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「カブールノート 戦争しか知らない手どもたち」山本芳幸著 幻冬社 より

アフガニスタンの10歳の少年の願い


 僕は、戦車、カラシニコフ、地雷を知っています。でも、「平和」というのがどん
なものか知りません。見たことがないからです。でも、他の人から聞いたことがあり
ます。
 僕はたくさんの武器を知っています。ほとんどの武器は、バザールや、街や、学校
の壁や、家の前や、バスの中や、その他どこでも見られるからです。
「平和」というのは鳥のようなものだと教えてくれた人がいます。また、「平和」と
いうのは運だと教えてくれた人もいました。でも、それがどうやってやってくるのか
は知りません。
でも、「平和」が来ると、地雷の代わりに花が植えられると思います。学校も休みに
ならず、家も潰されなく、僕も死んだ人のことを泣くことがなくなると思います。
「平和」が来たら、家に帰るのも自分の家に住むのも簡単になると思います。銃を持っ
た人が「ここで何をしている?」とか訊かなくなると思います。
「平和」が来たら、それがどんなものが見ることができると思います。「平和」が来
たら、きっと僕が今知ってる武器の名前を全部忘れてしまうと思います。