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2010年12月定例会 一般質問

2010.12.13 発言者 いせ志穂
全国的経済情勢について
 全国的な貧困の状況
 この10年間における中間層の減少
国の税制について
  税による所得の再配分機能と投機経済の関係
  1億円以上の金融資産への課税及び所得税の累進制の強化
  現段階での消費税増税は最大の愚作盛岡市の経済状況について
岩手県、あるいは盛岡市における市場の狭隘化来年度予算について
  雇用の考え方
  行うべき事業市営住宅の管理について

   
音声
 多分、今回の質問が、今期最後の一般質問になると思います。私は2002年前後から、国内外の富の分配の著しい格差が現在の長期的不況の根本的な原因であり、その解決のために偏った富の再分配が必要であると主張してきました。しかし残念ながら、状況はますます深刻になっています。一刻でも早い対応を行う必要を感じます。

全国的経済情勢について

 まず、はじめに全国的な経済状況について、どのようにお考えなのかお聞きしたいと思います。

@全国的な貧困の状況 

 約10年前から、市民の間で貧困が進んでいると考えてきました。それも、相対的な貧困ではなく絶対的な貧困、つまり他人と比べて所得が低い、ということではなく、その貧しさによって生命をおとす可能性を大きく孕んだ貧困がです。それは、自殺者と虐待事件の件数に表れております。
 1997年には2万4,391人だった自殺者は、翌年の1998年から約8,500人増え、昨年まで大きく減少することがありません。少ない年で3万1,042人、多い年では3万4,427人、年間の死者の2.8%をも占める割合になっています。平成21年の交通事故死亡者は4,914人ですから、交通事故で亡くなる方の6倍以上の方が、自ら命を絶っているということになります。自殺者の70%が男性で、経済・生活問題を自殺の動機に上げている方は、やはり1998年から約6000人と急増しており、一番多い2003年は8000人を超える方々が、経済・生活問題を理由に亡くなっています。


平成22年5月発表警察庁統計資料に最新データを追加したもの
自殺者の推移

自殺者の推移


原因・動機別 21

1999年から相談件数が増加している児童虐待も、その原因の大きな背景に貧困があると私は考えます。児童虐待に関する相談は、2002年、2003年で一旦伸びが鈍化しますが、その後再び急増し、2008年度には児童虐待防止法施行前の1999年度と比べて3.7倍の数になっており、命を落とす子ども達も急増しています。


厚生労働省雇用均等、児童家庭局資料より

また、高齢者虐待も年々増加していると聞きます。このような絶対的貧困の広がりについて、市長の認識をお聞かせください。

市長答弁

 伊勢志穂議員のご質問にお答え申し上げます。はじめに,絶対的貧困,貧しさによって命を落とす可能性をはらんだ貧困についてでございますが,本市の自殺者数を見ましても,全国的な傾向と類似しており,平成10年を境に,それ以前の40人台から,それ以降は60人台,80人台まで増加を示しています。また,全国的な調査や評論によりますと、自殺者増加の原因は、不況の影響が大きいとの指摘もございます。一方で,平成10年以降の全国の失業者との関係では.必ずしも、失業と自殺者数がりンクしていないことも、論じられているところでございます。
 いずれにいたしましても、生活困窮が、社会犯罪や育児、教育など様々な面に影響を及ぼしており、経済・雇用の状況や本市の生活保護世帯の動向からも、失業などにより、生活に行き詰まりを感じている方が増加しているものと認識しております。
 次に,所得格差と日本経済のあるべき姿についてでありますが、所得格差は,お示しの数値からも、他の調査研究からも、その広がりが報告されておりますが,世帯構造や高齢化などによるものや,雇用者所得,事業所得、財産所得といった所得の構成要素から格差を生じるものがあり,様々な要素に起因して,日本の所得格差は年々拡大しているものと存じます。
 また,日本のあるべき経済の姿につきましては,国民の可処分所得を増やすことはもちろんの子とでございますが,海外輸出の産業政策,内需拡大のための国内政策,所得の再配分機能など,多くの検討課題がありますので,その中で日本経済の発展を志向し.あるべき姿を考えなければならないものと存じております。
A この10年間における中間層の減少

 1990年代の、公共事業による景気浮揚策が失敗に終わってから、日本は景気低迷の悪循環に入ってしまっていると考えます。インターネットで見つけた記事ですが、日本の一人当たりの家計最終消費支出は1998年から減少しており、この様な傾向は主要先進国では日本だけに見られる現象だとのことです。
http://sugar.alic.go.jp/world/world01/world0803a.htm - 1
 厚生労働省では毎年「国民生活基礎調査」を行っており、その中に「所得金額階級別にみた世帯数の相対度数分布」というデータがあります。これはその年の世帯の所得金額を「100万円未満」「100万円から200万円未満」という風に100万円毎に刻み、その階級に所属する世帯数が全体の何%であるのかを調査したものです。
 この調査によれば、1996年には所得400万円以下の世帯は35.6%でした。それなのに12年後の2008年には46.5%にものぼっています。問題はそればかりではありません。1996年は60.6%だった平均所得金額以下の世帯の割合が、2008年には61.5%と増加しています。1996年のグラフと2008年のグラフを重ねてみると、所得500万円から1400万円の階級がかなり減っていて、所得400万円以上からのカーブが急勾配しているのを見ることが出来ます。日本国民全ての所得が一律に減っているのではなく、この10年間で所得格差が更に開いていることを示すデータだと私は考えます。

所得格差の増大は、大きな悪影響を及ぼしています。戦後日本の経済発展に見られるように、一定の購買力を持つ層が増えることによって経済市場は拡大するものです。一握りの大金持ちの消費する量は限られており、景気浮揚の鍵は一人当たりの可処分所得を増やすことにかかっているのは言うまでもありません。これこそが最良にして最大の成長戦略であると私は考えます。現況の所得格差に関する認識と、今後の日本経済のあるべき姿について市長のお考えをお聞かせください。

国の税制について

 貧困の状況と、それを生み出した景気低迷、その原因としての所得格差についてお話をしてきました。次は、これだけの所得格差を作った国策について、私の考えを述べながらご質問したいと思います。

@税による所得の再配分機能と投機経済の関係

 所得格差を広げ、中間層を激減させ、貧困を拡大している原因は、1980年代以降、政府がとってきた高所得者への減税に大きな原因があると私は考えます。所得税の最高税率は1986年までは70%でしたが、1999年には37%まで下がり2007年には40%になりました。高額所得者の中でも不労所得の多い人たちには「分離課税による節税」というおまけがついています。財務省によれば2007年の申告者の所得税負担率は、所得1億から2億円の納税者の26.5%が一番高く、それ以上の高額納税者、例えば所得100億円以上では14.2%と、むしろ低くなっているのです。
金融機関を通じた上場株式の譲渡益にかかる税率は2011年分までは7%ですが、これは所得195万円を超え330万円以下の方々に適用される税率10%よりも低い税率です。2012年分からは15%に引き上げされる予定ですが、この税率ですら所得330万円を超え695万円以下の方々の所得税率である20%よりも低いものです。
実質経済への投資より投機へとお金が流れていくのは明白です。しかし悲しいことに、現在では、マネーゲームの市場が膨らんでも、国民の所得に与える影響はほとんどありません。投機は大規模な雇用を作り出さないばかりではなく、投機の財源を作り出すために人減らしを行う傾向すら生み出しています。
 高額所得者への増税を行うべきだと考えるのは、一石三鳥の効果があるからです。まず、財源が確保できます。次に、税が持っている所得の再配分機能を強化し格差是正が行えます。そして、マネーゲームから設備投資などの実質経済へ資本流入を誘導することにもなるのです。「これをやらない手はない」と私は思うのですが、ご見解をお聞かせください。

A1億円以上の金融資産への課税及び所得税の累進制の強化

 具体的には、当面、2つの税制改革を行うべきだと考えています。
一つは、一億円以上の金融資産への課税です。
1997年から国民全体の所得は減り続けているのにも関わらず、金融資産残高は2007年と比較して約180兆円も増えているという話を耳にしました。ここに課税を行うことは、財政危機を救うばかりではなく、投機経済への資本の流入を抑制し、実質経済への投資を誘導する施策にもなり得、有効な手段だと考えます。
もう一つは、所得1800万円以上の税率の刻み数を増やし、最高税率を上げることです。これは既に政府が検討に入っておりますが、高額所得者の課税を強化し、セーフティネット施策の財源に充てることが出来れば、貧困がもたらす社会不安に歯止めをかけることが出来ます。それによって、必要以上の「家計防衛」を防ぐことが出来れば、冷え切っている内需の増大のための大きな力となるに違いありません。
市長はいかがお考えでしょうか。

B現段階での消費税増税は最大の愚作

 さて、報道によれば、民主党の「税と社会保障の抜本改革調査会」では、「国民全体で広く薄く負担する」「安定した税収」との利点から、社会保障などの財源として消費税を重視し、税率引き上げの際には社会保障の目的税にすべきだとの考えを示したとのことです。
 市長は消費税増税に関してはどのようなお考えでしょうか。
 私は消費税の増税は決して行ってはいけないと考えます。経済格差が景気低迷を作り出している現在、逆進性が強い消費税増税を行うのは具の骨頂以外の何者でもありません。そもそも日本の国税収入に占める間接税の割合は36.3%であり、イギリスやイタリアと同程度です。決して税金の直間比率がいびつな訳ではありません。
 現在の日本の景気低迷が始まった1997年には、日産生命、三洋証券、そして北海道拓殖銀行の破綻が起きていますが、この年の4月1日に行われたのが消費税の増税です。現在の日本の景気は1996年よりも悪い状態です。今、消費税を増税したらどのようなことが起きるのか、結果は火を見るより明らかではないでしょうか。
 地方都市は都市部より所得が低い傾向にあることを考えれば、市長は全力を挙げて、消費税増税を阻止するべきだと考えますが、ご見解をお聞かせください。

市長答弁

 次に.高額所得者への増税を行うことで.本来,税が二持っている所得の再分配機能を強化し,格差を是正し.マネーゲームから実質経済への投資へ誘導すべきとのご意見についてでありますが,これまでの所得課税の最高税率や金融資産課税の税率の変遷は,その時々の社会経済情勢等に基づく政策的・政治的判断により定められてきたものであると存じております。しかしながら、租税収入が減少し、また、所得の格差が拡大したと言われる今日におきましては,税が持つ所得再分配機能た着目した見直しの議論の必要性を感じているところであります。
 次に,一億円以上の金融資産への課税や,所得税の累進制の強化につきましては、今年度の税制調査会でも所得再分配機能の強化について論議されているところでもあり,その動向を注視して参りたいと存じます。
 次に消費税の増税への見解と増税の阻止についてでありますが,首都圏等の大都市に比較して所得水準が低い地方郡市では,消費税の増税により消費が冷え込み,地域経済に与える影響も懸念されるところではありますが,−方,今後増大する社会保障関係費や地域主権改革に伴う・行政需要への財源をどう確保していくかという課題もあると認識しております。消費税につきましては,これまで,全国市長会として偏在性の少ない税源である普通税としての地方消費税の拡充を国に要望しているところであり,地方消費税を含む消費税の引き上げについて,国民の納得が得られるよう,逆進性への配慮も踏まえ,国政の場で徹底した論議を尽す必要があるものと存じております。

盛岡市の経済状況について
 さて、次に盛岡市の経済状況についてお聞きしたいと思います。

@岩手県、あるいは盛岡市における市場の狭隘化

 盛岡市内の経済も急激に縮小しています。盛岡市統計書によれば、1997年の卸売業販売総額は1兆1,662億円ですが、2007年では9,473億円と2,189億円減少しています。同じように、小売り業販売総額は1997年に4,116億円で2007年では3,666億円。450億円の減少。製造業の出荷総額は1997年に2,489億円ですが2006年では2,393億円。96億円の減少となっています。つまり、卸売・小売り・製造の3業種を合わせただけで、総額2,735億円の売り上げが減っていることになります。純生産額を見ても、2001年と2007年では、鉱業、建設業、電気ガス水道業、金融保険不動産業、運輸通信業、サービス業で純生産額が縮小しており、全業種のトータルでも卸売・小売業での売り上げ減2,393億円をカバーできるとは思えません。2006年に玉山村と市町村合併していることを併せ考えると、この景気低迷は数字が示すものよりも大きな影響を盛岡市の経済に与えているのではないでしょうか。この状況をどのように判断されておりますか。そう考える根拠も含めてお聞かせいただきたいと思います。(「盛岡市統計2008」参照)
 地域経済を語る上では所得の地域格差について触れないわけにはいきません。先日、財政部にお願いをいたしまして、盛岡市における昨年の「所得金額階級別にみた個人の相対分布」を作成していただきました。世帯別ではなく個人別で作っていただいたので、単純に比較は出来ませんが、全国のデータと比べると盛岡市では高額所得者の占める割合が圧倒的に低いことが解ります。(「20101019市民の所得分布より試算」参照)
 人口減少や高齢化など地方都市特有の状況から考えて、都市部より所得が低い理由は解らないでもありません。しかし、景気低迷は全国的なものであるにも関わらず、地域格差が拡大していると思われるのです。全国に与える影響よりも盛岡市に与える影響が大きいことには、何らかの理由があると考えます。市長の見解をお聞かせください。
 市長公室長答弁

 盛岡市の経済状況についてでありますが,卸・小売の販売総額,製造業の出荷額,純生産額の推移から,明らかに経済規模が縮小していることが言えるものと存じます。
 平成11年を境に,本市の卸・小売販売額が低下している現状に注目しますと、その前年の平成10年は,日本長期信用銀行が破たんするなど金融危機が生じ,景気が急激に悪化して日本経済がマイナス成長に転じた年でありました。また,翌年の平成12年を境に,本市の人口は減少に転じております。
 これらについて,本市への直接的な影響は把握できませんが,日本全体の経済構造や景気の状況、人口減少、高齢化などが背景としてあり、本市の経済規模が顕著に縮小しているものと存じております。
 次に,地域格差についてでありますが,平成17年に経済産業省から報告された「人口減少下における地域経営について」によりますと,都市雇用圏における経済規模の変化が示されております。
 平成12年を基準として30年後の総生産を都市雇用圏ごとにシミレ−ションしたものです
が,その結果は,全269の都市雇用圏のうち,首都を中心に35の雇用圏は総生産がが拡大するものの,本市を含む残る234の雇用圏は総生産が縮小する事が示されております。
 また、人口規模が大きい雇用圏ほど総生産の伸び率が高い傾向にあ、首都圏や政令指定都市の雇用圏はプラス成長となっておりますが,−方で,県庁所在地の雇用圏、県庁所在都市を除く10万人以上の雇用圏、10万人未満の雇用圏は伸び率がマイナスとなることが示されております。
 このシミュレーションからも,経済活動のグローバル化により従来地域経済を支えてきた産業が,厳しい国際競争にさらされて伸び悩んでいることや,地方都市が首都圏と比較して高齢化や人口減少の進行が早いことなどが要因としてあり、本市を含む地方経済の縮小傾向が強まっているものと理解しております。
来年度予算について

 現在の経済状況とそれに対する私の考え方を述べて参りました。次は今後の方針についてご提案差し上げたいと思います。
国にせよ地方自治体にせよ、行政がまず第一に行わなければならないことは、この大きく広がった所得格差を是正し、各人の可処分所得を増やすことだと考えます。これは、最低でも10年前の水準程度まで市民生活を復活させることでもあります。民間資本だけの力ではそれを成し遂げるのは非常に困難と思われる現在、やはり行政が率先して、その観点に立った施策を積極的に行い、景気の起爆剤とならねばならないと思います。以下、来年度予算とその内容について、お聞きします。

@雇用の考え方

まず、雇用について、どのような考え方で望むべきとお考えなのか伺います。
再び盛岡市統計書のデータから雇用について抜き出してみると、卸売業就業者は1997年に12,545人で2007年では10,375人。2,170人の減少。小売り業就業者は1996年には20,072人で2007年では21.713。1,641人の増加。製造業就業者は1996年には2,489人で2006年では2,393人。576人の減少。単純計算では三業種のトータルで1,105人の減少なわけですが、1997年から2007年までの間には市町村合併もありましたので、旧玉山村と盛岡市という範囲にすれば、この数字以上に減っているだろうことが想像できます。
2003年の盛岡市長選挙の際、谷藤市長は「5000人雇用」を公約として掲げられましたが、現在はより積極的な雇用拡大施策が必要とされているのではないかと私は思います。市長のご見解をお願いいたします。
 同じく2007年の選挙で市長が打ち出した「17ヶ条の政策」の中の「産業振興による働く場の確保」http://www.morioka-21net.com/hiroaki-tanifuji/manifesto-2007.htmには6つの施策があげられていますが、そのうちの4つまでが「職業紹介・情報提供」にかかる施策です。それ自体は大変重要なことと思いますが、週に一度は新聞折り込みで求人情報が配布され、「盛岡市・求人」で検索すれば35万弱のサイトがヒットする現在、市長の雇用施策の主たるものの大半が「職業紹介・情報提供」ではないだろうと思います。約3年半が経過しておりますが、現在、市長がお考えの雇用施策についてお聞かせいただければと思います。

 具体的な事業についてお聞きしながら盛岡市職への就労の問題点を提起したいと思います。
 まず「スタートワーキングサポート事業」についてです。
 今までこの事業が定員に達しているというお話を聞いたことがないのですが、今年度はいかがでしょうか。
 定員に達しないのは、この事業があくまでも場つなぎ的な就労であり、たとえ事業の実施期間中に本就職が決まらなかったとしても、期限が来ると雇用がうち切られるからではないかと思います。これは、臨時職員、あるいは非常勤職員にも言えることですが、場つなぎ的就労に従事する人に対して本格的なスキルを教えようとする上司は少ないのではないでしょうか。「一年経てばいなくなる」人たちです。非正規職員はあくまでも「補助的作業」に従事するものと決められております。
 これは大変憂慮すべき雇用のあり方です。1993年3月卒から10年間、就職氷河期と言われる中で就職活動を行っていた世代の中には、これと同様の雇用形態を続けることで労働スキルを確保することが出来ず、30代、40代になっても非正規雇用に甘んじなければならない方々が、ひとつの層として存在し、社会問題となっています。
 同様のことを二度と繰り返してはなりません。
 まず、盛岡市では職員の増員を積極的に図るべきです。指定管理である女性センターの相談員の増員に関しては先の議会でお話しいたしましたが、それ以外にも、消費生活センター、国保年金課、生活福祉課、サンライフ盛岡などで職員の増員が必要ではないかと思います。また、盛岡手作り村に英語及び韓国語、台湾語の通訳を置くべきですし、盛岡地区広域行政事務組合で消防署員を増やしていただきたい。また、玉山区に、税・医療・保健・年金等の担当職員を若干増員した方が良いような気もします。市長は民間企業に対して正規雇用を増やすよう要望していますが、まず盛岡市がそれを率先して行うべきです。ご見解をお聞かせください。

 盛岡市の臨時、及び非常勤職員の賃金についてお聞きいたします。

 先月の臨時議会で、盛岡市の正規職員及び市長や議員などの一時金の減額が可決されました。民間企業での賃金切り下げに準じて、公務員給与も下がっていく傾向が続いています。しかし、これを臨時や非常勤職員にまであてはめてはならないと強く主張いたします。私が調べた範疇でしかありませんが非常勤職員の大半は額面年収が200万円前後です。前段でお話ししたように、現在の課題は「格差是正で市民の可処分所得を増やすこと」なのですから、正規職員にスライドして臨時や非常勤の賃金を減らすことなどもってのほかです。いかがお考えでしょうか。

 また、非常勤職員に関しては、連続して雇用できる5年経過後に、正規職員として試験を受けられるような制度を検討すべきではないでしょうか。民間企業ではごく当たり前に行われている制度です。地方公務員法の縛り(第22条6項 臨時的任用は正式任用に際していかなる優先権をも与えるものではない)があるのは私も存じ上げておりますが、現在の非常勤職員は極めて「使い捨て」に近い形の雇用形態になっており、これのやり方を行政が行い続けることは社会全体に雇用にかかる倫理感の欠如を広めていくことにつながると考えます。ご見解を伺います。

 もしも、臨時や非常勤職員を盛岡市行政の戦力として雇うのではなく、いわゆる「失対事業」として雇うのであれば現在のようなものより、イギリスの失業対策であるジョブセンター、誤解を恐れず端的に言えば「短期雇い職員の連日就労によって就労の連続性を保証する制度」ですが、その様な形のものの方が有効と考えます。いかがお考えでしょうか。

 市長答弁

 次に,積極的な雇用拡大策についてですが,雇用推進計画策定時の平成16年2月における盛岡公共職業安定所管内の有効求人倍率は,0.67倍,全国の完全失業率は5%でありました。一方,平成22年10月における同管内の有効求人倍率は,0.56倍,全国の完全失業率は5.1%となっており,以前に比べて雇用対策が必要な状況にあると存じます。
 次に,私が考える雇用施策についてですが,職業紹介・情報提供はもとより,これまでも取り,組んで参りました「スタートワ一キングサポ一卜事業」につきましては,新規高卒未就職者に雇用の場を提供し,正規雇用へつなげてきたところであります。
 また,「ジョブカフェいわて」の運営を県とともに行い,求職者に対しきめ細かな就職相談や職業意識の啓発を行うごとで,昨年度は1,679人が就職に結びついたところであります。
 さらに,盛岡若者サポートステーション事業につきましては,いわゆる「ニート」と呼ばれる若年無業者に対し、職業意識の啓発やカウンセリングを行うことで,就労への誘導や自立を支援し,昨年度52人が進路決定しでおり,市としても雇用の確保に努めてきたところでございます。
現在国では,「新卒者就職応援本部」の設置や卒業後3年以内の既卒者を雇い入れた事業主にに対し最大で100 万円の雇用奨励金を支給するなど、新卒者に対する就職支援を強化しております。
 また,県では長期失業者支援のため,内閣府の「パーソナル・サポート・サービス モデルプロジェクト」の導入をめざしているとお聞きしております。
 市といたしましては,国・県で実施している様々な事業が有効に.活用されるよう,市内企業をはじめとする関係者に周知を図るとともに,「緊急雇用創出事業」や「ふるさと雇用再生特別事業」などを活用し,雇用の創出に努めていきたいと考えております。
 また,新たな雇用の場を確保するため,企業誘致の推進,産学官連携強化や食品製造業を含めた新事業の創出などに引き続き努めるほか,企業の求人意欲を喚起するため,就職後の人材育成を支援することについても検討していきたいと考えております。

商工観光部長答弁
 スタートワーキングサポート事業の今年度の状況についてですが,20人の採用予定に対し,11部署  13人を市の臨時職員として採用したところです。この事業は,雇用の場を確保し,正規雇用へつなげるために実施しているものであり,新規高卒未就職者を週4日勤務の臨時職員として任用し,日々の業務を通じて仕事に対する姿勢や応対マナーなどを学ぶほか,残りの1日を就職活動にあて,また,月に1回,一ジョブカフェいわてにおいて社会人マナーを学ぶほか,履歴書の書き方・面接練習などの研修を実施しているものです。
 現在は,6人が就職し,うち2人が正社員となっており,また4人はジョブカフェいわてを活用しながら継続的に就職活動を行っているところです。
 いずれにしても、正規雇用につなげるために有効な事業であると認識しているところです。

総務部長答弁

 雇用拡大を市が率先して行うため職員の増員を図ることについてでございますが、地方自治体は、必要な住民サービスを最小の経費で安定して供給するため適正な職員定数とする必要がありますことから,毎年度,見直しを行うことにより必要な部署には増員するなど適正な職員配置に努めているところでございます。今後におきましても計画的な職員の配置に努めてまいりたいと考えております。
 次に,臨時職員i及び非常勤職員の賃金及び報酬の額についてでございますが,職種や職務に応じて,常勤の一般職員の給料表を基準に算定しており,地域の民間企業等との均衡を図るためには,他団体の状況や職員の給与の改定に応じた見直しを行うことは必要なことと考えております。
 次に5年任用した非常勤職員を正職員として採用するための試験を受けられるような制度についてでございますが,正職員の採用につきましては,地方公務員法に規定する公務の平等公開の原則に基づいた競争試験によるものとされておりますので,特に非常勤職員を対象にした採用試験の実施は考えておらないところでござい
ス。
 次に,臨時職員及び非勤職員をいわゆる「失対事業」として雇うことについてでございますが,臨時職員及び非常勤職員については,地方公務員法などの規定等に基づき,業務の必要性に応じて期間を定め任用を行うものとされております。その中で,非常勤職員につきましては、職の専門性や資格,職務経験などを考慮し,必要に応じて再度の任用を行うなど柔軟に対応しているところでございます。

消防防災監答弁

 消防職員の増員についてでありますが,これまで,盛岡市域において増員を図ってきたところであります。
 消防職員の定数につきましては,本来,8 市町村で構成する組合議会において検討する事項でありますが,増員に向け,努力して参りたいと存じます。
次に,予算要求内容の公開についてですが,現在、市では,行政評価を活用した施策別予算配分方式を採用し総合計画に掲げる41の施策について,市が実施しているアンケートに寄せられた市民の皆さまの各施策に対する満足度や期待度も含めた評価結果に基づき施策の重点化を図り,さらに,まちづくり懇談会等における要望・意見なども踏まえながら,限られた財源をどの施策,どの事務事業に振り向ければ市民福祉の向上につながるかという観点で,市民の皆様の声を反映させた予算編成に努めており
ます。
編成過程におきまして,今後一層、市民の皆様の意見を反映させるため,公開すべき情報の内容やその時期,公開後の市民意見の聴取方法等を研究しながら,透明性の高い予算編成に努めてまいりたいと存じます。

行うべき事業

 何度も繰り返して大変恐縮なのですが、恐慌と言っても差し支えないこの景気低迷を打開するのは、格差の是正と「実質経済でお金がまわる」体制を作り出すことです。ですから、私は来年度予算を組み立てるにあたって、盛岡市単独予算も含めて、積極的な財政支出を要望致します。1990年代の公共事業の積極的投資が景気浮揚の原動力にならなかったのは、投資した公的資金が金融機関やゼネコンの不良債権の穴埋めにまわってしまったからです。だからこそ、今回の財政出動は出来る限り、雇用や市民の収入を増やすことに直結するものに投資しなければなりません。それと同時に、税金を利用するわけですから、市民生活の向上に役立つ事業を選ばねばなりません。
 そこで伺います。
 現在市長は各課からの予算要望を基に来年度予算の原案をお作りの最中だと思いますが、各課から上げられている第一次予算要望を、そのまま市民に公開すべきではないでしょうか。これは片山現総務大臣が鳥取県知事時代に行ったことです。市民要望が反映した事業選択が出来ると思うのですが、いかがでしょうか。
 また、現在総合計画に記載されていないことでも、新規事業の企画を積極的に作り出す気風を役所内に作っていただきたいと考えます。長期の行革によって、職員の皆さんが、新規事業に消極的になっている傾向を強く感じます。市職員は市民要望と一番近いところにいるわけですから、必要とあらば課を超えたブレインストーミングを行い新規事業の企画を積極的に作り出すべきではないでしょうか。

 次に具体的事業について伺います。
 時間の制限がございますので、各課から一回目の予算要望として提出されているであろうものは、今回の質問では触れないことに致します。
 熟考すればいくらでも出てくると思いますが、きりがないので3つほどに限定して、私が是非来年度行っていただきたいと考えている事業を提案させていただきます。それぞれについてお考えをお聞かせください。
 一つは老朽化した市営住宅の建て替えです。後で触れますが、既に利用できないほど、老朽化による支障が出ています。

 二つ目は、9月議会で可決した「住宅リフォーム制度」の活用です。宮古市では、この制度の積極的な活用により「高台に上れば必ずリフォームしている住宅が見つかる」程、仕事量が増えているとのことです。これは、助成制度ですので、民間からの出資を刺激することとなり、投資した以上の経済効果を生むことが出来ると考えます。今年度の宮古市の予算は2億5,000万円ですから、市の規模から考えてそれ以上の予算を組んでも損はないと思います。

 三つ目は滋賀県が取り組んでいる総合治水計画造りのための調査事業「地先安全度の評価」です。「安心・安全のまちづくり」の観点から、現時点でこの調査をやっておくことは、市民の生命と生活を守り、公共事業の費用対効果を考える上で重要なことと考えます。
 積極投資のための財源は、まず市長に国庫予算を獲得のための最大限の努力をいただきたいと考えます。先に述べましたが、地域格差は拡大しています。だからこそ、ここが努力のしどころです。
国庫予算だけではなく、民間の補助金や研究予算も確保できるものがあるのではないでしょうか。これらは検討されたことがありますか。
 それと同時に、私はこの間の行財政構造改革で出た成果を投入しても差し支えないと考えます。行革は、節約自体が目的ではありません。節約して出来た財源で、市民の生活危機に対処するために行ったことです。「今がその時だ」と私は考えます。ご見解をお聞かせください。

 市長公室長答弁

 新規事業の企画を積極的に作り出すべきではないかについてでありますが,市は行政評価システムを活用し,事務事業の見直しを実施しております。
 毎年度、市が行っている仕事を継続的に評価することにより改革改善を行うとともに,振り返りと改革改善を繰り返すことにより職員の政策形成能力を高め,より高い市政の運営を目指そうとするもので,評価にあたっては,事務事業の担当者から幹部職員まで多くの職員が,優先的に取り組む課題は何か,施策の成果向上のためどの事務事業を優先するのか,改革改善の方向は何かなどについて,全庁的な視点から徹底した議論を行らております。
 このような取組みにより 事務事業の改革改や統廃合のみならず,総合計画に位置付けられていない事務事業についても,必要度を判断し新規に事業化を図っておりますし,職員の改革改善や成果重視に対する意識も確実に高まってきているものと存じております。
 また,本年1月,職員による改革改善事例発表会を開催したところでありますが,これは,事務事業の改革改善に・向けた取組事例を広く募集し,職員の創意工夫により,優れた成果を挙げた事例を取り上げ,顕彰することで,情報の共有と職員の意識改革への動機付けを図り,市業務全般の改革改善につなげることを目的として実施したもので,多くの職場から事例の応募があったとともに、複数の部の連携による取組みもあったところであります。
 今後におきましても,自治体経営の指針及び施計画に基づき,これらの取組みを充実させながら,従来の発送にとらわれない新たな事務事業を作り出す組織風土を醸成してまいりたいと存じます。

市長公室長答弁

 民間の補助金や研究予算の確保についてでありますが,過去5年間の実績では,一般社団法人全国モーターボート競走施行者協議会の資金を財源とする助成金が4件310万円,財団法人地域活性化センターの助成金が1件300万円ございます。
 また,宝くじの収益を基にした財団法人自治総合センターの助成金が4件690万円ございます。
 これらを財源といたしまして,環境保全に係る事業やシンポジウム開催事業、コミュニティ施設の設備に係る事業を実施しておりますので,今後も括用してまいりたいと存じます。

市長公室長答弁

 行革で節約した財源を投入することについてでありますが,行財政構造改革は,将来世代に責任の持てる安定した行財政基盤の構築を目的に取り組んでまいりまiしたが,改革により危機的財政状況を克服するとともに,財政の建直しに道筋をつけることができたなど,大きな成果があったところであります。
 今後におきましては,これまでの改革の成果を開花させながら,市民福祉の向上に向け,総合計画に掲げる各般の施策を推進してまいります。

商工観光部長答弁

「住宅リフォーム制度」についてでありますが,実施している市町村の状況を調査し,関係する部課による検討会を開催したところであり、地域経済の活性化と市民の良好な住環境を確保する観点から,個人住宅の改良を支援する事業を実施したいと考えております。なお,予算規模や事業の詳細につきましては,詰めの作業を行っておるところでございます。

建設部長答弁

 市営住宅の建て替えにつきましては,現在事業を実施している.夏間木第1団地は;平成23年度に事業を完了する予定となっており、その後,老朽化の進んでいる青山三丁目アパートの建替え工事について総合計画に位直づけるよう努めているところでございます
 その他の団地につきましては,計画修繕等により,適切な管理を継続してまいりたいと存じます。

建設部長答弁

 総合治水計画造りのための調査事業への取り組みについてでありますが, 滋賀県の調査事業「地先安全度の評価」は,中長期整備実施河川として、今後20年間に整備を予定する河川・区間を選定し;その上で残る課題への対応と,して,雨水の貯留施設や防災教育等,河川l整備以外の対策も加えた総合的な治水(滋賀県では流域治水と呼ぶ)を推進するための調査でございますが,この調査にあたっては・水系の範囲を単位として,国や県等も含め総合的に取り組む必要があるものと考えております。
盛岡市が関わりを持つ北上川水系におきましては、現在、河川法の会性や社会情勢の変化等を踏まえ国から新たな河川整備方針が示されたことを受け、今後30年間における新たな北上川水系医河川整備計画の策定が国土交通省東北地方整備局により進められているところであります。
 このようなことから、ご提案の総合治水計画に関する調査事業への取り組みにつきましては、現在進められております北上川水系河川整備計画の策定の後調査の可能性について、国・県等の関係機関と相談してまいりたいと存じます。

市営住宅の管理について

 経済にかかる質問は終わりに致します。次は市営住宅の管理についてお聞きいたします。
 2008年4月に市営住宅の管理を指定管理制度に移行しました。私は今まで、指定管理事業への移行の主たる目的は「民間活力を利用してサービスの向上を図る」ためで、その実施に関しては「市が管理している状況からサービスが後退することはない」とお聞きして参りました。まずその点に変更がないかどうか伺います。

 残念ながら、指定管理制度に移行してから、住宅の不備を訴えてもなかなか現場を見に来ていただけないという声が聞こえてきます。これについての見解をお聞かせください。
また、指定管理以前には年に一度清掃をしていた排水桝について、「今後は受益者負担にする」と言われたそうですが、それは本当ですか。もし、それが本当なら、市の管理の時点からのサービスの後退ではないのでしょうか。

 私が人づてにお聞きした事例に以下の様なものがあります。ベランダに溜まっていた雪解け水が押入に漏れてしまって布団がダメになってしまった。修繕を申し入れたところ、修繕は出来ないので部屋を移動してくれ、ただし、移動の際には「現状復帰」つまり畳を打ち返し襖や障子を張り直してから引っ越してくれと言われた。これは本当ですか。とてもそんな費用は出せないから、その方は我慢して水漏れがする部屋に住んでいると伺いました。

 もし、この様なことが行われているとしたら、大変遺憾なことです。経緯を考えれば、移転に伴う現状復帰を要求するのはおかしくないですか。排水桝についても「指定管理導入によってサービスの後退はない」と言って来た盛岡市の見解と異なることになりませんか。
 この様な対応が行われているとすれば、私は盛岡市の指定管理、及び民間委託に関する考え方を全面的に改めねばなりません。ご答弁をお願いいたします。

 市長公室長答弁
 次に,指定管理者制度導入の主たる目的やサービス水準の維持・向上に関する市の見解についてでありますが,指定管理者制度は,平成15年度の地方自治法改正により、「多様化する住民ニーズにより効果的,効率的に対応するため,公の施設の管理に民間の活力を活用しつつ,住民サービスの向上を図るとともに,経費の節減等を図ることを目的とする」ことを主旨として導入されたものであります。
 市としては、制度導入当初からこの主旨に沿い,管と民の役割分担や責任の確保策,効率性,サービス水準の検証を行いながら,指定管理者制度導入施設における住民サービスの質の向上を図っているとごろであります。

建設部長答弁

 市営住宅の不備の訴えについての対応でありますが,指定管理者に確認したところ,このような申し出があった際には、必ず速やかに現場を確認し、対応するようにしておりますが,現場の状況によっては、緊急度に応じて他の住宅を優先する場合もあり,今後は出来るだけ速やかに対応するよう指導してまいりたいと存じます。なお,指定管理者が行ったアンケート調査結果では、苦情・相談への対応が「大変良くなった。」と「良くなった。」が全体の65%、「今までと変わらない。」と合わせると99%の評価となっております。
 次に・排水枡の清掃についてでございますが,敷地内の排水枡については,指定管理者制度導入以前から、市が用意した清掃道具を活用した泥上げ等を、入居者にお願いしており、指定管理者移行後も同様に入居者の皆様にお願いしているものでございます。
 漏水による住み替えについてですが、指定管理者に確認したところ、ご案内のような対応を行ったことはないとのことでした。
ただし、類似のケースとして、上階のペランダから漏水があり、防水のためには外壁の大規模改修が必要となることから、早急な実施が出来ない旨説明したところ、本人から住み替えの申し出があり、その際は併せて、現状復帰の修繕等も不要であると説明した事例がございました。
 いずれにいたしましても、指定管理者の業務遂行状況を確認しながら、今後ともサービスの向上に努めてまいりたいと存じます。
再質問

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