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無所属・民主党・市民会議行政視察報告

 無所属の阿部和平議員と民主党の高橋重幸議員と私とは、それぞれ会派を形成していない議員です。それぞれ考え方は少しずつ違いますが、自然環境保全、大規模公共事業の見直し、セーフティネットの構築などでは一致することが多いです。また、議員控え室も同じ部屋を使っていることもあり、それぞれ視察に行く時に誘い合います。ちなみに今回の「ホルト園」を見に来たかったのは私です。

 期間   2001年11月5日(月)から7日(水)

 視察先 大分市、熊本市

11月5日(月) 大分市 ホルト園・大分西部公民館

 知的障害者通所訓練所ホルト園は、94年に大分西部公民館と合築された。もともと隣り合って建てられていた2つの施設を老朽化による立て替えの際に合わせて建てたとのこと。いわゆる「心のバリアフリー」のさきがけを狙ってやったのかと思いきやあまりそういう「あざとさ」はない。
 私たちがおじゃました時には通園している方々が、菓子箱づくり・業務用手袋づくり・タオルの端ミシン掛け等の作業を行っていた。作業場所の窓がとても大きい。奥にある公民館に入るためには必ずその窓の脇の通路を通らなければならない。以前公民館で英語の教室を持っていた欧米出身の方が、この道を通っているうちにホルト園に通っている人たちと仲良くなった事をきっかけに「ホルト園の人たち対象の英語教室」を主催していたことがあるそうだ。(残念ながら、出身国に帰られてしまって今はその教室は無い。)
 昨年はここから3名の就職者が出た。ただ、長期化する不況のせいで就職先は厳しい。50代前後でリストラされたためにここに通い始めた人もいるが、再就職はかなり厳しいと言わざるを得ない。だから現在はデイサービスと授産施設が併用されているような施設になっている。2年後に身障者への施策が「措置制度から契約制度へ」と転換する。それに伴ってディサービスにしていくのか、授産施設にしていくのか現在検討中とのこと。
 ちなみに大分市内には授産施設が9ヶ所ある。

 "私の感想"

 「障害者との共生」を行政側が狙って作った施設だと思ってやってきたのだけれど、ちょっと思っていたのと違った。でも色々話を聞いていくうちに「そばにいるうちに自然とふれあいが生まれてくる」と言ったこういうあり方の方がより良いのではないかと思えてきた。
 しらたき学園は山の中にある。土地がなかったせいもあるのかもしれないけれど、やっぱりそういうのって変だよね。

11月6日(火) 熊本市 緑保全、水保全

<緑保全>

 72年に熊本市で「森の都宣言」を決議。経済局農林部に「緑化推進課」を設置。これが現在の環境保全部緑保全課の前身。

緑保全と緑化推進に関する事業体型
緑の保全と緑化の推進 緑の保全 緑地樹木保全事業 公共樹木保全
立田山憩いの森の保全
くまもと自然休養林金峰山
地区保護管理協議会
自然環境保全事業 環境保護地区の指定
ふるさとの森基金
開発行為の事前協議
緑化の推進 公共地・民有地緑化事業 公共地緑化
民有地緑化
特色ある街路樹づくり
香りの森整備事業 香りの森整備
緑の普及・啓発 緑化啓発事業 花いっぱい作戦
緑化市民運動
ふれあいの森林管理
その他啓発活動
管理事務 管理事務 課内一般管理経費

 開発によって失われた緑をどう復元するかに苦心しており、今後の事業計画として「漱石の森事業」(市民・事業者・行政が一体となって取り組む緑の回復作戦)「緑の街づくりボランティア育成事業」(市民が主体となり地域の緑の保護育成、緑化推進の普及啓発を行う)

<水保全>

 熊本市は上水道、工業・農業用水など地下水を利用している。11年前の調査では地下水の埋蔵量は7億m3。しかし、9年後には6億m3までに減ってしまうのではないかと予測されている。そこで地下水かん養量の目標を年間7億2千万m3とし(98年に6億7千万m3)適正な採取量の目標を年間2億3千万m3(すでに達成済)としている。

 そのための施策

1.かん養機能の保全(森林・草地保全、水田・畑地保全、かん養域の開発などに配慮 他)

2.かん養事業の推進(水源かん養林などの造成、地下水のかん養、雨水浸透施設整備 他)

3.用途別採取量の決定
 地下水保全採取量の2億3千万m3を達成するため、次の用途別に掲げる目標採取量を維持できるよう、年次的かつ計画的に節水や利用合理化を進める。

用途別の目標採取量
生活用水(都市活動用水を含む) 1億2500万m3〜1億3500万m3
農業用水 5500万m3〜6500万m3
工業用水 3000万m3〜3500万m3
その他 1000万m3以下

4.未利用水の活用(雨水及び再生水、表流水等の利用)

 また今後の推進体制として、上流域での林業や農業、自然の仕組みにおいてはぐくまれた地下水を下流域では無償で利用しているままではなく、応分の負担をし地下水保全事業を実施し支援する新しいシステムを検討中。

"私の感想"

 水保全施策について考えるところが大きかった。

 熊本市は水資源が豊富なところだ。しかし、地下水埋蔵量減少に伴って雨水利用や節水、水源かん養等の施策を打ち出している。盛岡市も水は豊富にある。(ダムの水だから熊本とはまたちょっと違うけど…)でも、それを良いことにこのままで良いのだろうかとかなり考えた。9月議会の一般質問でもちょっと触れたが、雨水利用については真剣に考え始めなければならないのではないかと思う。また、盛岡の場合、水源かん養林の取得にはかなり積極的だと思う。これはとても良いこと。でも、そればかりではなく、山間地域で行われてきた農業や林業が破壊されていることにも目を向けるべきではないかと思った。矢巾町の地下水の危機(県公共事業評価委員会においてこういう物が「ある」と簗川ダムの件で発言をしていた。「今すぐ」の話では無いとは思いますが…)は一体なぜ起こっているのか、調べてみたくなった。 


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