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「競馬組合、再建計画を問う」
-盛岡市議 豊村徹也氏 3月議会一般質問より

 下記の文章は2005年3月9日に行われた、豊村徹也盛岡市議の一般質問です。
 大変勉強になったものですから、ご本人の了解を得て、紹介させていただきます。


2005.3.9
 新盛同志会の豊村徹也でございます。
 通告どおり三つの項目について質問いたしますので、誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。

 私が今回取り上げる岩手競馬・市立病院・中央卸売市場の三つについては、現在、何れも厳しい経営状況にありますが、その原因の多くは共通した問題、つまり、これらはともに、施設の老朽化を主な理由として移転・新築が計画され、その計画は、事業の拡大を前提とした大規模な設備投資を伴うものであり、それは多額の起債によって賄われたこと。また、会計方法の問題により財務状態が把握しづらいこと、監査体制が未整備でチェック機能が働いていなかったこと、などの経営管理体制上の問題に加えて、経営責任の所在が不明確なことから、当初計画と実績とが次第に乖離していったのにも拘わらず、その対応策が後手に回ってしまったこと、などであったと考えます。

 では、最初の項目「岩手県競馬組合改革(改訂実行計画)」についてお伺いします。

 まず、岩手競馬と盛岡市との関わりについては、岩手県競馬組合規約第10条(利益金の配分)によると利益の配分は全体の20%とされ、また、逆に不足が生じた場合も、第11条(組合の経費)によって、その不足額を同様の割合で分賦する、とされております。

 去る平成16年12月3日に開催された産業対策特別委員会において競馬組合柴田副管理者は、委員から「盛岡が構成員から抜けた場合、どのくらいの負担になるのか」との質問に対して、「私は組合を再生しに来たので、厳密に今辞めたらいくらという数字を精査していないが総額400億円前後である。その20%なので80億円くらいではないかと思う。80億円盛岡市が拠出するならば、あとは二つの構成団体がどう言うかという議論である。」と回答しております。

 去る2月18日の全協において説明された「岩手県競馬組合への支援について」では、37億円の融資要請額のうち盛岡市の負担分が5億円、これは当市の負担割りの20%を下回っておりますが、組合は平成16年度中に借り入れて平成26年度には償還する、といった内容です。

 仮に、この融資要請を拒絶した場合、構成員の義務に違反することになって、規約第11条により、約80億円の負担金を支払いするといった事態に展開するものなのでしょうか。この問題は、盛岡市のみならず、構成員である水沢市や岩手県も同様の立場にあることから、この条項の解釈如何によっては、37億円という融資の規模や負担割りについて、構成員が個々にその適否を判断するような次元の問題ではなく、柴田副管理者のいう不足額が仮に400億円だとすると、この巨額な不足額を構成員でどのように負担するか、というまさに桁違いに大きな問題となりかねないのであります。融資は何れ戻ってくるものですが、負担金はいわば損失処理ですから、問題の質が全く違うということを認識する必要があります。

 以上から、問題点を整理すると、
 @財務状態が不透明である、
 A仮に廃止した場合の処理コストが精査されていないため、存続、縮小存続、廃止の何れを選択すべきなのかを判断できない、
 B市場調査が不十分で改革案の実効性が判断できない、
 C構成員が今後どのように岩手競馬に関わるべきなのか、どのように管理・監督していくのか、どのように責任を負うのか、不明である。
 以上、大まかに分類すると4点になると思われます。

 まず、財務状態についてでありますが、改革案の資料には「平成16年度末で144億円余の累積赤字を抱える見込み」とあり、その後追加資料として裏付けとなる資金繰り表、実行計画損益計算書が提出されましたが、貸借対照表は地方公共団体と同様の官庁会計を採用しているため作成していないとの説明がありました。

 そこで貸借対照表を推定すると、固定負債である地方債の現在残高は、平成16年度償還分を猶予してもらって繰り延べた場合、平成15年度末と同額の152億76百万円。また、「流動資産と流動負債との差額」が累積赤字だとすると、これが131億円ですから、実質的な負債である両者の合計額は約284億円となります。

 この負債に対して、資産は、財産評価調書によると減価償却をしたとして建物・工作物が155億円、時価評価後の土地が161億円、その他、出資と基金を合わせると、総資産は約317億円となります。

 従って、資産317億円−負債284億円=正味財産33億円となり、平成16年度末時点では、一応、債務超過とはなっていない状態だと推定されます。

 しかし、この売上げ減少傾向が続けば、管理費等を削減しても毎期14億円程度の赤字が発生することから、早晩、債務超過状態に陥るであろうと考えますが、当局は組合の財務状態をどのように認識しておりますか。

 また、競馬組合は、競馬振興公社、東北映像、アール・ナックに出資しておりますが、これらの組織とはどのような関係にありますか。仮に子会社あるいは関連会社とすると、連結決算の必要はないのでしょうか。

 次に「廃止した場合の処理コスト」についてお伺いします。

 柴田副管理者のいう不足額400億円が事実だとすれば、廃止の場合の処理コスト、いわゆる清算費用は400億円となります。

 この400億円という数字は、精査前としながらも、概算で積み上げたものと思われますが、どのように算出したものでしょうか。

 負債の最大値を想定すると、組合単体での実質負債が284億円、これに加えて子会社連結後の負債増加分や地方債等借入金から発生する利息、さらには競馬従事者への廃止協力金等が考えられますが、これらをどのように見込んだのでしょうか。

 また、一方、資産は約317億円あることになりますが、その大半を占める土地・建物の売却可能価値は、転用が難しいことから現実的には極めて低いと思われます。

 2月28日の全協の説明では、解体費用が相当にかかることから資産処分しても財産評価調書の金額の3分の1程度であろうとしていますが、これではあまりにも大雑把な見込みではないでしょうか。

 従って、廃止の場合の処理コスト400億円については、不動産鑑定士や公認会計士等の専門家による評価を受けて、もっと精査する必要があると考えますが、当局のご見解をお伺いします。
 なお、廃止検討に当たっての非常に大きな要素である競馬従事者との関わりについてですが、競馬組合と馬主会や調騎会などの従事者組織との法的な関係はどのようになっているのでしょうか。仮に廃止した場合の補償等について事前に取り決め事があるのかをお伺いします。

 関連して、存続、縮小、廃止の選択肢の検討経過について伺います。

 産業対策特別委員会において、柴田副管理者は「盛岡の1場を残すケース、水沢の1場を残すケース、厩舎移転の有無などを含めて4通りを検討した結果、全てのケースで現行の2場体制よりもマイナスとなる」と回答しております。

 しかし、この検討経過の資料によると、水沢廃止の場合はスタンドの解体費10億円を追加コストとしてカウントしながら、盛岡廃止の場合は解体費をカウントしていない。2場存続の場合は、コスト削減目標21億円を削減効果とカウントしていながら、1場閉鎖の場合にはコスト削減目標をカウントしていないなど、理解に苦しむ検討経過となっております。

 また、テレトラックについても、平成14年度施設別収支状況によると、秋田の山本専用場外のみがマイナスで、残りは全てプラスという状況になっておりますが、共通管理費のマイナス61億5千万円を部門配賦していないことから、正確な部門別収支と見なすことはできないと思われます。

 従って、「競馬場は2場存続、テレトラックは9場中2場の売却のみ」という検討の結果は、十分に吟味されたものとは言い難いと考えますが、当局のご見解をお伺いします。

 岩手競馬は、1県に複数の競馬場を所有し、また、専用場外を多数設置するなど、極めて大規模な事業展開を行ってきましたが、果たしてこの規模が適正なものなのか、真剣に検討する段階に入っているのではないでしょうか。

 次に改革案の実効性についてお伺いします。

 改革案を作成した柴田氏は、再生請負人として招聘された人物ですから、この改革案はあくまで競馬組合の再生を前提として作成されております。

 従って、縮小・廃止は一時費用が膨大に生じることから、検討の初期段階で選択肢から外し、現行の施設は基本的に維持存続した上でコストを削減し、営業努力と新規市場の開拓によって売上げ増を見込み、累積赤字を解消する、という再生スキームになっております。

 問題は、この売上げ増の計画が「累積赤字解消のための逆算」になってはいないか、という点であります。

 改革案においては、売上高減少の要因を社会的状況の変化と、経済的要因があったことの2つの事象でとらえおります。社会的状況の変化とは、クリーンな方向への変化、中小事業者数が減少して大口購入者が減少、娯楽の多様化などにより一人当たりの売上げがピーク時の5万円から約5分の1に縮小したこと。また、この背景である経済的状況の変化としては、バブル崩壊後可処分所得が減少し、将来に対する不安を前提として個人消費者の心理動向・消費構造が変化したこと、としております。

 大筋では、その通りと思いますが、しかし、この要因分析だけでは、なぜ、平均購入額が約5分の1まで急落したのかの説明には不十分だと思われます。

 改革案のスキームは「競馬利用者は増加しているが、購買単価は減少している」という現状認識のもとに対応策が構築されておりますが、いわゆるマーケット分析をもっと吟味する必要があるのではないでしょうか。

 テレトラック開設以前の競馬利用者は、水沢競馬場が岩手県南部、秋田県南部、及び宮城県のエリアの住民、盛岡競馬場が岩手県北部及び秋田県北部のエリアの住民であろうと推定されます。宮城県と秋田県はともに競馬、競輪などの公営ギャンブルが存在しない県であるため、ギャンブル人口の多くは岩手競馬にそのはけ口を求めてきたと考えられます。なお、青森県は競輪場があるため、もともと競馬人口はそう多くはないと思われます。

 テレトラックは、昭和62年の宮古を皮切りに、63年釜石、平成元年種市、3年安代と展開したのですが、昭和60年に80万人だった入場者は、平成3年には150万人まで増加しております。

 これをどう見るのかですが、バブルの時期とも重なっておりその要因を正確に分析することはできないにしても、単純に利用者が増加したのではなく、おそらく岩手県の北部と沿岸及び秋田県北部のいわゆる遠隔地の利用者が、テレトラックにシフトした、それも、わざわざ競馬場まで足を運んでいた時は週1回程度だったのが、テレトラックとなってその回数も増え、逆に購買単価も減少した、というところが真相ではないのでしょうか。

 テレトラックは、その後、平成9年に県外の横手に設置し、14年の十和田まで県外5カ所に設置しましたが、特に、秋田県横手と宮城県三本木の設置によって入場者は急増し、平成14年には240万人のピークとなったとしております。しかし、この数字もよく吟味してみれば、横手の一日平均入場者数が16年度で3,389人ですが、これは定員の座席470人、立ち見席330人合計800人の定員をはるかに超える入場者数ですし、三本木にしても同様に一日平均入場者数が2,520人で2,200人の定員をオーバーしており、利用者は一日に複数回入場を繰り返していると推定されます。また、テレトラック開設時には、物珍しさで他のギャンブル層から一時的にテレトラックに入場した利用者が相当数存在しており、2〜3年後には減少しているのですが、テレトラックを毎年のように増設してきたがために、全体としては入場者が増加したような統計になっているものと分析されます。

 従って、利用者は16年度で211万人としておりますが、3分の2を占めているテレトラック利用者の実入場者数はせいぜいその半分、と見ると合計で140万人、うち本場利用者がテレトラックにシフトして利用回数が増加したこと、などを総合的に勘案すると、入場者の実態は場外展開をする以前の水準から若干増加した程度、購買単価はピーク時の約半分2万5千円前後ではないでしょうか。

 言い換えれば、岩手競馬の顧客層は従来と同様の固定層で、長引く景気低迷により、大口勝負する回数が減少し購買単価が下がった、と私は分析します。

 改革案の「街中小規模場外やインターネットで裾野を広げ、民間委託よって商圏拡大を図る」という路線は、従来のオーロパーク建設やテレトラックの設置によって裾野を広げようとした路線と、本質的には同じ路線であり、現実的には本場やテレトラックの利用者がシフトするだけで、売上げ増加の効果は期待できないのではないでしょうか。

 特に、ライブドアなどインターネット業者と提携してインターネット販売を全国展開することで、平成28年度の新規分162億円の半分である80億円をこれによって獲得することなどは、不可能に近いと考えます。

 改革案の試算では、岩手県内生産年齢人口の4%、3.2万人が県内の競馬利用者と推定し、提携先インターネット事業者の基礎会員数300万人×商品購入歴85%のうち、同様の割合4%相当の10万人が岩手競馬の馬券を購入するとしておりますが、これは果たして現実的な試算といえるのでしょうか。

 インターネット利用者が公営ギャンブルにお金を投入する動機としては、まず情報量が豊富なことが必要です。つまり、推理の材料が沢山あって、また、それを解説するスポーツ新聞、専門誌、評論家などが多く存在すること。マスメディアが全国的に頻繁に情報を発信することで初めて全国区になりえるのであって、中央競馬と同様マスメディアが岩手競馬を全国に情報発信する、という状況を想定することには無理があるのではないでしょうか。

 本県、秋田県、宮城県に在住の従来の競馬利用者が、このインターネット発売にシフトすることがあっても、このインターネット販売によって新規利用者を獲得し、最終的に80億円の新規売上げを見込むことには甚だ無理があると考えますが、当局のご見解をお伺いします。

部長答弁
 豊村議員の御質問にお答えいたします。はじめに岩手県競馬組合改革についてでございます。

 まず,融資要請を拒絶した場合の事態の展開についてでございますが,市の融資が行われなければ,他の資金調達がない限り競馬組合は資金ショートを起こし,借入金が返済できないなどの債務不履行の状況となり,事業中止の事態も考えられることから,各々の構成団体の確実な融資が必要であると認識しているものでございます。

 次に競馬組合及び組合関連会社等の財務状態の把握等についてでございますが,競馬組合の財務状況は,平成16年度末において,構成団体融資や新たな起債の引き受けが実現した場合,経常損失が約27億円,借入金残高も284億円と見込まれ,当期純損益に当たる「借入金を含めた収支」は,実質的な収支の場合,40億400万円不足しており,厳しい状況にあると認識しております。

 また,出資会社等についてでございますが,岩手県競馬振興公社に対しては出損しておりますが,公社の経費は競馬組合の経費として反映されているものでございます。競馬組合と東北映像,アールナックの関係でございますが一株主という立場でありますし,事業内容においては密接な関係にあるところでございますが,子会社とか連結会社という関係にはないと伺っております。

 次に廃止した場合の処理コストに関する御質問でございますが,発生する債務は地方債の残高が16年度末で139億円,一時借入金が146億円,さらには仮に水沢競馬場のスタンドを撤去するとか,厩舎の関係する皆さまへの見舞金も必要となってまいります。これらを合計した金額は362億円ほどと見込まれておりますが,これは言わば最低ラインの試算であり,買い手がない場合のテレ・トラック撤去費や試算した内容に変動する可能性を含み,400億円程度と見込まれているものでございます。

 また,不動産鑑定士などによる廃止の場合の処理コストの精査につきましては,競馬組合や他の構成団体と協議したいと存じます。

 次に競馬組合と岩手県馬主会,岩手県調騎会等競馬関係者団体との法的関係につきましては,それぞれが独立した団体となっていると伺っております。また,廃止した場合の補償等に関する事前の取り決めはないと何っております。

 次に,競馬場は2場存続,テレトラックは9場中2場の売却のみという検討結果は,十分に吟味されたとは言いがたいと考えることへの見解についてでございますが,本場を1場にするか2場にするかにつきましては,それぞれのケースのコスト比較を行っております。仮に本場開催を盛岡のみといたしますと,600馬房の移転経費を必要とし,コスト削減分を大きく上回り,逆に水沢のみといたしますと,現状の走路では高規格の走路として活用できないなど制約が多く,また建物も老朽化してきており,経費が増加してくることなどが予想され,いずれもコスト的にマイナスとなるものと伺っております。これに対し,従前どおり2場で開催する場合は,現在大幅なコスト削減に向けた取組により,相当の効果が期待できることから、2場存続としたところでございます。なお,解体費のカウントにつきましては,水沢競馬場スタンドの老朽化が進んでいるため,解体費を試算したものと何っております。

 また,テレトラックにつきましては,現時点におきまして相手先との交渉の目途が付いたもののみを数値化して計上したものであり,それ以外のテレトラックにつきましても売却・賃貸について交渉中でございますので,今後状況によって数値が変わりうるものでございます。

 次に,インターネット版売による売上増加の効果が期待できないのではないかとのご質問でございますが,想定しているインターネット販売の情報の発信につきましては,現在JRAが行っております情報媒体・手段とは異なる手法で行われるものと伺っております。特にも,インターネット販売事業は競馬に関しては後発でございますので,従前以上の智恵と手法を用い積極的な拡大を図るものでございます。また,このことにより全国市場に進出し圏域を拡大しながら,新たな20〜30歳代の顧客層を掘り起こし,売上の拡大を計画するものでございます。

 また・,インタ−ネットの情報提供力をフルに活用し,盛岡の馬事文化や大自然の中にあるというオーロバークの全国的にもまれな優位性や盛岡の交通アクセスの優位性,観光都市盛岡という知名度の宣伝と重ね合わせながら,積極的な情報発信により,来場者の拡大をも図りながら売上げ増につなげてまいりたいと存じます。

 次に,インターネットで80億円の新規売上げを見込むことに対する見解でございますが,岩手競馬商圏人口がインターネット販売により大幅に拡大され,販売の増加が期待できるところでございます。また,JRAの例を参考にいたしますと,その売上高の40%がインターネット販売となっておりますことから,岩手競馬の売上高はJRAの約100分の1ですので,同様の比率で見ますと120億円が見込まれますが,堅めに見て実行計画の数値を80億円としているところでございます。

 また,ネット販売の利用者の年代は,20代,30代が50%を占めることから,若年層の新規参入も見込まれるものでございます。

 次に一盛岡市としてどのようなチェック機能を果たしてきたかについてでございますが,平成12年度の競馬組合の収支に不足を生じたことに伴い,平成13年に構成団体の連絡調整会議・が開催され,・競馬組合の財務状況や対策について意見交換や協議を行った経緯がございます。庁内には,平成14年9月に「いわて競馬に係る庁内連絡会議」を設置いたしました。競馬組合が依然厳しい経営状況にあることから,平成15年5月有識者から幅広く意見を聴取するため,当市をはじめ構成団体も参画した「いわて競馬のあり方・懇談会」が設置一され,平成16年3月に岩手競馬の今日的な意義と方向性及び経営改善などについての報告書が取りまとめられたところであります。さらに,平成16 年度には,組合による経営改善計画策定作業がスタートし,構成団体も支援しながら,コストの縮減を図るため計画の策定をコンサルタントに委託し,進めたところであります。この際,市からも職員を派遣し,支援をいたしております。このコスト削減計画をもとにして策定された経営改善計画実行計画につきまして,当市といたしましては競馬対策監会議を開催し,内容を検討するなど計画の実効性について意見を申し上げてきたところであります。

 また,予備監査及び現金出納予備検査の制度が設置されており,実務者段階ではございますが,予算の執行状況等確認させていただいているものであります。

質問

 次に構成員が今後どのように岩手競馬に関わるべきなのか、どのように管理・監督していくのか、どのように責任を負うのか、という点に関してお伺いします。

 盛岡市と岩手競馬との関係について、市長が副管理者、市議会から1名が競馬議員、競馬審議会に助役、構成団体連絡会議に産業部長、という形で関わってきたことになりますが、岩手競馬がこうした危機的状況に陥るまで、盛岡市として今までどのように管理・監督してきたのか、どのようにチェック機能を果たしてきたのか、という点をまずお伺いしたいと思います。特にも、所管部署である産業部は、岩手競馬対策にどのように取り組んできたのでしょうか。昨年10月26日付けで、競馬対策の体制整備を行ったとしておりますが、盛岡市としてこの対応策で十分とお考えなのか、市長のご見解をお伺いします。

 競馬組合は、岩手県の実質子会社であり、盛岡市としては口を出すことができなかった、という経緯も理解できますが、現在の経営状況は、盛岡市として静観していい段階を超えています。
 民間人である柴田氏を副管理者に据え、競馬議員を4名から10名に増員する、といったレベルでこの競馬問題が解決するとは到底考えられないことから、盛岡市としても、まず、職員を派遣し、公認会計士等の支援も得ながら競馬組合の財務状況を徹底的に洗い出し、改革案をより実効性のあるものにするよう岩手県に働き掛ける必要があると思われますが、市長のご見解をお伺いします。

 売上げを増加させることにより経営危機を乗り越える、というのは理想的なシナリオですが、一方では、色々対応策を講じても現状維持がやっとで売上げ増加は期待できない、という現実的なシナリオを持つことも必要と考えます。

 また、廃止か存続か、という両極の選択肢だけではなく、縮小均衡という路線をも検討するべきで、その場合は、2場のうちの1場を廃止し、テレトラックも一部を除き売却か廃止するなど、段階的に縮小する中で、現在の2800人の競馬従事者を他産業へシフトさせるなどの激変緩和策を模索していくことも視野に入れておくべきだと思います。

 改革案の説明では「地域の優位性、馬事文化を含めた附帯関連する文化等を共に発信する、いわゆる岩手発、岩手ブランドを確立する中で競馬を位置づけ共に発信していきたい」とありましたが、このコンセプトは非常に大事なことと考えます。

 しかし、具体策となると、競馬場でのイベント開催とか、チャグチャグ馬この活用などのレベルに終始してきたきらいがありました。

 岩手競馬を馬事文化の発信、岩手ブランド確立のための中核的存在と位置づけるのであれば、もっと思い切った方策、例えば、ニューヨーク市警と同じように騎馬警官を配置する、森林警備隊を馬で編成する、あるいは、観光馬車を走らせる、など市民生活、県民生活の中に常に馬がいるような状況を作り上げていくことが必要と思われます。

 これは、2800人の競馬従事者の有力な受け皿としても、ぜひ検討すべきであると考えますが、市長のご見解をお伺いします。

〔市長答弁〕
豊村議貞の質問にお答え申し上げます。
はじめに岩手県競馬組合についてでございます。
まず,昨年10月競馬対策の組織整備をしたが対応策は十分か,ということについてでございますが,競馬組合の実行計画に対する市の意見調整や支援対策を検討するため,市長公室長,企画部長及び財政部長を競馬対策監として配置するとともに,産業部次長を事務局長,関係課長を事務局主幹として対策事務局を設置したところでございます。現在の体制は兼務職員のみの構成となっておりますが,今後の推移及び事務量等を勘案の上,専任職員の配置等につきましても検討いたしたいと存じます。

 次に競馬組合の財務状況の洗い出しや改革案を実効性のあるものにするため県に働きかけてはとの御提言につきましては,市としても構成団体の一「員として競馬組合の財務状況の把握に努めるとともに,今後とも県とともに責任ある対応をしてまいりたいと存じております。

 次に馬事文化の発信等につきましては,競馬組合では遠野市の馬の里との連携を企画しているとのことでございますが,チャグチャグ馬コや南部曲り家などに代表される−ように,盛岡も馬を愛し慈しんできた土地柄でもございますことから,御提言がございました事項につきまして,関係団体とも協議して馬事文化の推進等に取り組んでまいりたいと存じます。



質問
 次の項目である「盛岡市立病院の包括外部監査結果」についてお伺いします。

 市立病院経営については、一般会計からの繰り出し金が多額なことから、議会においても、財政状況や運営方法に関する質問が幾度となく提出されてきておりますが、それに対して当局は「外部監査を受けた後、抜本的な対策を講じる」と回答しております。

 そこでお伺いしますが、この包括外部監査の結果を受けて、盛岡市としては今後どのような手順で市立病院の経営改善に取り組んでいく予定なのでしょうか。

 また、監査で指摘を受けた事項については、現在、その対応策を検討中と思われますが、以下、その主な事項について、現時点での見解、対応に向けた方向性についてお伺いしたいと思います。

 まず一点目は、経営全般にわたる指摘として、「慢性的な赤字体質に陥った根本原因は経営者不在」にあり、「院長や事務局長の権限が限定された職務分掌制度や事務局長が短期間で交代する人事制度にも問題がある」、さらには、「運営協議会のメンバーに公営企業法や総務省通達通知に関する専門家、病院財務に関する専門家、地方公共団体財政及び医療福祉の専門家を入れるべき」という指摘。

 また、「病院移転後の環境の変化及び計画達成が難しい状況となっても中期計画の見直しが全く行われていなかった。早急に中期計画を見直し、現実的な計画を作成することが必要」という指摘についての見解をお伺いしたいと思います。

 二点目として、慢性的赤字発生の要因は「収入に見合わない人件費及び人件費に準ずる委託費」にあり、「管理部門の人件費及び経費がこれほど大きくなった原因は、病床数の割に多い診療科と、診療科の数に見合うだけの大きな設備を設置したこと」。また、「看護配置2:1」や、「院内保育園の運営」なども赤字の増加要因として指摘されております。

 なお、これらの対応策として「条例による市立病院の独自給料体系設置」も可能としておりますが、これについてどう検討しているのでしょうか。

 三点目として、会計処理の問題が指摘されております。

 まず、「一般会計負担区分ルールの適用」に当たって、「負担金・交付金の繰り出しに関し、ルール適用外の不足分については補助金交付とし、議会審査が必要」と指摘されておりますし、「控除対象外消費税の繰延処理とみなし減価償却」は「原則的な処理によった場合に比べ、損失の計上を将来の年度に先送りする結果」となることから原則処理とすることを指摘されております。また、「退職給与引当金の未計上対応」についても、議会での指摘と同様の見解として「適正な決算とは言えない」としております。

 以上の会計処理における指摘を踏まえ、平成16年度決算においては修正貸借対照表の作成を行う予定にあるのかないのかを、お伺いします。

 四点目として、今後の病院のあり方として、経営管理体制強化のために「地方独立行政法人」とする対応策や、もっと踏み込んで「市立病院の廃止」、あるいは「公的医療機関として担うべき役割を民間委託し、補助金を支給する」といった対応策も提案されておりますが、このことについてのご見解をお伺いします。

 最後の項目、盛岡市中央卸売市場の運営についてお伺いします。

 平成9年6月に策定された「盛岡市中央卸売市場整備計画」によると、目標年度である平成17年度の目標取扱量は、野菜が83,065t、果実が54,151t、水産物36,145t、花卉67,669千本と計画されております。

 目標年度の1年前の平成16年度における目標対比率は、野菜が81.4%、果実が55.8%、水産物68.5%、花卉は取扱なし、という状況にあります。

 新市場の建設計画時点においても、既に、市場使用料等業者の負担経費の増加、さらには、将来産直や大規模小売店舗の増加などにより市場流通量、取扱金額は共に減少すると予測されておりました。

 従って、新市場は、今後減少するであろう流通量・金額をカバーしうる基本機能の充実と付加価値機能を備えた21世紀のモデル市場として、北東北の拠点市場となることを期待され、農水省の肝いりで多額の補助金の交付を受け整備を行ったものであります。

 ところが、野菜、果実、水産物ともに目標取扱量を大幅に下回って推移している現状にあることから、当局はこの原因をどのように分析し、対応策を講じてきたのかお伺いします。また、花卉は現時点では取扱がありませんが、17年度には市場で取り扱いできるようになるのでしょうか。

 北東北の拠点市場を目指し、240億円もの巨額な建設費を投入して新市場を建設したのですから、青森市、八戸市、秋田市の各中央卸売市場、弘前市の地方市場など主要4市場において取引される青果や水産物は、盛岡の新市場へシフトする目論見だったと思われますが、実態はどうなっていますか。主要4市場の取扱量の推移については、盛岡市と比較してどのように分析していますか。

 また、参考までに、主要4市場の建設後の経過年数と新築計画の有無について、情報を把握しているのであれば、お伺いします。

 以上で、私の質問を終わらせていただきます。御清聴、まことにありがとうございました。
〔市長答弁〕
 次に、市立病院の包括外部監査結果についてのご質問にお答えいたします。
 まず、今後の取組みについてでございますが、指摘事項や意見等に対しましては、今月下旬までに,今後の方向性を示す措置計画を作成し、市民に公表することとしております。

 また、市立病院のあり方につきましては、市内部での検討に加え、広くご意見をお聴きしながら抜本的な検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 次に、経営全般にわたる指摘についての見解でございますが、職務権限や人事は、病院経営の根幹に関わることであり、組織の運営を行っていく上では大変重要であると考えております。

 また、中期計画については、医療制度の改正や市民の必要とする医療がどのように変化していくのかを、的確に捉えるのは中々難しいことではございますが、企業経営を行う上では、目標を定め、計画的に事業を進めることは必要なことと存じております。

 次に、市立病院の独自給料体系の設置についてでございますが、経営組織、診療体制等、市立病院のあり方を検討していく中で結論を出していきたいと存じております。

 次に、修正貸借対照表の作成を行うのかとのご質問でございますが、減価償却の原則処理の再計算や退職給与引当金の未計上など貸借対照表に関連する事項につきましては、指摘さ.れた内容を精査し、修正をする場合はその内容をどのように表すかなどに一定の時間が必要と考えておりますし、財源等予算についても検討を行う必要がありますことから、現時点において、平成16年度決算で行うことは難しいと考えております。

 次に、今後の病院のあり方として地方公営企業法の全部適用、独立行政法人移行などの対応策が提案されておりますが、市立病院の今後のあり方の検討の.中で議論してまいりたいと存じます。

〔場長答弁〕
中央卸売市場についてのご質問でございますが,まず,市場整備計画の目標取扱量を下回った原因とその対応についてでございますが、まず、市場整備計画の目標取扱量を下回った原因とその対応についてでございますが、大型量販店の進出や産直施設の立地などにより,市場外流通が拡大し,市場経由率が低下している現状に加えて,卸売業者の廃業が重なったことにより,目標とする取扱量に至らなかったものと認識しております。

 その対応といたしましては,国の補助事業を導入した仲卸業者の経営基盤強化事業の実施,卸売業者と仲卸業者を対象と した集荷対策資金の融資,公認会計士による財務検査の実施など場内業者の健全な運営を図るための支援策を講じてきたところでございます。

 また,今回の卸売市場法の改正によりまして市場取引の規制緩和が図られ,場内業者の事業活動が拡大されるものと期待をしているところでございます。

 次に,花卉は17年度には市場で取り扱いができるようになるかについてでございますが、中央卸売市場花卉部の設置につきましては,国の基準の取扱量及び入場業者などの問題がありますことから国の第8次整備計画には掲げないこととしており,17年度の花卉部の設置は予定していないところでございます。

 次に,北東北の拠点市場を目指し,建設した新市場の実態はどうかとのご質問についてでございますが,当市場は本来市場が持つ基本機能の充実と新しい付加価値機能を備えた食品流通の拠点を目指し整備したものでございます。

 しかしながら,全国的にも市場外流通の増加により卸売市場の取扱量は年々減少している状況にあり,主要4市場の取扱量の推移は平成11年次と平成16年次を比較して,青果部の取扱量は盛岡市場が81.6%,青森市場が90.4%,八戸市場が97.4%,秋田市場が74.3%となっており,また,水産物部は盛岡市場が90.1%,青森市場が64.2%,秋田市場が84.0%となっており,全体的に全国のすう勢と同様に北東北の各市場とも取扱量が減少し大変厳しい状況を示しているところでございます。

 なお,弘前地方卸売市場につきましては,正確な数量が把握できませんのでご了承願いたいと存じます。

 当市場といたしましては市場機能を十分に活用しながら市場関係者が一丸となって,市場取引の向上あため取り組んでまいりたいと存じます。

 次に,主要4市場の建設後の経過年数と新築計画の有無についてでございますが,青森市場は32年経過しており,八戸市場は27年,秋田市場は29年,そして弘前市場は33年を経過している状況にございます。

 なお,各市場とも新築の計画はないものと伺つております。


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