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2000年12月報告 
肴町屋内プール存続

市長、「市民との対話」は口先だけ?!

肴町屋内プール一方的に廃止

 盛岡市12月定例会は「肴町屋内プールの存続を求める請願」をめぐって大揺れ。
 今回問われたことは、単に「屋内プールをどうするか」ではなく「市民参加の市政とは何か。」ということでした。

 教育福祉常任委員会の中では、対立する市側とプール利用者・地域住民との双方が満足できる方法はないかと、実現可能と思われるいくつかの提案がなされましたが、市は廃止の方針を繰り返すばかり。

 市長、「市民と対話する市政」とは相変わらずの口先だけなのですか?!
 時間をかけ、もっとたくさんの市民に意見を聞き、それぞれについて検討をすべきではないでしょうか。


請願までの経過

 肴町屋内プールの存続を求める陳情が、プールを利用する水泳愛好者の会「万泳会」から市議会に提出されたのは9月議会でした。本会議一般質問の中でも取り上げられ、市長と教育長(肴町屋内プールは教育委員会の所管)から以下のような趣旨の答弁がされました。

A 総人口に対する屋内プールの割合は東北主要都市の中では一番高い。

B 肴町屋内プールは建設から25年が経過し劣化が激しく全面改修が必要。

C 維持管理費に約5000万円かかる

D 財政状況が厳しく学校校舎や公民館、少年自然の家の改築などに予算をまわしたい。

E 肴町屋内プールは廃止し、敷地には杜陵小学校のプールを建設する。現在の利用者は本宮の屋内プールや来年度末完成予定のクリーンセンター余熱利用プールなどを利用してほしい。


 屋内プールは建設から25年立ってなお、年間のべ85000人以上の市民が利用する大変人気のある施設です。しかし、肴町屋内プールの廃止について議会全体で正式に話を聞いたのはこれが初めて。施設を管理する体育協会には事前に説明したそうですが、利用者や地域住民には何の相談も報告も無かったとのことです。

 この事態を受けて肴町屋内プールの存続を求める市民が「肴町屋内プールを存続させる会」を結成。存続を求める署名に取り組み、14000余の署名と共に12月議会に「盛岡市立屋内プール存続に関する請願」を提出しました。(紹介議員は浅沼信一、阿部和平両氏)請願の理由は以下の様なものです。

A 中心地街には多くの市民が集うコンベンション施設が必要。

B 屋内プールは利用者が多く、しかも幼児から高齢者まで利用層が広い

C 交通の便が良く、自動車を持っていない市民の利用に最適。

D 周辺商店街への経済効果が大きい。

E 年間を通して利用でき、スポーツ振興に重要な役割を担っている。


屋内プールの補修を放置してきた市の責任

 この請願は私が所属している教育福祉常任委員会にかかるため、教育委員会から以下のような資料が提出されました。

A 1992年にプール全体の劣化度調査をやっているが、全体的に劣化が激しく「危険建築物として改築の対象となり得る」と言う結果が出ている。2000年に行った目視のみの調査でもそれがさらに進行しており早急な対処が必要とされる。

B 全面改築をすると消費税込みで6億円かかる。

C 3年前補助金制度が改正され、談話室やトレーニング室を配置した総合的な体育施設でないと補助金は出ない。従来より広い敷地と相当な事業費が想定される。従って国庫補助金等の導入で現在と同規模程度の施設を現在地に建設することは難しい。


 資料を検討してみて一番初めに疑問を持ったのは、なぜもっと早い段階で改修を行わなかったかということです。
 プール利用者の安全を考えれば、少なくとも3回、改修に踏み切らねばならない時がありました。
 
 一回目は1982年です。震度7以上の地震があった場合でも建物が倒壊しないように安全基準が見直されました。

 二回目は1992年。前述の劣化度調査により「危険建築物として改築の対象となり得る」という結果が出ています。

 三回目は1995年。耐震改修促進法が成立し、大地震に対応できるように改修を進めた場合、改修費への補助制度もあります。

 しかし、教育委員会はいずれの時にも改修を行いませんでした。
 特に92年と95年は「危険建築物」と判定され、なおかつ工事をした場合の補助制度も出来たわけですから、この時点で何ら改修を検討しないのは、明らかに怠慢です。

 この様に私が資料を検討した結果、教育委員会の「プール存続は無理」との見解は自分たちの管理責任を棚上げした結果であり、「国庫補助制度が全く無い」というのも事実と異なる事が解りました。
 「きちんとした検討もしないまま、安易に出された廃止の結論を鵜呑みに出来ない」という考えで、私は常任委員会に臨みました。


二日がかりの教育福祉常任委員会の結果は…

 常任委員会の中では改修をしなかった教育委員会の責任についてや、本宮の総合プールは肴町屋内プールの代替になりうるか等について私と鈴木議員から質問がされた後「屋内プールは大変恵まれてた立地条件にある。あの場所を杜陵小学校だけのプールにしてしまうのは惜しい。杜陵小学校の生徒も含めてもっと大勢の市民が利用できる方法はないのだろうか」という意見が青木議員から出され、それを受けて青木議員と藤川議員からそれぞれ以下のような二つの提案がされました。

A 小学校のプールとして屋内プールを建設し、市民に開放する。東京都内の学校で実際に行っている。

B かねてから手狭で建て増しをしなければならなかった保健センターを屋内プールの敷地まで拡大して立て直す。そしてその中に健康増進施設として、プールを建設する。杜陵小学校では今までのように、そのプールを授業に使う。その場合「総合的施設」なので国庫補助もあり得る。教育委員会のみではなく全庁的な計画とすれば出来るのではないか。


 しかし、教育委員会は「教育委員会に配分される予算は少なく、屋内プールの全面改修・立て替えは不可能」という主張を繰り返すばかりで、新たに出てきた提案を検討するそぶりは全くありませんでした。

 この請願について話し合った二日間、約5時間に渉ってプールの存続を目指した議員と教育委員会の間では話がかみ合わないまま、唐突に北田議員から採決を求める動議が出され、継続審議を求める意見も少数で請願は不採択となりました。

請願の継続審議についての賛否

教育常任委員会
賛成 反対
新盛同志会 北田正夫
熊谷喜美男
高橋比奈子
守谷祐志
明政会 藤川智美 林邦雄
社会・市民クラブ 千葉健一
共産党 鈴木礼子
公明党 青木道雄
市民会議 いせ志穂

請願についての賛否
本会議
賛成 反対
新盛同志会 菅野正
北田正夫
熊谷喜美男
佐々木勲
佐々木弥一
佐藤栄一
高橋比奈子
高橋雪文
千葉正
藤村直次郎
堀合正民
守谷祐志
吉田栄佐己
吉田久孝
明政会 藤川智美 伊藤俊光
遠藤政幸
金沢陽介
工藤由春
小枝指博
小平芳孝
高橋金兵衛
中村一
林邦雄
村田芳三
社会・市民クラブ 本宮秀孝
佐藤たえ子
細川光正
刈屋秀俊
佐々木信一
千葉健一
共産党 小杉正夫
浦川陽子
鈴木礼子
庄子春治
市政クラブ 浅沼信一
佐々木吉兵衛
公明党 青木道雄
嶋貫尚
市民会議 いせ志穂
民主党 高橋重幸
無所属 阿部和平


「市民との対話の市政」は口先だけ?

 この常任委員会を通して、私は再び盛岡市政最大の問題点にぶつかりました。それは「市民を信頼し意見を聞く。その為には時間と労力を惜しまない」という姿勢に欠けていることです。

 マリオスの建設しかり新市場の使用料問題しかりプラザおでっての正面玄関のスロープについてしかり、全て根っこはここから起きたことです。肴町プールにしても、もし、市側が「何が何でも廃止」という方針を改め、もっと市民の声を聞いていたら、さらによい提案が出てきたと思うのです。選択肢が広がったと思うのです。

 「市民との対話」「行政は最大のサービス産業」など、普段桑島市長が言っている言葉が大変むなしく感じられました。

 だからこそ市民の代表である議会は、この様な行政をもっと厳しく批判するべきです。議会との緊張関係がない行政は怠慢に陥ります。
 市民の立場に立って行政を監視し、提言していく力を生み出す為に、今後も微力ながら頑張りたいと思います。そして、いつか市民の政治を盛岡で作り上げていくために、みなさんの力を期待しています。ご意見をお寄せ下さい。

情報公開条例が成立

新しい情報公開条例の内容

 以前も何度か触れましたが、新しい情報公開条例が今議会で成立しました。以前の「公文書公開条例」に比べると理念としての質的向上、開示情報の量的拡大が積極的にはかられ、私は大変評価しています。以下、特徴的な事を記載します。

A 書類以外の情報も開示する。対象は市が保有している全文書。(法律などで不開示とされている情報、個人情報、公開することで競争上などの利益を侵害するおそれのある情報等を除く)

B 市民の「知る権利」及び行政の「説明責任」の理念を明記。

C 盛岡市民でなくとも、日本国籍を持たずとも、誰でも請求権がある。

D 「決裁、供覧等の手続きが完了し」の要件が廃止。(決定前の情報が入手できる可能性が広がったということ)

E 手数料は無料。かかる費用は書類のコピー代(1枚10円)電磁的記録ならフロッピーディスク代等実費のみ。

F 市が出資する出資法人は保有する情報の開示に努めねばならない。

G 開示決定は原則として請求があった日から15日以内。

H 2001年4月1日から実施。


情報公開条例の限界

 前述のようにこれは大変良くできた条例だと思います。しかし限界もあります。例えば今まで良くある話では、プライバシーと公共性に関してどちらが優先されるのかは、ひとつひとつの判断になります。また「何を市の情報とするのか」という点があります。これはちょっと複雑な話になりますので具体的に「議員の政務調査費」の例で説明したいと思います。

 地方分権一括法により、2001年4月1日から議会内でも条例化せねばならない事がたくさん生まれました。議員で構成する「議会制度検討委員会」の中で今は「政務調査費」について話し合いが行われています。

 政務調査費とは議会活動を活発にするため、歳費とは別に調査活動費として支給されているお金で、各自治体で支給の条件、用途、額は異なります。盛岡市議会では今年度いっぱいまでは以下の様になっています。

A 原則として議員3人以上で構成する会派に対しての支給。しかし私のようないわゆる一人会派にも支給されています

B 用途は「市政に関する調査を目的とする事」で政治活動などには使えません。調査活動と政治活動の境目が曖昧なため、多くは控え室の備品や資料の購入や視察等に使っています。
 (ちなみに私は市民アンケートを委託する際に調査費を使っています。私が今まで行った一般質問の中では「介護保険について」は無作為抽出の電話アンケートを、「認可外保育所について」は市内の全無認可保育所に対する記入式のアンケート調査を行った結果から分析して原稿を書いたものです。政務調査費が無かったら、あれだけ規模の大きな調査は出来なかったと思います。)

C 月額は5万円。半年ごとまとめて指定金融機関に払い込まれます。

D 会計報告は必要ですが、細目は添付しなくとも良いことになっています。(保管の義務はあります)

 この政務調査費は昨今「議員の第二の給与になっているのではないか」と疑いを持って見られるようになりました。
 こうなった原因は会計報告が大雑把であることが大きな要因です。ですから政務調査費の使途報告には領収書を添付すべきだと私は思います。

 「政務調査費の報告に領収書の添付は必要なし」と先日決定しました岩手県議会でも、現行のままなら盛岡市議会でも、政務調査費会計報告の細目は「市の保有する情報」にならない可能性が大きいのです。

 「何を情報として市民に提示していくか」は、議会を含めたその自治体の民度を示すと思います。条例が出来たことで満足せず、もっとガラス張りの市政を創り出すよう頑張りたいと思います。

12月議会ミニミニ報告 ―市長・部長の答弁より―

保育について

 保育料の軽減は昨年・一昨年と行ったが、今後も財政状況を見て行う。第三子の保育料無料化は県の助成がないと無理と思われる。午後8時までの延長保育を来年度は数カ所で行う予定。病院保育は利用者が減っているため、拡大の予定はない。

 (私の意見)
 働く形態が多様化に保育所は追いついていないと思う。乳児を預けて仕事をしていた経験から言えば、遅く帰って来て遠くの保育所まで迎えに行くのはかなりしんどい。延長保育の拡大は大変評価できるけれど、それと共に、今まで認可保育所からこぼれた部分の保育を担ってきた無認可保育所への補助を考えるべきではないのか。


学校給食について

 可能な限り地場産品が利用されるよう努めるが、地場産品のとりまとめ・配送などのシステムを市が作っていくのは、価格や搬入の問題で生産者と折り合いがつかなかったため、現時点では困難。

 (私の意見)
 農協とか大きな所にだけ当たって「生産者と協議した」と言っているのではなかろうか。不安。価格や搬入の条件を入れて公募をしてみたら良いのではないかと思う。


介護保険料の減免について

 何らかの低所得者対策は必要と考えている。が、市独自の減免策はとらない。11月9日に全国市長会で「国が早急に何らかの対処をすべきである」という趣旨の特別決議をあげた。

 (私の意見)
 今、保険料徴収で困っている人達がいることにはどう対処するのかについて一般質問で聞いたが市長は答えてくれなかった。独自減免に踏み切るべき。


資源回収について

 資源回収を行っている団体の8割は地域子供会。その実績は96年度をピークに下がってきているが少子化の影響で今後も減っていくと思われる。回収を促進するため、報奨金制度を来年度から見直す。

 (私の意見)
 報奨金の引き上げには賛成。あわせて、希望する各地域がストックヤードを建設出来るよう何らかの施策を行うべき。また生ゴミ回収は実施を前提に検討するべきと思う。


前潟地区へのマイカルの出店について

 大型店規制法の廃止により規制のための条例制定は出来ない。マイカル側の出店の意向は変わらず。「来年度半ばでなければ店舗面積等は固まらない」との事。店内にシネマコンプレックス形式の映画館を予定しているとのことだが、映画館通りとの共存可能な適正規模になるようマイカルには要請していく。

 (私の意見)
 家具店につとめている方のご家族に「東京インテリア効果」という話を聞いたことがある。遠距離から東京インテリアに買い物に来たけれど、思ったようなものが無いため流れてきたお客さんが結構あったそうだ。新聞の情報によればマイカルは「ちょっと高級なもの」を扱うとか。ならば地元商店街と一緒に、もっと攻勢に出る対策を考えるべきでは。シネマコンプレックスにしても「適正規模」より内容では。ワーナー以外は入れないとか、そっちの方がより問題だと思うのだが…(一映画ファンとして言わせてもらえれば、スクリーンが小さくとも見たい映画を見るよ)

催し物案内

父母・市民・小中高生・大学生・教職員でつくる2001年学校フォーラム

 日時 2001年2月10日(土)10時30分〜15時
 会場 アピオ(岩手産業文化センター会議室)
 
 昨年「学校運営に子供達を参加させよう」という考えの基に開かれた「学校フォーラム」が再び開催されます。今回は私も実行委員としての参加です。テーマは「部活・スポ少問題」と「チャイルドライン」

 「チャイルドライン」には以前から注目をしていて、ぜひ岩手でも作りたいと思っていました。「きれる青少年」等とマスコミで騒がれていますが、子供達を怖がり罰則を強化しただけでは問題の解決にはなりません。

 思いおこせば私も10代の頃は、意味もなく孤独で、荒ぶる心を持て余した事もありました。今、大人になってすべき事は子供達の話を聞き、彼等自身が自分で答えを見つけれらるように一緒に悩むことだと思うのです。

  フォーラム当日にはすでにチャイルドラインを実施している地域からゲストを呼んで話し合いが行われます。ぜひ、多くのみなさんのご参加をお願いします。


チャイルドラインとは

 イギリスで1986年に作られた24時間つながる子供専用電話。

 民間のボランティアによって運営され、子供達に指示するのではなく、話を聞く中で一緒に問題解決の方法を探っていく姿勢が支持され、イギリスでは一日に一万本もの電話がかかって来るとの事。児童虐待や自殺の防止、子供同士の人間関係から生じる問題などの解決に大きな成果を上げている。

 日本でも1996年頃から各地でチャイルドライン設立の動きがあり、現在全国15カ所以上ですでに開設、または準備が進められている。

オムニバスタウン事業にあなたの意見を

 盛岡市では通勤時の渋滞解消や二酸化炭素排出量を減らしていくため、オムニバスタウン事業を実施します。市の計画は以下のようなものです。

A マイカー通勤を減らす為、市街地・松園・青山・旧都南地区で、巡回バス・盛岡駅までのシャトルバスをそれぞれ運行。

B バス専用レーンを延長・PTPSシステムの導入でバスの定時運行を計る。

C 低床バスの導入やバスロケーションシステムを利用した停留所の建設でバスの利便性を向上させる。

D パークアンドバスライド(バス停付近に駐車場を設けバスへの乗り換えを計る)・サイクルアンドバスライド(バス停付近に駐輪場を設けバスへの乗り換えを計る)・レールアンドバスライド(駅周辺にバス停を作りバスへの乗り換えを計る)の推進。

 今年6月からは松園地区の巡回バス実験運行が計画されています。事業が最終決定する前に出来るだけ多くの提案を市に対して行うことが、多くの人達に利用されるバスシステムを創り出すことになると思います。今現在バスを利用している方も、利用していない方も「どんなバスシステムなら使うのか」ぜひ意見を寄せてください。

いせ事務所で検討した「現行バスの問題点」

A 時間に関すること。
 ・時間通りに来ない、着かない。
 ・運転時刻がまちまちで覚えにくい。

B バスの車体に関すること。
 ・ステップが高く乗り降りが不便である。

C 路線や行き先表示に関すること。
 ・路線の案内がない。目的地に行けるかどうか解らない。
 ・行先表示が解りづらい。

D 料金に関すること。
 ・料金が高い、あるいは料金が高いのではないかと思っている。
 ・乗り換えのたびに料金を支払うのが面倒だ。



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