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作られた格差 不公平税制

 就学援助を受ける児童が増えているなど、数年前から『格差の広がり』が問題になっていましたが、参議院予算委員会における小泉首相の『格差容認発言』によって論議がまき起こっています。
 私は、首相が言うように「しかたがない」ことだとは思いません。ごく一握りの人達のためではなく、多くの国民のための税制改革を行うことによって、格差を縮めることができるからです。どのような税制が望ましいのか、考えてみました。

2003年所得階級分布図(700万人)。所得が100〜200万円は人数で22%を占め、全体の所得の5%を占めている。たった3%の高額所得者(所得2000万以上)が全所得の1/4を得ていることがわかる。
 上場株式売買で得る所得(譲渡所得)に対する税金は、給与所得の税金よりもかなり優遇されています。小泉政権になってから1/2以上の大幅減税を行った結果、現在のミニバブルが起きています。
1974年から1999年にかけて、所得税率は6回変更されています。
 これらの改正で特に高額所得者への減税が繰り返されてきました。その結果、例えば、課税所得金額が8,000万円の人は1974年と比べて3,040万円も減税されています。
所得500万円以下の確定申告をした人が全体に占める割合。83年以降、人数よりも所得金額の減りが激しいので、一人あたりの所得が減少しているといえる。


高額所得者に、より有利な税制に変えられてきました

税とは

 税には@社会費用の捻出A所得再配分B経済の安定の役割があります。

高額所得者優遇に変化

【1984年改正について】
 1953年から70年までの改正では課税所得の段階を11段階から19段階と増やしており、所得格差を累進課税によって平準化する考え方がありました。しかし上記のグラフのように84年から課税所得の段階と税率を減らし、高額所得者に有利に変わってしまいました。
 これで生まれた余剰資金が、バブル経済に拍車をかけたのです。

【小泉政権下での譲渡税減税】
 バブル崩壊後、政府は大規模な公共事業投資によって景気の好転を狙いましたが失敗。 そこに登場した小泉内閣は、大幅な譲渡税減税(26%→10%)を行いました。まじめに稼ぐより投機利益の税金の方をはるかに安くしてしまったのです。それが現在の『ミニバブル』の背景です。
 この『不労所得に対する優遇措置』は小泉政権が官僚と連携して行った政策です。ですから小泉首相には『格差を拡大した』責任があります。


財政再建へ
総合累進課税をきちんとやれば、消費税増税を避けられる

 格差拡大を放置したままでは、市場が縮小し経済活動は低迷してしまいます。だからこそ、この20年間、弱められてきた所得の再配分機能を強化する必要があります。

【税制改革私案】
@人件費削減、事業の見直し、特殊法人への補助金廃止など経費を30%削減する
A株譲渡や利子所得の分離課税を廃止し所得税は総合累進課税とする。所得2000万円以上には課税段階を増やし税率を引き上げる。
B景気の足かせとなる上、低所得者ほど負担が重い消費税は廃止。

 2003年確定申告を参考に試算をしてみると約18兆円の増収が見込めますので消費税廃止も可能です。特別会計の情報公開と整理などを行えば、財政再建を行うこともできます。

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