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2001年2月下旬報告
岩手県でボランティアが運営する
子供専用電話「チャイルドライン」を作りたい。

 2月10日、岩手県産業文化センターにおいて「父母、市民、小中高生、大学生、教職員でつくる2001年学校フォーラム」が開催された。
 「教育改革」をめぐる動きが急な中、フォーラムの事務局長であり、いわてチャイルドラインプロジェクトの呼びかけ人の一人である野島浩司さんにお話をうかがった。
(聞き手=いせ志穂盛岡市議)

まず、なぜこの様なフォーラムを開催しようと思ったのかを教えてください。

 教職員組合の活動は「自分たちの側に正しい答えがまずあって、それを一般市民に訴えていく」という感じでした。
この様なやり方は行き詰まってきていると思うし、嘘臭い。
教職員と保護者、地域の人達が対等な立場で話し合いたいし、子どもの意見表明権を大切にしなければいけないと思います。
学校の中では「子供の意見を聞く」という空気がなかなか出来ない。
教育というものは「子どもの意見を聞くものではなくて、子どもに注入するものだ」という考えが支配的なんです。


野島先生が子供の意見を聞こうと考えたきっかけは?

 以前、子供達や地域の人達と実行委員会を作って映画会をやった事があるのですが、すごく子供達が生き生きとしていたのです。
「子どもってこんなに頑張るんだ。すごい」と思って嬉しかったし、教育的にもこの方が絶対いいと感じました。
 今回のフォーラムでも高校生が15人来てくれましたが、参加した教職員から「高校生がこんなにしっかり話が出来るとは思っていなかった」という感想がたくさん出ました。
僕たちがそう思っただけじゃなくて、教職員が結構大変な問題を抱えながらやっている事に初めて気付いた高校生もいるんじゃないかな。
今までこんな風に同じテーブルで一つの問題を話し合うということは無かったから、本当に楽しかった。

いわゆる「17歳問題」や「新しい荒れ」の中で教育改革国民会議の最終報告のようなものが出てきました。どう思われていますか。

社会を一緒に創り上げていく中で子ども達は自分に誇りを持つ


 子ども達が「自分に誇りを持てない」とか「自信をもてない」とか、そういうのはすごく広がってきていると思います。
だけど「どうしてそうなってしまったのか」というとらえ方が森首相たちは間違っていると思う。
「日本人としての誇りを取り戻せ」とか「ひ弱だから鍛えてやらなくては」とか、そういう発想では解決しない。
子どもの意見を聞いたり、子供と一緒に何かを創り上げていこうとする事が必要です。
子ども達が失敗を重ねながらも、学校の中でみんなと一緒に創り上げていくという体験を持つことで、誇りも生まれるし、生き生きとしていけると思うのです。
そういった体験が、今の学校の中や子ども達の生活の中に、あまりにも少ないことが問題なのだと思います。

子どもを参加させる行政のイベントも増えてきていますよね。

中学校のカリキュラムにはクラス討議の時間がない!

 でも、まやかしが多い。例えば先日、岩手県で「高校入試改革」の案が出ました。
それで県教育委員会が「中学生から意見を聞く会」というのをやったんです。
でも、まだ案が提示されたばかりで、誰もよく解っていない。
当然子ども達にも情報が充分与えられているわけではない。
だから、教師が生徒代表を選んでどういう意見を言ったらいいかという事を指導して発表させた。
それで子どもの意見を聞いたことにする。
ポーズだけ。
おまけに出てきた意見を「こういう子どもの声があった」なんて、自分たちの宣伝に使っています。
全く、だめだなぁと…
 そもそも、生徒間での話し合いを持つ時間がないのです。
僕らが中学生の頃は学級討論の時間があったでしょ。
今は「学級活動」という時間はあるけれど、それは教師が授業をする時間なんです。
生徒会の下部討議みたいな事をする時間は、学習指導要領の中で設定されていない。
心ある学校は無理矢理こじつけて、一ヶ月に一回くらい「もぐり」みたいな形でやっているのが現状です。
生徒会の議案書討議のために充分な時間を確保している学校ってどれくらいあるのかな。
 例えば文化祭にしても、中身はもう職員会議で決まっていて、生徒会担当の教師がいかにも生徒が考えたようにして各学級に提案しているというのが圧倒的に多いのです。
だからそれが修正される余地がほとんどない。
子ども達もそれを充分解っていて、しらけている。

フォーラムの最後に
「いわてチャイルドライン」を立ち上げていこうと提案されましたが…


子ども達と一緒にチャイルドラインをつくろう

 岩手には「24時間ふれあい電話」という行政の教育相談電話がありますが、これが機能していません。
子ども達に電話番号を知らせようという努力もしていないし、土、日、祝日、夜間は留守番電話。
これでは子どものニーズに応えていません。
もっと子ども達に寄り添うようなもの、一人で悩んでいる子どもが「かけてみようかな」「話してみようかな」と思えるものをつくりたいです。

 チャイルドラインの企画・運営に学生や不登校の子ども達が参加してくれれば、今までとは違う子ども達の居場所をつくれる可能性があります。
それに、チャイルドラインで集まる子ども達の声は、間接的ではあるけれど、学校や教職員組合の政策決定に影響を与えていくとも思います。
フォーラムの時にも感じた「世代を越えて、立場を越えて、同じテーブルで一つの仕事をするという楽しさ」そういう場を作れるのではないかという期待感を持っています。
 また、教職員組合の立場から言えば、組合はもっと社会貢献活動をやって行くべきだと思います。
チャイルドライン支援センターに問い合わせをした時に「労働組合は批判と要求ばかりだ」と言われました。
組合には「いっしょに」という発想がない。でも、それではいけない。

 たくさんの人たちの協同の試みとしてのチャイルドラインがあって、その中に教職員組合も参加をしている、というようにしていきたいなぁ、と。
 そして僕個人としては、親としても教師としても「子どもの意見を聞く」とか「子どもの気持ちをくみ取る」とか、うまくできてこなかった。
「罪滅ぼし」というのではないけれど、そういう課題を持ちながら今後取り組んでいきたいと思います。

最後に今後の計画を教えていただけますか。

 当面は「チャイルドラインプロジェクト」として月一回程度の基礎的な学習会を行っていきます。
教職員組合としても積極的に参加していくことについて討論しているところです。
ぜひたくさんの市民や学生の皆さんにも、参加して欲しいと思います。


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