遊んだり勉強したりできる各種の施設の行事予定を記載した情報誌の発行や、それから農作業や自然体験などの全国子どもプランの活動も教育委員会では強力に支援して推し進めておりますので、これもおおいに活用していただきたいというふうに考えております。

 次に学校での人との関係を作り出すための教育についてではありますが、好ましい人間関係づくりにつきましては、教育委員会といたしましても生徒指導の重点として力を入れていることのひとつであります。御案内の新しい方法につきましては、エンカウンターと先ほどお話ございました、エンカウンター、人間的な成長を促すという、そういうエンカウンターのほかピアサポートと呼ばれるプログラム、これを支え合い、お互いに支え合うというプログラムでございますが、こういったことなどを見前中学校のほかにも実戦に取り組んでいる学校が出てきております。教育委員会ではカウンセリングや、エンカウンターについて、校内研修会を実施する場合には講師を紹介して派遣をするという事業を今年から立ち上げたところであります。また関係研修講座を夏、冬2回実施しております。このほか、県の総合教育センターや生涯学習センターでは、教員だけではなく一般の方々への最新の情報提供や研修講座が準備されているところでありますので、今後もこれらの機会が有効に活用されるように、私たちも啓蒙を図ってまいりたいと考えているところであります。


追記

 その後「認可保育所でカバーしきれない部分にどう対処していくのか。経営を度外視して保護者の要求に応えてきた認可外保育所に日を当てるような行政が必要ではないか」との再質問に「いずれ望ましい保育をするためには一定の施設なりあるいは人員配置なりあるいは保育方法なり、そうした基準をもってやるべきであるという考えを持っております。そうした中で、いまご質問のような低年齢児あるいは時間あるいは休日、そうしたご要望に対しましては認可保育所の機能を拡充していく方向でこれを整備していかなければならない、そういうふうにとらえておりますのでご了承いただきたいと思います」と太田祐三福祉部長が答弁した。


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